都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ショパン-200年の肖像」 練馬区立美術館
練馬区立美術館
「日本・ポーランド国交樹立100周年記念 ショパン-200年の肖像」
2020/6/2~6/28
練馬区立美術館で開催中の「日本・ポーランド国交樹立100周年記念 ショパン-200年の肖像」を見てきました。
ポーランド出身の音楽家、フリデリク・ショパンは、叙情的なピアノ曲などを数多く作曲しては、「ピアノの詩人」と称され、世界各地で愛されてきました。
そのショパンの生涯を辿りながら、主に美術の観点から人々への受容を検証するのが「ショパン-200年の肖像」展で、ワルシャワの国立博物館などから、約250点の資料や美術品がやって来ました。
さて一般的に音楽家の展覧会というと、楽譜や手紙などの作曲家本人の資料が中心であると思いがちですが、今回のショパン展では、むしろ作曲家や曲からインスピレーションを受けて制作された美術品がより多く紹介されていました。また20世紀以降の作品が大半を占めていて、前奏曲から抽象的なイメージを描いた作品があるなど、ショパンに関する現代美術展のような側面も見せていました。
そしてショパンの生きたワルシャワやパリに因んだ絵画や版画も多く展示されていて、特にパリではロマン主義の絵画などを通して、同時代の美術の動向なども知ることが出来ました。またサンドとの出会いをはじめ、リストとの交流など、ショパンを取り巻く人間関係についても幅広く紹介していました。
私が展示品で最も惹かれたのが、ローベルト・シュピースの「フリデリク・ショパン、24の前奏曲集」で、24の音楽のイメージを版画として表現した連作集でした。それらは象徴派を思わせるように幻想的で、ショパンの音楽の持つ感傷性が見事に示されているように思えました。
20世紀のショパンの音楽祭のポスターも多く展示されていて、グラフィックアートの観点からも、大いに見入るものがありました。中でも黒いピアノを平面的に配置し、あたかも音楽が七色の虹のように広がる光景を描いた、ヤン・ヤロミル・アレクシウンの「第25回ドゥシュニキ=ズドルショパン音楽祭」のポスターは特に魅惑的かもしれません。
アリ・シェフェールの「フリデリク・ショパンの肖像」は、ショパンの肖像画の中でも特に有名な作品の1つで、日本で初めて公開されました。オランダ出身のシェフェールはパリでショパンと交流した画家で、ここではショパンも友人を前にしているからか、どこか穏やかな眼差しを向けているように見えました。パリのシェフェールの自宅では、芸術家たちが集っては、ショパンやリストも演奏会を開いていたそうです。
フリデリク・ショパン「エチュード ヘ長調 作品10の8」自筆譜(製版用) 1833年以前
普段、ポーランド国外で公開されることが少ない、ショパンの自筆の楽譜や手紙も日本へやって来ました。「エチュードヘ長調 作品10-8 自筆譜(製版用)」は、淀みなくも、やや震えるような線で音符を連ねていて、ショパンの繊細な音楽そのものが秘められているようでした。これぞ作曲家の息遣いを今に伝える最も重要な資料なのかもしれません。
美術館の2階の休憩スペースでは、ヤマハのオーディオセットから「華麗なるワルツ」や「別れの曲」などが流れていて、実際にショパンの美しき音楽の調べに耳を傾けることも出来ました。ソファも置かれているので、じっくりと音楽に身を委ねるのも良いのではないでしょうか。
兵庫県立美術館と久留米市立美術館より巡回してきた「ショパン-200年の肖像」は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開幕が4月26日から6月2日に延期されました。また予定されていた全てのイベントが中止となり、入場時には全員の手指の消毒が行われています。ただし検温はなく、ロッカーも通常通り使用可能でした。
人気も知名度も抜群のショパンゆえか、会期終盤を迎え、連日かなりの入場者で賑わっています。平日でも昼過ぎの時間帯を中心にやや混雑し、6月21日(日)には14時半頃に入場規制(5分待ち)がかかりました。
実は私もまさに規制のかかった当日、夕方前に行きましたが、確かに場内は盛況で、一部の資料展示の前では多少の列も出来ていました。今週末の土日も混雑することが予想されます。お出かけの際は美術館の公式Twitterアカウントをご覧ください。
6月28日まで開催されています。なお練馬での展示を終えると、静岡市美術館へと巡回(8月1日〜9月22日)します。*フリデリク・ショパンの名の表記は展覧会に準じました。
「日本・ポーランド国交樹立100周年記念 ショパン-200年の肖像」 練馬区立美術館(@nerima_museum)
会期:2020年6月2日(火)~6月28日(日) *4月26日(日)の開幕を延期。
休館:月曜日。
時間:10:00~18:00 *入館は閉館の30分前まで
料金:大人1000(800)円、大・高校生・65~74歳800(700)円、中学生以下・75歳以上無料
*( )は20名以上の団体料金。
*ぐるっとパス利用で500円。
住所:練馬区貫井1-36-16
交通:西武池袋線中村橋駅より徒歩3分。
「日本・ポーランド国交樹立100周年記念 ショパン-200年の肖像」
2020/6/2~6/28
