◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

深刻になってきた“何でも名詞化”。

2010-05-23 09:40:27 | 言葉についてあれこれ
                               じっくりご覧ください
 「ご利用できません」「ご案内していただきますのは」「お迎えしていただいて」などの例を挙げて“何でも名詞化”について初めて書いたのは2007年5月17日でした。あれから“何でも名詞化”はさらに進み、「どうしてもってお願いされたんで」「お持ち帰りできます」「お試ししてください」「お薦めされたのが」「お見せをさせてあげる」「歌は途切れなく続きます」といった奇妙な表現が次々と生まれています。
 尊敬表現の基本形は「ご利用になる」で、可能表現は「ご利用になれる」ですから、その否定形は「ご利用になれません」です。でも、「利用できません」に「ご」を付けただけ、「ご利用」+「できません」、これで尊敬表現だなどと思っている人が大勢います。「ご案内していただきますのは」「お迎えしていただいて」も、「ご案内」+「していただきますのは」、「お迎え」+「していただいて」なのでしょう。もちろん、正しい形は「ご案内いただきますのは」「お迎えいただいて」ですけどね。
 例えば、「ご覧いただく」「お見せいただく」を「ご覧していただく」「お見せしていただく」なんて言う人はいませんよね。「ご案内していただく」や「お迎えしていただく」はしょっちゅう聞くのに、なぜ? それは、「ご覧」「お見せ」が「ご案内」や「お迎え」ほど名詞っぽくないからではないでしょうか。
 それでも、「ご覧をいただく」は聞いたことがあります。これは、特に政治家が好んでする言い方ですね。「お答えをさせていただきます」「お会いをさせていただきたい」などはすでに何度も聞きましたが、先日、また新たに「お見せをさせてあげる」なんていうのも聞こえてきました。政治家といえば、2009年9月2日に取り上げたH・Y氏の「安心してお暮らしできるように」を思い出しますね。
 敬語の一部分を名詞だと本気で思っているような言い方。とりあえず頭に「ご」「お」を付ける、付けたら何となく名詞っぽい、だから、後に続ける言葉は何でもあり、敬語の定型なんて関係なし。「を」さえ入れれば何でも名詞、自由自在。変な「~ずに」から派生したような、「~ていなく」も関係ありそうな、妙~な名詞化。“何でも名詞化”は徐々にその範囲を広げ、いろいろなタイプの名詞化が出てきています。あのさぁ~ <(`^´)> なぁんか自由すぎない?
 ※2枚の写真の間でうんと遠くを見てください。すると、やがて写真が3枚になりますから、そうしたら、真ん中の写真に意識を集中してください。(⌒・⌒)
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