「幻想の銀河 山本 基 × 土屋仁応」 ザ・ギンザ スペース

ザ・ギンザ スペース
「幻想の銀河 山本 基 × 土屋仁応」 
2020/6/2~8/2



ザ・ギンザ スペースで開催中の「幻想の銀河 山本 基 × 土屋仁応」を見てきました。

1966年に広島で生まれた山本基(やまもともとい)は、塩を素材にした作品を手掛け、これまでにも「MOTアニュアル」(2010年、東京都現代美術館)や「瀬戸内国際芸術祭」(2016年)に参加するなどして幅広く活動してきました。

また1977年に神奈川県生まれの土屋仁応(つちやよしまさ)は、仏像制作の技術を元に、動物をモチーフとした木彫を制作し、「集まれ!おもしろどうぶつ展」(2011年、横須賀美術館)や、 「木々との対話─再生をめぐる5つの風景」(2016年、東京都美術館)などで作品を公開してきました。

その2名の作家の初めてのコラボレーション展が「幻想の銀河」で、銀座の地下の小さなスペースには、詩情に溢れ、なおかつ幻夢的なまでに美しい光景が広がっていました。



会場へと足を踏み入れた途端、思わず息をのんでしまったのは私だけではないかもしれません。ホワイトキューブのガラスの床面へ渦を巻くように連なるのが、山本基の「たゆたう庭」と題したインスタレーションで、いずれもが塩で象られていました。



網目を描きつつ、細波が立つように広がる光景は、流氷や砂漠、はたまた宇宙の星雲を連想させ、タイトルのごとく広大な「銀河」を目にしているかのような錯覚にも囚われました。



その星雲の上で群れをなしているのが、土屋仁応の「鹿」で、いずれもが楠を用いて作られた木彫の作品でした。鹿は寄り添いながら、時に何かを気にするかのように振り返っていて、ふと足を止めつつも、塩の渦を静かに渡り歩いていました。また水辺に足を踏み入れては、体を休めつつ、遊ぼうとしている光景にも見えるかもしれません。

鹿の群れの上には、丸い「月」が浮かんでいて、あたかも銀河の中心を司る天体のような姿を見せていました。さらに床のガラス面の効果か、会場の壁面に塩の模様が反映していて、空間を突き抜けていくかのようでした。



会場奥に設置された見晴台に上がると、銀河と鹿の群れを一望することが出来ました。また天井も床と同様にガラスが用いられていてるからか、会場全体が写り込んで、上下へと作品が無限に展開するかのようでした。



それこそ覗きこめば底なしの深淵の銀河が写り、見上げれば空を突き抜けては宇宙に達するかのようで、手狭なスペースを逆手に生かしたインスタレーションと言えるのではないでしょうか。



ただ一頭、群れから離れ、角を伸ばしては立つ鹿に目がとまりました。「鹿の王」と位置付けられていましたが、優しげな眼差しながらも、強い意志が込められるようにも感じられ、どこか凛とした佇まいも魅惑的に思えました。



新型コロナウイルス感染症対策のため、会期が当初の4月6日から5月24日までより変更され、6月2日から8月2日までとなりました。当面は18時までの時短での公開となるそうです。

8月2日まで開催されています。

「幻想の銀河 山本 基 × 土屋仁応」 ザ・ギンザ スペース
会期:2020年6月2日(火)~8月2日(日)
休館:6月15日(月)、7月20日(月)。
時間:当面は11:00~18:00の時短営業。
料金:無料
住所:中央区銀座5-9-15 銀座清月堂ビルB2F
交通:東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅より徒歩3分。東京メトロ日比谷線・都営浅草線東銀座駅より徒歩3分。
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