練馬区立美術館で開催中の「日本・ポーランド国交樹立100周年記念 ショパン-200年の肖像」を見てきました。
ポーランド出身の音楽家、フリデリク・ショパンは、叙情的なピアノ曲などを数多く作曲しては、「ピアノの詩人」と称され、世界各地で愛されてきました。
そのショパンの生涯を辿りながら、主に美術の観点から人々への受容を検証するのが「ショパン-200年の肖像」展で、ワルシャワの国立博物館などから、約250点の資料や美術品がやって来ました。
さて一般的に音楽家の展覧会というと、楽譜や手紙などの作曲家本人の資料が中心であると思いがちですが、今回のショパン展では、むしろ作曲家や曲からインスピレーションを受けて制作された美術品がより多く紹介されていました。また20世紀以降の作品が大半を占めていて、前奏曲から抽象的なイメージを描いた作品があるなど、ショパンに関する現代美術展のような側面も見せていました。
そしてショパンの生きたワルシャワやパリに因んだ絵画や版画も多く展示されていて、特にパリではロマン主義の絵画などを通して、同時代の美術の動向なども知ることが出来ました。またサンドとの出会いをはじめ、リストとの交流など、ショパンを取り巻く人間関係についても幅広く紹介していました。
私が展示品で最も惹かれたのが、ローベルト・シュピースの「フリデリク・ショパン、24の前奏曲集」で、24の音楽のイメージを版画として表現した連作集でした。それらは象徴派を思わせるように幻想的で、ショパンの音楽の持つ感傷性が見事に示されているように思えました。
20世紀のショパンの音楽祭のポスターも多く展示されていて、グラフィックアートの観点からも、大いに見入るものがありました。中でも黒いピアノを平面的に配置し、あたかも音楽が七色の虹のように広がる光景を描いた、ヤン・ヤロミル・アレクシウンの「第25回ドゥシュニキ=ズドルショパン音楽祭」のポスターは特に魅惑的かもしれません。
アリ・シェフェールの「フリデリク・ショパンの肖像」は、ショパンの肖像画の中でも特に有名な作品の1つで、日本で初めて公開されました。オランダ出身のシェフェールはパリでショパンと交流した画家で、ここではショパンも友人を前にしているからか、どこか穏やかな眼差しを向けているように見えました。パリのシェフェールの自宅では、芸術家たちが集っては、ショパンやリストも演奏会を開いていたそうです。
フリデリク・ショパン「エチュード ヘ長調 作品10の8」自筆譜(製版用) 1833年以前
普段、ポーランド国外で公開されることが少ない、ショパンの自筆の楽譜や手紙も日本へやって来ました。「エチュードヘ長調 作品10-8 自筆譜(製版用)」は、淀みなくも、やや震えるような線で音符を連ねていて、ショパンの繊細な音楽そのものが秘められているようでした。これぞ作曲家の息遣いを今に伝える最も重要な資料なのかもしれません。
美術館の2階の休憩スペースでは、ヤマハのオーディオセットから「華麗なるワルツ」や「別れの曲」などが流れていて、実際にショパンの美しき音楽の調べに耳を傾けることも出来ました。ソファも置かれているので、じっくりと音楽に身を委ねるのも良いのではないでしょうか。
兵庫県立美術館と久留米市立美術館より巡回してきた「ショパン-200年の肖像」は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開幕が4月26日から6月2日に延期されました。また予定されていた全てのイベントが中止となり、入場時には全員の手指の消毒が行われています。ただし検温はなく、ロッカーも通常通り使用可能でした。
【ショパン展混雑状況】本日6/21(日)は14時30分~45分の間、館内混雑のため、お客様に5分程度入館をお待ちいただきました。来週の土日は更なる混雑が予想されます。平日午前中のご来館がおすすめです。 #ショパン展 #練区立美術館 pic.twitter.com/9IkUUo8slu
— 練馬区立美術館 (@nerima_museum) June 21, 2020
人気も知名度も抜群のショパンゆえか、会期終盤を迎え、連日かなりの入場者で賑わっています。平日でも昼過ぎの時間帯を中心にやや混雑し、6月21日(日)には14時半頃に入場規制(5分待ち)がかかりました。
実は私もまさに規制のかかった当日、夕方前に行きましたが、確かに場内は盛況で、一部の資料展示の前では多少の列も出来ていました。今週末の土日も混雑することが予想されます。お出かけの際は美術館の公式Twitterアカウントをご覧ください。
6月28日まで開催されています。なお練馬での展示を終えると、静岡市美術館へと巡回(8月1日〜9月22日)します。*フリデリク・ショパンの名の表記は展覧会に準じました。
「日本・ポーランド国交樹立100周年記念 ショパン-200年の肖像」 練馬区立美術館(@nerima_museum)
会期:2020年6月2日(火)~6月28日(日) *4月26日(日)の開幕を延期。
休館:月曜日。
時間:10:00~18:00 *入館は閉館の30分前まで
料金:大人1000(800)円、大・高校生・65~74歳800(700)円、中学生以下・75歳以上無料
*( )は20名以上の団体料金。
*ぐるっとパス利用で500円。
住所:練馬区貫井1-36-16
交通:西武池袋線中村橋駅より徒歩3分。
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