都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「舘鼻則孝 It's always the others who die」 ポーラミュージアムアネックス
ポーラミュージアムアネックス
「舘鼻則孝 It's always the others who die」
2019/11/22~12/22
ポーラミュージアムアネックスで開催中の「舘鼻則孝 It's always the others who die」を見てきました。
1985年に東京で生まれ、レディー・ガガの愛用する「ヒールレスシューズ」の制作者で知られる舘鼻則孝は、近年、伝統工芸士と協働するなど、ファッションの分野に留まらずに幅広く活動してきました。
その舘鼻の全て新作による個展が「It's always the others who die」で、「ヒールレスシューズ」はもちろん、絵画、彫刻など、約20点の作品が展示されていました。
さて会場に入ってともかく目を引くのは、稲光を記号化して表したような絵画やオブジェでした。いずれも赤や青、それに黄色などの鮮やかな色彩によって塗られていて、それこそゴロゴロと雷鳴が轟く光景を想像させるほどでした。
一連の絵画は「Descending Series(ディセンディングシリーズ)」と呼ばれていて、うち特に大きな「yellow thunder, blue cloud」は横幅6メートルにも及んでいました。この作品は近年、舘鼻の制作した絵画シリーズの中でも最大のサイズを誇るそうです。
その「Descending Series yellow thunder, blue cloud」の前に展開するのが、225本もの赤い矢をモチーフとした「Arrows(アローズ)」でした。全ての矢は木で作られていて、床には矢の刺さった円い鏡がまるでプールのように広がっていました。ザクザクと刺さる矢はそれこそ稲光か激しい雨を思わせるようで、背後の「Descending Series」と鮮烈なコントラストを描いていました。
「ヒールレスシューズ」の最新モデルも宝石のように眩いばかりの光を放っていました。これらは舘鼻が花魁の下駄より着想し、卒業制作として発表した作品で、アメリカのミュージシャンのレディー・ガガの目に留まっては、愛用されるに至りました。作家の出世作と呼んでも差し支えないかもしれません。
また高さ45センチもある下駄「Floating World Series(フローティングワールドシリーズ)」も雷のモチーフが描かれていました。それにしてもこの驚くべき高さゆえに、いわゆる履き心地は一体、どのようなものなのでしょうか。
元々、人形製作の家に生まれ、幼い時より手でものを作ることにこだわった舘鼻は、大学で染織を学び、友禅による着物や下駄を制作するなど、日本の古い文化に深い関心を寄せてきました。
今回の新作の「Arrows(アローズ)」は、舘鼻の考える「日本独自の死生観」を表現したとされています。率直なところ私自身、「死生観」へどこまで踏み込めたか自信がありませんが、その言葉の存在ゆえか、しばらく雷を表現したオブジェなどを鑑賞していると、不思議と墓標を見ているような錯覚に囚われました。ひょっとすると死のイメージが作品の中に見え隠れしていたのかもしれません。
1階のショウウィンドウにも「ヒールレスシューズ」がディスプレイされていました。こちらもお見逃しなきようにご注意下さい。
会期中は無休です。撮影も出来ます。12月22日まで開催されています。
「舘鼻則孝 It's always the others who die」 ポーラミュージアムアネックス(@POLA_ANNEX)
会期:2019年11月22日(金)~12月22日(日)
休館:会期中無休
料金:無料
時間:11:00~20:00
*入場は閉館の30分前まで
*11月28日(木)のみ18時閉館
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
「舘鼻則孝 It's always the others who die」
2019/11/22~12/22
ポーラミュージアムアネックスで開催中の「舘鼻則孝 It's always the others who die」を見てきました。
1985年に東京で生まれ、レディー・ガガの愛用する「ヒールレスシューズ」の制作者で知られる舘鼻則孝は、近年、伝統工芸士と協働するなど、ファッションの分野に留まらずに幅広く活動してきました。
その舘鼻の全て新作による個展が「It's always the others who die」で、「ヒールレスシューズ」はもちろん、絵画、彫刻など、約20点の作品が展示されていました。
さて会場に入ってともかく目を引くのは、稲光を記号化して表したような絵画やオブジェでした。いずれも赤や青、それに黄色などの鮮やかな色彩によって塗られていて、それこそゴロゴロと雷鳴が轟く光景を想像させるほどでした。
一連の絵画は「Descending Series(ディセンディングシリーズ)」と呼ばれていて、うち特に大きな「yellow thunder, blue cloud」は横幅6メートルにも及んでいました。この作品は近年、舘鼻の制作した絵画シリーズの中でも最大のサイズを誇るそうです。
その「Descending Series yellow thunder, blue cloud」の前に展開するのが、225本もの赤い矢をモチーフとした「Arrows(アローズ)」でした。全ての矢は木で作られていて、床には矢の刺さった円い鏡がまるでプールのように広がっていました。ザクザクと刺さる矢はそれこそ稲光か激しい雨を思わせるようで、背後の「Descending Series」と鮮烈なコントラストを描いていました。
「ヒールレスシューズ」の最新モデルも宝石のように眩いばかりの光を放っていました。これらは舘鼻が花魁の下駄より着想し、卒業制作として発表した作品で、アメリカのミュージシャンのレディー・ガガの目に留まっては、愛用されるに至りました。作家の出世作と呼んでも差し支えないかもしれません。
また高さ45センチもある下駄「Floating World Series(フローティングワールドシリーズ)」も雷のモチーフが描かれていました。それにしてもこの驚くべき高さゆえに、いわゆる履き心地は一体、どのようなものなのでしょうか。
元々、人形製作の家に生まれ、幼い時より手でものを作ることにこだわった舘鼻は、大学で染織を学び、友禅による着物や下駄を制作するなど、日本の古い文化に深い関心を寄せてきました。
今回の新作の「Arrows(アローズ)」は、舘鼻の考える「日本独自の死生観」を表現したとされています。率直なところ私自身、「死生観」へどこまで踏み込めたか自信がありませんが、その言葉の存在ゆえか、しばらく雷を表現したオブジェなどを鑑賞していると、不思議と墓標を見ているような錯覚に囚われました。ひょっとすると死のイメージが作品の中に見え隠れしていたのかもしれません。
1階のショウウィンドウにも「ヒールレスシューズ」がディスプレイされていました。こちらもお見逃しなきようにご注意下さい。
会期中は無休です。撮影も出来ます。12月22日まで開催されています。
「舘鼻則孝 It's always the others who die」 ポーラミュージアムアネックス(@POLA_ANNEX)
会期:2019年11月22日(金)~12月22日(日)
休館:会期中無休
料金:無料
時間:11:00~20:00
*入場は閉館の30分前まで
*11月28日(木)のみ18時閉館
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
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