かぶれの世界(新)

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半年ぶりの読書

2018-07-06 21:52:34 | 本と雑誌
3日前の久し振りの東京は湿度が高く気温以上に酷く暑かった。2年足らず前に新築した自宅は断熱性が良く冬は暖かく過ごせるのだが、夏の暑さを安価にやり過すには冷房の効いいた公共施設しかない。ということで一昨日の午後に昼食を終えて、冷房が効いた市立図書館に向かった。

昨年までならそれでよかったのだが、昨年後半から全く本を読まなくなった私が図書館で何をしようというのかと聞かれそうだ。他に何をするのか。かつて愛読した藤沢周平の短編を収めた文庫本を読んだ。海阪藩の引退した老人が主人公の、「岡安家の犬」「静かな木」「偉丈夫」の3篇だ。

100ページ余りの薄っぺらい文庫本で、あっという間に全てを読んだ。面白かった。まだ読書出来るじゃないかと思ったが、政治経済がらみのNF(ノンフィクション)物は集中して読まないと理解できない。それがもう出来なくなった。何のことはない時間潰しで藤沢周平ものを読んだだけのこと。

4階に上がって本棚巡りをしたが、是非読んで見たいと思う本が見つからなかった。一時期読みたいと思ったリーマンショック時の当事者たちの振る舞いを描いた本が一冊も見つからなかった。それではと、トランプ大統領が出現した時代背景を描いた本が意外にもみつからなかった。

駅下に新しく出来た本屋を覗いたが図書館と同じで読みたいと思う新刊ものも見つからなかった。田舎の実家にはいつか読もうと思って棚に積んだNF本が何冊もあるが、今では若干時代遅れの感がある。藤沢周平の時代小説で読書欲を取り戻すことは残念ながら出来なかった。■
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周回遅れの読書録 休止のお知らせ

2017-09-10 10:45:30 | 本と雑誌
古本屋で購入した安価な本を選んで定期的に纏めて紹介していた読書録を終わります。今年5月に田舎に滞在するようになって1冊も読んでないので、紹介しようにも何も無いのが現実。新聞やインターネットによる情報検索は以前以上に熱心なので、広義の活字離れという訳ではないと自分では思っている。

しかし紙の本(単行本)は全く読んでない。読めないと言った方が正しいかも知れない。この読書録を投稿始めてから殆どは政治経済などのノンフィクション物で、元々小説などの文芸作品は付録的扱いで余り読まなかった。今はジャンルに拘らず読む気が起こらない。東京にいる時はたまに図書館に行くがあまり気分が乗らない。

多分、二つ目の理由は是非とも読んでみたいと思う本が手に入らない為だ。この数年古本屋巡りをして安価で読みたいと思う本が見つからなくなった気がする。ベストセラー書も興味ない。具体的なデータはないが電子書籍が普及し紙の本が減り、結果として古本屋に売られる本も減った為と思う。

三つめの理由は単に年をとったせいかもしれない。が、私には説明しようがない。新聞を読んでネット検索すると「お疲れ様、終わり!」みたいな感じになる。リアルタイムの政治経済や社会的な出来事には集中するが、過ぎてしまうと興味を失う。そして個人の低次元な欲望にしか興味が持てな私が残されるという気がする。

定期刊行誌が活動を終える時、業界の慣行で「終了」と言わず「休刊」と言うのだそうだ。それに倣って私の周回遅れ読書録もお休みを頂くことにさせて貰います。また読書欲がわき紹介に値すると思う本を見つけたら、臨時で再刊させて頂きます。長い間愛読いただいた読者にお礼申し上げます。■
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周回遅れの読書録2017(2)

