◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「お餅をつきさしていただいて」って?

2008-11-02 10:05:44 | 言葉についてあれこれ
                     きなこ餅、みょ~ん
 さぁ、皆さん、「お餅をつきさしていただいて」とは一体どういう意味か、何を言っているのか、想像してみてください。あ~、お餅、食べたいなぁ・・・、つきたてのお餅をみょ~んと引っ張って・・・( ̄¬ ̄)ジュルル。
 芸能人は何でもかんでも「~させていただいて」と表現しますが、これが一般の人たちの間にも広がっています。「ええ、一応、10年間勉強して○○の資格を取らしていただきまして」と言っている30代男性、「~させていただいて」と表現する必要性なんかどこにもない会話なのになぁ~、いや、むしろ、自分で頑張って資格を取ったのに「取らしていただきまして」なんて、謙虚というより、何だか自慢げに聞こえます。
 それから、続けて別の人が「僕は○○業をさせていただいています。それで、会社を設立させていただいて」なんて言ったのですよ、何だかもう気持ち悪くなりました。「~させていただいて」が、飲食店などでよく耳にする「マニュアル敬語」のように形だけになってしまっているように感じたからです。「~をやっています」「~しまして」はだめ、「~させていただいて」と言わなければいけない、というルールでもあるのでしょうか?
 「おかげさまで」という言葉があるように、自分が頑張ったのだとしても、周りの人の協力があったから頑張れたんだ、という気持ちがあるから「~させていただいて」という表現になるのだと思えばいいのでしょうが、そうもいかないのですよ。そういう気持ちで自然に言っているというより、ルールだから、そう言わされている、そう言わなければいけないと思い込んでいる、実態はそういう感じです。
 役人が、不正を働いた業者に対して「営業禁止とさせていただきます」などと言ったり、あるイベントでインタビューを受けた一般の女性が「今も喜ばせていただいております」と言ったり、若いタレントが「私も、見させていただいて、感動させていただきました」なんて言ったり、めちゃくちゃですから。
 それに、慣れないと、動詞を「~せていただいて」という形にするのはけっこう難しいようです。「せっかく香港に勉強しに行かせてもらったのだから」と言えず、「せっかく香港に勉強させに・・・させてもらったので・・・」とか、「お餅をつきさしていただいております」とか、( ̄~ ̄)う~ん。もちろん、「お餅を突き刺して頂いております」ではありませんよ。外国人がお餅をフォークで突き刺して・・・って、日本人ですってば。餅つきをしている人ですよ。そう、「お餅をつかせていただいております」なのですが、そんなの、「お餅をついています」でいいじゃないですか!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする