◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「安心してお暮らしできるように」って?

2009-09-02 20:37:19 | 気になる言葉、具体例
                             安心してお暮らし
 やれやれ、やっと終わりましたね、選挙戦。ふだんより国民向けの(国民にやたら気を遣った)セリフが多く聞かれるこの期間、まぁいろいろ聞こえてきましたが、変な日本語を挙げて解説するこのブログらしく、政治家の変な日本語について特に気になったことを書いてみます。
 政治家特有の変な言い回しについては以前にも書いたことがありますが、今回やたら耳についたのは「ご」「お」の誤用です。何でも付ければいいというものではありませんよ。「皆様の新しいご生活が始まっていきます」だの、「皆さんのお暮らしを考えたときに」だの、くどい! そんな「ご」「お」は要りません。
 でも、芸能人はもっとひどい! 「ご生活」「お暮らし」はまだ‘気を遣いすぎ’と言えなくもないのですが、自分のことに「ご」「お」を付け、「人前に出るお仕事なので」なんて40歳ぐらいの女性が言うのですから、ばかみたい、こんなことでよくまぁ人前でしゃべれますね。そういえば、ちょっと前に全裸で騒いで逮捕されたあの人も「メンバーのみんなとお仕事ができる」なんて言っていました。う~~~気持ち悪い( ̄д ̄)。
 はいはい、政治家に話を戻しましょう。選挙戦といえば街頭演説ですからね、こんなのもありました。○○党の党首がマイクを握って大きな声でゆっくりと「安心してお暮らしできるように」ですよ。これはもう明らかな誤りなのですが、誤りだとちゃんと認識できますか? たまに聞こえてくる「ご利用できません」と似た構造ですね。
 「利用できません」に「ご」を付けても尊敬表現にはなりません。人に向かって「できません」だなんてただのぶっきらぼうです。「利用しない」の尊敬表現は「ご利用にならない」で、「利用できない」の尊敬表現は「ご利用になれない」、よって、「ご利用できません」ではなく、「ご利用になれません」と言わなければいけないのです。
 「お暮らしできるように」は「ご利用できません」よりひどいですね。「ご」を取った「利用できません」は日本語として成立しますが、「お」を取って「暮らしできるように」にしても成立しませんから、どこからどう見てもありえない言い方です。政治家によく見られる‘何でも名詞化’、つまり、「お暮らしができるように」の「が」が抜けたと見ても、「安心して」と「お暮らしができるように」がつながりません。
 まず、「暮らす」の可能表現は「暮らせる」ですね、そして、「暮らせる」の尊敬表現は「お暮らしになれる」です。いい年して「安心してお暮らしになれるように」とちゃんと言えないのなら、無理しないで「安心して暮らせるように」と言えばいいのに、なんで墓穴を掘るかなぁ~( ̄ ̄)、安心して暮らせる日は遠そうだなぁ~( ̄・ ̄)。
コメント
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