◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「度肝を抜かされたんですが」って?

2009-04-29 23:38:25 | 気になる言葉、具体例
                     わわっ、度肝抜かれた
 はい、またもや小倉キャスターです。前々からちょっとおかしいなぁと思っていたのですが、やはり日本語そのものに対する姿勢がおかしいようです。早くからフリーになって自由にやってきたからでしょうか? キャスターというのは正しい日本語で話すようにしないといけない、なんて全く思っていないのですね。そういうものですか?
 朝の番組のオープニングトーク、それだけでも、ほんの数日間でたくさん誤りを拾えます。例えば、「雇用保険に入れずに失業保険をもらえない」とか、「エグザイルの連中たちも」とか、「花粉にいいお米」とか。新聞記事の「スギ花粉に効くお米」という見出しを示し、それについて話し始めた小倉さん、花粉にいいお米がどうとかこうとか・・・、「スギ花粉に効く」も変ですが、「花粉にいい」って、花粉症の人にとって何かいいことがあるということ? 「エコノミー症候群」といい「花粉にいいお米」といい、随分いいかげんです( ̄ ̄)。
 さて、問題の「度肝を抜かされたんですが」について考えてみましょう。もうお分かりだと思いますが、正しくは「度肝を抜かれたんですが」ですね、びっくりしたのはだれでもない、小倉さん自身ですから。余計な「さ」が入っているからさ入れ? いいえ、さ入れの定義とは違う、もっとレベルの低い誤りです、多分(⌒_⌒;
 「度肝を抜く」を受身表現にすると「度肝を抜かれる」、使役表現にすると「度肝を抜かせる」、使役+受身の表現にすると「度肝を抜かせられる」となります。そして、「抜く」とは意味の違う「抜かす」の受身表現が「抜かされる」ですね。
 「抜かす」は、「番号を一つ抜かした」「順番抜かし」など、落とす、漏らす、飛ばす、という意味で、行列で自分の後ろの人が前に出たら「順番を抜かされた」と言いますよね。でも、「度肝を抜く」は本当に「抜く」の意味ですから「抜かす」ではない、つまり、「度肝を抜かす」「度肝を抜かされる」という言い方はありえないのです。
 指に刺さった棘を抜く、刀を抜く、プラグを抜く、プールの水を抜く、畑の大根を抜く、これらは「抜かす」とは言いません。逆に、1ページ抜かす、順番を抜かす、腰を抜かす、これらを「抜く」とは言いません。
 でもね、1月14日に、「押しも押されもせぬ」が「越すに越されぬ大井川」とごっちゃになって「押しも押されぬ」になっている、小倉さんも「押しも押されぬ」と言っていると書いたのですが、そんな小倉さんだから、びっくりつながりで「腰を抜かす」とごっちゃにして「度肝を抜かす」とふだん言っているのではないかと思ってしまうわけですよ。
 ところで、「押しも押されぬ」を通販CMで聞きましたよ、小倉さんたちのせいで定着してしまったじゃないですかぁ~~~( ̄д ̄)!

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