◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「二兎を追う者は一兎をも得ず」の誤用。

2008-11-05 19:59:49 | 言葉についてあれこれ
                     でぶりんぐハムやん
 デブ世界一としてギネスブックに載った男性が、恋人との結婚のために250キロ減量したそうです。そもそも、自力で歩くこともできない、体重500キロ以上のこの男性に恋人ができたというのがミラクル・・・ですが、世の中に不思議なことは幾らでもあるわけで、まぁ、めでたいことです。そして、愛する人のために250キロも減量した、これは素晴らしいことですね。愛の力ってすごい!
 それで、当然ながらデブ世界一ではなくなったわけで、ただのデブ、ということになりますが、いや、それでもまだ自力歩行はできないのですよ、でも、恋人との結婚式は予定どおり。式場に向かうその人の表情は本当にうれしそうです。もちろん、恋人のほうも、彼のダイエットを助け、支えになってきたわけで、減量に成功して晴れて結婚式ということになったのですからとても幸せそうです。
 ・・・とまぁ、そういう話なのですが、「二兎を追う者は一兎をも得ず」というナレーションが聞こえて、ん? なぜここでそれが出てくるんだ? ちょっと違うだろ! と思ったわけです。「二兎を追う者は一兎をも得ず」は、一度に二つねらうとどちらもうまくいかない、一つに絞ったほうがいい、という意味ですが、この男性は、ギネス記録保持者という名を捨て、花嫁を取ったのです。まさに、一つに絞ったのですよ。
 どうやら、減量してギネス記録保持者ではなくなった、結婚とギネス記録、両方というわけにはいかなかった、ということをかっこよく表現したかったようなのですが、男性の目的はあくまでも結婚ですから、それに、減量しないと命にかかわるということもあったのですから、この場合は「名を捨てて実を取る」でしょう。デブ世界一というタイトルよりも、減量して健康を回復することが大事、花嫁のためにもうんと減量して寿命を延ばし、少しでも長く一緒に過ごしたい、そういう気持ちを全く理解できなかったようですね、原稿を書いた人とナレーターは。
コメント
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