◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「そんな不況もいざ知らず」って?

2009-01-18 09:52:04 | 気になる言葉、具体例
                   そうだね、ナマズならいざ知らず
 1週間前の昼ごろ、定型の言い回しについて考えながら生放送の番組を見ていたら、VTRを流しているときに「そんな不況もいざ知らず、がっぽりもうけている」という非常にお粗末なナレーションが・・・( ̄д ̄)! 原稿を書いた人もだらけならそのまま読むナレーターもだらけ。だれかチェックしてやってよぉ、テレビの影響って大きいんだからぁ~~~。
 「いざ知らず」は、例えば、「震度5とかいうんならいざ知らず、震度1ぐらいじゃ驚かないよ」とか、「1億円ならいざ知らず、100万円ぽっちじゃ焼け石に水だよ」とか、その意味は、「どうかなぁ、震度5ならやっぱり驚くだろうけど」「う~ん、そうだな、1億円あれば何とかなるけどね」といったところでしょうか。さて、どうですか、「そんな不況もいざ知らず、がっぽりもうけている」なんて、日本語として成立していないでしょ?
 「露知らず」なら、「ちっとも知らなくて」という意味ですから、「いざ知らず」よりはこの人の言いたいことに近づきますが、「そんな不況もちっとも知らなくて、がっぽりもうけている」というのはやはりちょっと違いますね。不況だということはもちろん知っているけれど、いや、むしろ不況だからこそ、アイデアと行動力でニッチをうまくねらって当てた、それでがっぽりという話なのですから。
 例えば、寒~い冬でも、最先端の技術で作られた超あったか下着を着ていれば「寒さ知らず」、暑~い夏でも、緑の多い環境で、窓を開ければ涼しい風が入ってくる、強い日差しはグリーンカーテンでばっちり遮ってある、こういう家の住人は「暑さ知らず」ですね。「不況知らず」なら、たとえ世の中が不況であっても自分はがっぽりということになりますから、「世の中は不景気、それでも不況知らずでがっぽりもうけている」ですよ。がっぽりかぁ、だれだよ、うらやましい話ぢゃないくわぁ( ̄n ̄)。

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