都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「カルティエ、時の結晶」 国立新美術館
国立新美術館
「カルティエ、時の結晶」
2019/10/2~12/16
国立新美術館で開催中の「カルティエ、時の結晶」へ行ってきました。
1847年にルイ=フランソワ・カルティエによって創業された宝飾ブランド「カルティエ」は、20世紀の初頭に3人の孫であるルイ、ピエール、ジャックに引き継がれると、宝飾の枠組みを超えた、いわば1つの「芸術」(解説より)として確固たる地位を築き上げました。
そのカルティエのコレクションが約300点ほど国立新美術館へとやって来ました。日本では1995年の東京都庭園美術館、2004年の醍醐寺、2009年の東京国立博物館表慶館と過去3度カルティエの展覧会が開かれてきましたが、本展では1970年代以降の現代の作品にスポットを当てていて、約半数が個人のコレクションで占められていました。
さて今回のカルティエ展ですが、作品の展示方法、ないし構成にいくつかの特徴がありました。まずはスマホ型の音声ガイドで、入口にて原則、全員に貸し出され、来館者はガイドの解説を頼りに、作品を鑑賞して歩くように作られていました。よって場内の個々の作品にはキャプションがありませんでした。
2つ目は「時間」を大きな軸にしていることで、針がメカニズムに繋がっていなく、さもクリスタルの中に浮かんでいるようなミステリークロックの並ぶ「時の間」(プロローグ)を囲むように、「色と素材」(第1章)や「フォルムとデザイン」(第3章)などのテーマ別に作品が並べられていることでした。そしてこの「時の間」では、西陣織の引箔や、風通織と呼ばれる技術で開発された2種類のファブリックが用いられていて、まるで光の柱の中にジュエリーが浮かび上がる神殿のような空間が築かれていました。いずれも京都の老舗織物メーカーである川島織物セルコンによるもので、それこそ国立新美術館の天井高を活かした効果的な展示手法を見せていました。
この一連の展示構成を手掛けたのが、現代美術家の杉本博司と建築家の榊田倫之が設立した新素材研究所でした。よって同研究所の選定した無垢素材の木、石、さらにガラス、あるいは古美術品がディスプレイケースに採用され、宝飾と並んで展示されていました。中には大谷石を大胆に塊で配置したディスプレイもあり、日本の骨董や自然素材とカルティエのコレクションとの邂逅も大いな見どころと言えそうです。
ラストの第3章「ユニヴァーサルな好奇心」では、カルティエが世界各地の文化や自然などに着想を得た作品が展示されていて、とりわけ昆虫や鳥、爬虫類に虎など、生き物をモチーフとした宝飾に目を引かれました。
こうした自然主義的なデザインは、1980年に導入された、ロストワックスと呼ばれる鋳造の技術により発展したそうです。その一方、写実ではなく、動植物より抽象的なパターンを引き出した宝飾にも異なった魅力が感じられました。
1860年代より1990年代の作品で構成されたカルティエのコレクションは、現在、約3000点を超えるに至っているそうです。そして1989年にパリのプチパレ美術館には大規模な展覧会が開かれてから、ロンドンやモスクワ、北京や東京などの各美術館や博物館でもコレクションが公開されてきました。
今回のように1970年以降の現代作品を中心とした展覧会は初めてでもあります。まさに息を飲むばかりの美しいネックレスなりティアラを通して、今も新たな造形を生み出そうとするカルティエの創作活動を見知ることが出来ました。
第3章の展示スペースのみ撮影も可能です。(本エントリの写真も撮影OKコーナーで撮りました。)多くの方がスマホカメラを向けていたのは言うまでもありません。
入口横の音声ガイドを借りるコーナーのみやや列が出来ていましたが、場内ではスムーズに鑑賞できました。まだ余裕があります。
12月16日まで開催されています。
「カルティエ、時の結晶」(@Cartier2019exhn) 国立新美術館(@NACT_PR)
会期:2019年10月2日(水)~12月16日(月)
休館:火曜日。但し10月22日(火・祝)は開館し、10月23日(水)は休館。
時間:10:00~18:00
*毎週金・土曜日は20時まで。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1600(1400)円、大学生1200(1000)円、高校生800(600)円。中学生以下無料。
*11月2日(土)~4日(月・休)は高校生無料観覧日(要学生証)
住所:港区六本木7-22-2
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅出口6より直結。都営大江戸線六本木駅7出口から徒歩4分。東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩5分。
「カルティエ、時の結晶」
2019/10/2~12/16
国立新美術館で開催中の「カルティエ、時の結晶」へ行ってきました。