2017-05-08 11:20:13 | 本と雑誌
今回は「「空気」の構造」(池田信夫)と「チャイナ・ナイン」(遠藤誉)の2冊の読書をお勧めしたい。

「「空気」の構造」は近年のKY(空気読めない)という女子高生の間で流行った言葉「空気」を日本人論にまで展開した書。農耕民族か狩猟民族とかいった薄っぺらい日本人論から踏み込んで、組織全体を率いるリーダーが弱い日本型デモクラシーの特徴を描いた佳作だ。それがどの時代でも機能しないという訳ではなく、戦後の繫栄をもたらした一方で現代のグローバリゼーションではうまく働かないと、戦後の著名な知識人等の著作を引用しながら説得力のある理論を展開して中々面白い。

次に紹介したいのが中国権力構造を説いた「チャイナ・ナイン」で、既によく取り上げられ詳しく紹介するまでもない。共産党の政治局常務委員会の9人(最近は2人減ってチャイナ・セブンといわれる)の序列・経歴と力関係について詳しく解説したものだ。中国共産党政府が今後どのような動きをするのか理論的な背景を理解する上で参考になる。個人的には、テレビに頻繁に出演する遠藤誉さんがどういう人なのか伺い知ることが出来た。

(2.5+)L 「空気」の構造 池田信夫 2013 白水社 副題が「日本人はなぜ決められないか」の通り優れた日本人論である。山本七平・丸山眞男や名著「失敗の本質」等を参照しながら、「日本はタコツボ的な中間集団の自立性が強く、全体的なリーダーが弱い日本型デモクラシー」と説く。戦後長く平和と繁栄をもたらしたが、この「一国平和主義」はグローバル化の挑戦を受け機能してない。難解な参照が多くよく理解したか自信が無いが、少なくとも著者の主張する考えに共感する。

(2.5)2 チャイナ・ナイン 遠藤誉 2012 朝日新聞出版 著者は最近TVでよく見かける帰国子女の中国事情通の大学教授で、中国の権力構造の実態と今後の展開を予測したもの。中国政権中枢部の考え方と力関係を解き明かし、共産党一党独裁というステレオタイプの見方からトップ人脈の経歴と人間関係を描いたもの。彼等権力者とその一族が信じられないくらいの巨額の富を築くプロセスと共産党の理念との関係、もしくは中国人特有の何かがあるのか解明され無かったのが残念。

(2.0)2 池上彰のこれが「世界のルール」だ! 池上彰 2015 文芸春秋 週刊文春の連載コラムを纏めたもので、ISIS・朝日新聞の掲載拒否・中国ウクライナ北朝鮮事情・EPA/FTAなど貿易協定等の時事ネタについて分かり易く解説したもの。最後のDOWANGO社長のインタビューが型破りな発想で面白い。分かり易い半面どうしても内容が表面的で浅いが、短時間で概要を理解するには便利、知らないよりはましな情報を与えてくれる“一口知識”といったところか。 

(2.0+)2 グローバル・エリートの時代 倉本由香利 2012 講談社 グローバル化を3つの波(販売・生産・組織)に分け、現在は3つ目の波「グローバル組織」にあたり、必要な人材としてグローバル・エリートに必要な7つのスキルを紹介したもの。当たり前みたいだが第2の波(海外生産)を経験した私にも説得力のある内容だ。当然のことながら、著者のいう「ローカル・サポーター」を主力とする世界的ポピュリズムの反乱が本書のような綺麗事では済まされない事態までは予測していない。 

凡例:
 (0):読む価値なし (1)読んで益は無い (2):読んで損は無い
 (3):お勧め、得るもの多い  (4):名著です  (5):人生観が変わった 
 0.5:中間の評価、例えば1.5は<暇なら読んだら良い>と<読んで損はない>の中間
 -/+:数値で表した評価より「やや低い」、又は「やや高い」評価です。
2: 古本屋で手に入れた本
L: 図書館で借りた本
新: 「定価」で買った本
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紙ってる!?

