4-6月期の米GDP速報値は年率換算で市場予測(3.0%)を大きく超えて4.0%増と高い成長を記録、米国経済が3%台の安定成長に戻るとの観測も出て来たと報じられた。消費の持ち直し、企業投資・在庫積み上げ活動が貢献したという(日本経済新聞)。
その直前にIMFはFRBの拙速なゼロ金利解除に警告する形で、予測を下方修正しており必ずしも楽観的な見方一色という訳でもないと感じる。30日のFOMCでは予定通り量的緩和の縮小を決定したものの、数字的には強い雇用状況にも拘らず異例の厳しい認識を示したという。イェレン議長が「超ハト派」的姿勢を示したと豊島逸夫氏は同紙に書いている。それで良いのだろうか。
世界市場はIMFから新興国まで、イェレン議長のハト派的金融政策の継続を切望している様に感じる。だが、一方でリーマンショックから6年もの長きにわたる金融緩和でマネーがジャブジャブになり、実体経済を遥かに上回る金融取引という現在の状況に、私は秘かに恐怖を感じている。バブルが起きるか起きないかではなく、いつ起きるかだと。
もしかしたら、バブルはもう起こっているかもしれない。金融緩和がバブルの要因となるかも知れないのに、「バブルは崩壊してみないと、バブルかどうか分からない。」というグリーンスパン元米連邦準備理事会(FRB)議長の有名な言葉がしばしば引用される。バーナンキもイェレンも言ったかどうか知らないが、基本同じ考えの様に私は感じる。彼等はバブルが弾けたらどう収めるかが仕事と思っている。それでは困る、無責任だと私は思う。
バブルはどこで起こるか分からない。上記の様に米国は大した経済成長でもないのに、NYダウジョーンズは史上最高値を記録した。従来の判断基準を見るとPER(株価収益率)は16.9近辺であり企業業績に見合った株価といって良い。だが、企業業績自体がバブルにのっかてたらPERが正常だといっても意味がない。
今、新たなサブプライム市場が注目されている。今度は低所得者向けのサブプライム自動車ローンだ。その残高がじわじわと増え、自動車の販売増につながっているという(日本経済新聞7/30)。何故凝りもせず支払い能力の疑わしい連中に融資しているのか。自動車市場がサブプライム・ローンで活況なら、業績連動で株価が高くなったPER値を見ても安心できない。
金融緩和で有り余ったマネーを手にした投資家が、超低金利下でサブプライムのような少しでも利回りの高い金融商品を求めている。日米などの長期金利が異例の低空飛行をする中、南欧の国債やハイイールド債が買われている。日本の個人投資家も例外ではなく、ハイリスク・ハイリターンのハイイールド投資信託が売り上げランキングの上位にあるらしい。
金融緩和で金余りになった世界が一斉に、高利回りを狙って高リスク商品に投資している。世界はバブルに向かっていると私は感じる。だが、今ならイェレン議長に打つ手がある。神様と言われたグリーンスパン元連銀議長がリーマンショック後に厳しい評価を受けたように、数年後にイェレン議長が非難される事態にならないよう祈りたい。■