1847年にルイ=フランソワ・カルティエによって創業された宝飾ブランド「カルティエ」は、20世紀の初頭に3人の孫であるルイ、ピエール、ジャックに引き継がれると、宝飾の枠組みを超えた、いわば1つの「芸術」(解説より)として確固たる地位を築き上げました。
そのカルティエのコレクションが約300点ほど国立新美術館へとやって来ました。日本では1995年の東京都庭園美術館、2004年の醍醐寺、2009年の東京国立博物館表慶館と過去3度カルティエの展覧会が開かれてきましたが、本展では1970年代以降の現代の作品にスポットを当てていて、約半数が個人のコレクションで占められていました。
さて今回のカルティエ展ですが、作品の展示方法、ないし構成にいくつかの特徴がありました。まずはスマホ型の音声ガイドで、入口にて原則、全員に貸し出され、来館者はガイドの解説を頼りに、作品を鑑賞して歩くように作られていました。よって場内の個々の作品にはキャプションがありませんでした。
2つ目は「時間」を大きな軸にしていることで、針がメカニズムに繋がっていなく、さもクリスタルの中に浮かんでいるようなミステリークロックの並ぶ「時の間」(プロローグ)を囲むように、「色と素材」(第1章)や「フォルムとデザイン」(第3章)などのテーマ別に作品が並べられていることでした。そしてこの「時の間」では、西陣織の引箔や、風通織と呼ばれる技術で開発された2種類のファブリックが用いられていて、まるで光の柱の中にジュエリーが浮かび上がる神殿のような空間が築かれていました。いずれも京都の老舗織物メーカーである川島織物セルコンによるもので、それこそ国立新美術館の天井高を活かした効果的な展示手法を見せていました。
この一連の展示構成を手掛けたのが、現代美術家の杉本博司と建築家の榊田倫之が設立した新素材研究所でした。よって同研究所の選定した無垢素材の木、石、さらにガラス、あるいは古美術品がディスプレイケースに採用され、宝飾と並んで展示されていました。中には大谷石を大胆に塊で配置したディスプレイもあり、日本の骨董や自然素材とカルティエのコレクションとの邂逅も大いな見どころと言えそうです。
ラストの第3章「ユニヴァーサルな好奇心」では、カルティエが世界各地の文化や自然などに着想を得た作品が展示されていて、とりわけ昆虫や鳥、爬虫類に虎など、生き物をモチーフとした宝飾に目を引かれました。
こうした自然主義的なデザインは、1980年に導入された、ロストワックスと呼ばれる鋳造の技術により発展したそうです。その一方、写実ではなく、動植物より抽象的なパターンを引き出した宝飾にも異なった魅力が感じられました。
1860年代より1990年代の作品で構成されたカルティエのコレクションは、現在、約3000点を超えるに至っているそうです。そして1989年にパリのプチパレ美術館には大規模な展覧会が開かれてから、ロンドンやモスクワ、北京や東京などの各美術館や博物館でもコレクションが公開されてきました。
今回のように1970年以降の現代作品を中心とした展覧会は初めてでもあります。まさに息を飲むばかりの美しいネックレスなりティアラを通して、今も新たな造形を生み出そうとするカルティエの創作活動を見知ることが出来ました。
第3章の展示スペースのみ撮影も可能です。(本エントリの写真も撮影OKコーナーで撮りました。)多くの方がスマホカメラを向けていたのは言うまでもありません。
入口横の音声ガイドを借りるコーナーのみやや列が出来ていましたが、場内ではスムーズに鑑賞できました。まだ余裕があります。
【#カルティエ時の結晶】会場構成を手がけたのは<新素材研究所>。天井から吊り下げられた布がライトアップされ、光の列柱のように見えます。「時の間」と名付けられた印象的な空間で、宝飾芸術の世界へいざないます。https://t.co/GysUWOFtCx#国立新美術館 pic.twitter.com/aXPCANVTIw
— カルティエ、時の結晶 (@Cartier2019exhn) October 10, 2019
12月16日まで開催されています。
「カルティエ、時の結晶」(@Cartier2019exhn) 国立新美術館(@NACT_PR)
会期:2019年10月2日(水)~12月16日(月)
休館:火曜日。但し10月22日(火・祝)は開館し、10月23日(水)は休館。
時間:10:00~18:00
*毎週金・土曜日は20時まで。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1600(1400)円、大学生1200(1000)円、高校生800(600)円。中学生以下無料。
*11月2日(土)~4日(月・休)は高校生無料観覧日(要学生証)
住所:港区六本木7-22-2
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅出口6より直結。都営大江戸線六本木駅7出口から徒歩4分。東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩5分。
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