2017-04-03 12:54:17 | 本と雑誌
欧米で紙の書籍が復活の兆しを見せていると、昨日の日本経済新聞の記事を見て嬉しくなった。値下げに反発する作家の抵抗でアマゾン・ドット・コムは値下げを諦め、2014年を底に電子書籍も紙も価格差が無くなり若者を中心に紙の本に戻っているという。海外に行く機会が無くなった私は全く知らないトレンドだった。

新たな魅力作りで「紙ってる!」に成功した大手書店が売り上げを伸ばし、アマゾンも状況を見て書店を作り紙の本を売り始め今後も書店を増やしていく計画だという。書籍販売の長期低落が続く日本とは対照的だと記事は伝えていた。今朝の日本経済新聞はその辺の日本の出版界事情を伝える記事があった。

出版取次最大手の日販とトーハンが都市部で本の共同配送を行う、全体配送量が大幅に落ち込むのにコンビニの増加で小口化が進み効率化に迫られたことが背景にあるという。どうも日本では「紙ってる!」現象はまだ起こってないようだ。電車に乗ると1車両に紙の本を読んでる人は多くとも1,2人程度で変化を感じない。

この数年、東京も田舎の古本屋もこれはという本を見つけるのが難しくなった。私が会社を辞めた15年前頃から全国展開しているBOOKOFFを利用し始めた。この古本屋は本の内容と傷み具合によって値付けされ、一定期間売れないと値下げするキャッシュフロー重視の経営で急成長していた。私にとっては高価な名著でも安くなるのをじっと待って買った。神保町の高価な希少本はいつまで経っても高価なのと好対照だった。

当時は世界的名著の「文明の衝突(Sハンチントン)」とか、「歴史の終わり(Fフクヤマ)」などが嘘みたいな値段で手に入った。住んでいる人達の知的レベル(不遜な発言で失礼!)によってお店に持ち込む古本を推測して、遠くの町のお店まで遠出すると運が良ければ上記のような本を手に入れることが出来た。

ところが最近ではそのような幸運に恵まれることは全くなくなった。私の推測は電子書籍の普及で紙の本を古本屋に売る人が大幅に減ったのではないかと思う。更に紙の本は週刊誌などの雑誌類の比率が相対的に高まったのではないかと思う。結果として私の場合、古本屋あさりの頻度を減らし図書館の利用が増えた。

だが、上記の記事を見て日本にも「紙ってる!」現象が遅れて入って来ると期待を込めて予測する。それには大手書店が頑張って魅力作りし、それに触発され中小書店も地域に根差した独自の店作りをすることだと思う。欧米を真似ればいいのかどうか、素人の私は分からないが時間がかかりそうだ。■
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周回遅れの読書録2017(1)

2017-02-28 18:38:27 | 本と雑誌
相変わらず読書ペースが遅い。言い訳としては、昨年暮れから読んだ本は中々読み応えがある長編作があったため。今回は自信をもって読書をお勧めしたい本がある。「スーパーパワー」(Iブレマー 日本経済新聞)と「危機と決断」(Bバーナンキ 角川書店)、「クラウドソーシング」(Jハウ 早川書房)の3冊である。

最初に、米国のとるべき道は自国優先主義と提案する「スーパーパワー」である。米大統領選の1年前にまるで「アメリカ第一」を主張するトランプ大統領の出現を予測したかのように思える内容だ。世界的に尊敬される政治学者の著者は、米国の相対的衰退の下で展開されたオバマ大統領の曖昧政策を非難し、意外にも「自国優先」を説く内容だ。おバカなトランプではない、あのブレマー先生の主張なのだ。トランプ大統領が出現しなかったら世迷言のように受け取ったかもしれない。その意味では今最も読むべき本ではないかと思う。

その次にお勧めしたいのはバーナンキ米連銀議長の回顧録「危機と決断」だ。私はリーマンショックが起こった時の数々の疑問、何故世界最高レベルの中央銀行総裁が事前に危機を認識できなかったのか、何故欧州の回復が震源地の米国より遅れたのか等々、に対する著者の明快な答えが書かれており面白かった。特に彼が欧州をどう見ていたか興味深い。

