◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「だからどこかで見覚えあったんだぁ」って?

2016-07-03 09:09:18 | 言葉についてあれこれ
                                見覚えのない風景

 「釣りバカ日誌 新入社員 浜崎伝助」(脚本 山岡潤平)で、雑誌に載っているスーさんの写真を見ながら「だからどこかで見覚えあったんだぁ」と言ったのは中越典子。台本にそう書いてあったとしても、初見でしゃべるわけではないのですから「だからどこかで見た覚えがあったんだぁ」と言うぐらいのこと、できませんかね。あるいは、言いやすいように「どこかで」を削って「だから見覚えあったんだぁ」とか。
 浜崎に向かって「こらっ、常務がおはなししている途中でしょうがぁ」と言ったのは佐々木課長(吹越満)ですが、「おはなししている」って何ですか、「常務が話してらっしゃる途中でしょうがぁ」もしくは「常務が話をなさっている途中でしょうがぁ」と言ってくださいよ。吹越さん自身、敬語センスが足りないのでは?
 「臨場」season2#11(脚本 坂田義和)で「おはなししてくれるまでは、帰りません」と言ったのは、事情を知っている人から何とか話を聞き出そうと粘っていた一ノ瀬刑事(渡辺大)です。真剣な表情にこのセリフですからずっこけました( ̄д ̄)! 「話してくれるまで帰りません」と言えばいいのですよ。脚本家が「話す」をちゃんとした敬語にできないのは問題です。
 「大事にならずによかった」と「さとみは、あんたを弁護士にさせるために死んだんだ」は、誰がどういう場面で言ったのか詳しくメモすることができなかったのですが、「Dr.門倉周平の事件カルテ~佃島運河連続殺人」(脚本 林誠人)で聞いたセリフです。「大事にならずによかった」などというアホな日本語を書く脚本家、そのまま言う役者、本当にどうかしていますよ。
 これは「~ずに」ではなく「~ず」ですからね、「大事にならず、よかった」ですが、セリフにするなら「大事にならなくてよかった」ですよ。脚本家ならそれくらい理解していてほしいものです。そして、「さとみは、あんたを弁護士にするために死んだんだ」ですよ、これはもう説明する必要もないでしょ!?
 「主治医として、林田さんの希望を優先させました」と言ったのは「白い巨塔」(脚本 井上由美子)の里見先生(江口洋介)。そして、「償わさせる」は、ちらっと見ただけなのでどういうドラマか分かりませんが、言ったのは小日向文世。妙にくっきり「つぐなわさせる」と聞こえたのでがっかり( ̄д ̄)! 「主治医として、林田さんの希望を優先しました」ですよ、そして、「償わせる」です。
 「臨場」season2#8(脚本 吉本昌弘)で「お母さんとは、周平君を介して仲良くさせていただいていただけですから」と言ったのは犯人の岩瀬厚一郎(深水三章)。岩瀬は、被害者(周平君のお母さん)が住むマンションの管理人という立場ですから、「仲良くしていただいていただけですから」が適切です。こういうのは脚本家の誤りなのでしょうが、演出家も、俳優も、気がつかないのでしょうか?
 それから、タイトルは忘れましたが、刑事ドラマ(脚本 川崎いづみ)で「世の中から犯罪を防ぐことだ」というセリフを聞きました。もはや日本語として成立していません。「血痕は微量しか付着していなく」は「特捜セブン~警視庁捜査一課7係」(脚本 谷口純一郎)で佐倉響子(釈由美子)が言ったセリフ。脚本家も脚本家ですが、「付着していなく」なんて真顔で言える釈由美子の感覚もおかしいですよ。
 ところで、所轄署から異動になった新人・里中宏美がリュックを背負っていたので嫌な予感がしたのですが、見事に的中! 「よろしくお願いします」と勢いよくお辞儀をした拍子にリュックの中身をぶちまけました。小学生がランドセルの中身をぶちまける、あれと同じ、よくあるパターン、こういうのは嫌いです( ̄_ ̄)。
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