これでリーマンショックに対処した財務省及び連銀の責任者3人組の回顧録(Hポールソン、Tガイトナー、Bバーナンキ)を読んだことになる。リーマンショックに米国政府当局がどう対応したか、どんな仕組みの問題があったのか全貌がそれなりに分かり、その後の政策の理解の助けになったと思う。

上記2冊とは毛色が違うが「クラウドソーシング」も是非読書をお勧めしたい。我々高齢者にはちょっと縁遠いITが作り出した新しい知的創造の在り方を教えてくれる。優れた専門家ではなく(コンピューターやスマホと検索ソフト等を道具として当たり前に使いこなす)普通の群衆の方が優れた知的活動するプロセスは中々衝撃的だ。8年前に書かれたものだが、我が国がこの分野でどこまで来ているのか心配になる。

(2.5+)新 クラウドソーシング Jハウ 2009 早川書房 リナックスからウィキペディアやYoutubeまで様々な形のオンライン・コミュニティが創り出す集団的知性の膨大な具体例を紹介・分析し共通する考え方を解説したもの。群衆の1%の1%の1%が生み出す宝を選び出すGoogleの役割などを分かり易く体系的に説明されている。色々な具体例が出て来るので少し煩雑で読みずらいかもしれない。

(3.5+)L スーパーパワー(Gゼロ時代のアメリカの選択) Iブレマー 2015 日本経済新聞 3つの選択(1)独立するアメリカ;自国優先主義、(2)マネーボール;利益優先主義、(3)世界に積極関与;価値観で世界をリード、を米国の相対的影響力衰退の前提で議論し(1)自国優先を提案する書。オバマ大統領を慎重なマネーボール実践者と厳しく批判し、アメリカ国民は世界に関与を望まない、マネーボールは貧乏国の政策とし、利益優先主義は高価な過ちを防ぐからと選択。米国第一を説くトランプ大統領の出現を論理的に預言した内容。

(3.5)L 危機と決断(上・下) Bバーナンキ 2015年 角川書店 バーナンキ連銀(FRB)議長の回顧録で、子供から学生時代を軽く触れた後、2006年にFRB議長に就任後世界を恐怖に陥れたリーマンショックへの対応が詳細に書かれている。誰がこう言ったああ言ったと金融政策中心に700ページ以上にわたり細部が描かれており疲れる。だが、何故住宅バブル認識が遅れたか、金融システム監視が困難だったか、ベアーとリーマンの違い、欧米のストレステストの違いの影響、グラス・スティーガル法が役に立たない理由、などが単なる解説ではなく詳細な出来事を追っていくことで著者の理解が分かる。

(2.0)L 金融政策の死 野口悠紀雄 2014 日本経済新聞 金利データは経済動向を示すという考えを基本に、デフレ脱却による経済活性化を狙うアベノミクスは誤りと指摘する。機能したのは第2の矢(公共投資)だけという。だが、リーマンショック後の各国中央銀行の金融政策と回復を比べると、量的緩和などの金融政策が効果的だったはずだ。本書は理屈と結果を照らし合わせて謙虚に評価する姿勢に欠けていると感じる。

(2.0-)L 第6の波 JBムーディ 2011 徳間書店 250年前から始まったイノベーションを区分すると1)鉄、2)蒸気、3)電気、4)石油、5)ITと来て、現代は資源の効率利用する者が成功する時代と説く。言い換えると第6の波は商品からサービスを売る時代であるという。私には著者が主張する第6の時代はピンとこない、情報通信(IT)時代の一つの派生であるようで新時代の興奮を感じない。単に本として面白くないだけかも。

凡例:
 (0):読む価値なし (1)読んで益は無い (2):読んで損は無い
 (3):お勧め、得るもの多い  (4):名著です  (5):人生観が変わった 
 0.5:中間の評価、例えば1.5は<暇なら読んだら良い>と<読んで損はない>の中間
 -/+:数値で表した評価より「やや低い」、又は「やや高い」評価です。
2: 古本屋で手に入れた本
L: 図書館で借りた本
新: 「定価」で買った本
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