かぶれの世界(新)

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誰も信用できない時

2011-07-30 21:53:27 | 社会・経済

お金が逆流している

今朝目が覚めてラジオをつけると、NY外国為替市場でドル売りが進み4ヵ月半ぶりの安値を96円台突入、NY証券市場はダウ平均96円安、金最高値更新・原油急反落・長期金利急低下を報じていた。最も安全な住処であるはずの米国債に小火(ボヤ)が出て、マネーが慌てて飛び出して他のより安全な住処を求めて逆流し始めた様に感じる。

この異変の直接の原因は、米政府の債務上限引き上げと財政赤字削減めぐって政治が迷走し、このまま8月2日を迎えれば債務不履行や国債格付け引き下げ必至の状況だからだ。先週まではギリシャの財政危機が欧州を揺るがし、最悪ケースはイタリー・フランスにまで波及すると恐れられたが、とりあえず救済案が合意され問題は先送りされた。そして次にドルが獲物になった。

世界は財政危機競争

多くの先進国は財政危機に陥ったが、国民の反発を恐れて政治は根本措置を先送りしている。政治の機能不全は日本だけではない。米国は来年の大統領選に備えて財政問題を人質にとって駆け引きをしている。欧州は一人勝ちのドイツに何とか金を出させようと救済スキームの争いでユーロ安になる一方、お陰でドイツ経済が益々強くなる構図が続いている。

世界のあちこちに時限爆弾やパニック・ボタンがあり、どこか1箇所で押し間違えると再び世界同時信用不安を引き起こす状況にある。リーマン・ショック以降に急増した過剰なマネーが梃子の原理で事態を大きくしているのだ。従来と異なるのは、かつてない過剰流動性が受け皿からはみ出して実体経済を圧倒し、マネーの流れに大きな歪みを与えていることだ。

誰も信用できない事態ですべきことは

日米欧の財政危機は、正に「誰も信用できない」状況である。頭に浮かんだイメージを最近読んでいる時代小説風に言うと、手傷を負って逃れて荒野のみすぼらしい農家に隠れたが、三方から追っ手らしき人の声が迫ってくる中、手当てをしてくれる農民の娘に身を委ねる落ち武者の姿だ。

その心は、誰も信じられずかつ即座に意思決定が求められた時の選択は限られている。全て信用できなくとも娘を信じて傷の応急手当を頼み、残る一方の逃げ道を確保するしかない。当座の目標は「質への逃避」であり、娘は「米国債」、一方の逃げ道の確保とは「流動性の確保」である。

楽観的な理由

最後には米国の債務上限引き上げの対立は決着する、と市場は高をくくっている。そんな馬鹿なことはしないと。私が米国に赴任した90年代半ばにも、クリントン大統領と議会が債務上限引き上げと歳出削減要求が対立し連邦政府窓口が閉鎖される事態になった。当時それ程大騒ぎしなかったように記憶しているのは、総合的な米国の国力が圧倒的で疑いがなかったからだろう。

今回のメディアの論調は概して私以上に楽観的だ。日経(豊島逸夫氏)は「それでも米国債は買われる」といい、WSJは「苦笑いして持ち続けるしかない米国債」と言う。又、ホスキンス氏(元地区連銀総裁)は仮に8月2日に間に合わなくともカタストロフィックな事態にはならないという。現実的に巨額のマネーが納まる住処は米国債以外にないと私も思う。

最悪ケースにどう備えるか

私も楽観的だが、万が一の可能性がゼロではないと思う。格付け引き下げの可能性はかなりある。馬鹿な事態(債務不履行)になるとすれば、多分それは「原理主義」が劇薬になった場合のことである。茶会の原理主義は共和党の妥協を妨害して劇薬になる恐れがある。その場合、経済よりも米国の政治景色を大きく変えることになるというのが私の予想だ。

最悪ケースの雛形は既に市場にある。株価下落・円高・長期金利上昇・・・がより進むが、リーマンショックのようなカタストロフィックな事態に展開することはないと私も期待して予測する。今後の事態を見守りいざという時、夫々の事情に合わせタイムリーに現金化できるよう備えるのがベストだろう。だが、私は田舎に農家はあるがそこに娘はいない、不安を隠して事態の推移を見守るしかない。■

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なでしこにスポーツマンシップはあったが

2011-07-27 10:49:18 | スポーツ

見事世界一になった日本女子サッカー「なでしこ」にスポーツマンシップがあったかどうか、あってもマスコミや私が見逃していたのか問いかけ、選手や監督に手本になる発信したらどうか、と投稿した。それから1週間後、指摘するまでも無く彼等はスポーツマンシップを発揮したと分った。

ニューズバラエティ番組は依然として視聴率の取れる商品として選手を登場させ、サッカーと全く関係のない質問を連発してタレント・芸人化させ続けている。視聴率が取れる間は選手を消費し続けるだろう。澤のように山谷を経験したベテランは別にして、いつか勘違いする選手がでて傷つき容赦なく消耗させられることを心配する。

そんなバカ番組に出演せず帰国後所属するチームがある岡山の田舎町にさっさと帰った選手がいた。澤と並び日本優勝の立役者だった宮間だ。彼女の高い技術レベルとゲーム勘・判断速度は際立っていた。顔を見せ優勝を報告したい場所の彼女の優先順位に、私は信念を感じた。

彼女のプレイスタイルには職人を思わせるクールさがある。彼女がサッカー以外の質問を露骨に軽蔑して無視する映像は見てはいないが、マスコミと一線を画しバカな質問を拒絶した中田やイチローなど職人肌のトップ選手に共通する臭いがある。

同時に彼女がPK戦で敗れた米国キーパーのソロに示した思いやりが、米国のテレビ番組で紹介され彼女自身が尊敬を受けていたと報じられたと聞き感心した。彼女は深く傷ついた米国選手のことを思い、喜びを心に秘めて抑制した表現にとどめたという。サッカー選手より前に人として尊敬を勝ち得たのだ。何故日本のマスコミは報じないのだろうか。

海外でプレーした経験のある他の日本選手も米国チームの強さを称え、米国選手に思いやりを見せる場面があったようだ。佐々木監督も「内容ではアメリカの勝ちだ。やっぱり世界一のチームだ」とインタビューでアメリカ側を称えたという(田村耕太郎氏)。

世界一になった熱狂が一段落して、興味が選手のサッカー以外のプライベートに向う一方で、例によってNHKが生真面目にゲームを冷静に振り返り、日米のキープレーヤーにインタビューしながら戦略と精神状態を分析し何故勝てたか紹介する番組も出てきた。

だが、これだけ時間が経過して唯一公平性が期待できるNHKでも、基本的に日本側に立ったものの見方だ。試合中から日本一辺倒の中継や報道をした日本に比べ、上記田村氏によれば米国の中継(ESPN)が両チームを公平に分析し日本の技術・チームワークを高く賞賛し、試合後はなでしこを気品があって最も尊敬を受けたチームといって番組を終えたという。

私は、これを聞いて完全にノックアウトされた。日本の負け!文化的背景の違いだけでは済ませられない。選手層をピラミッド構成に喩えるように、スポーツを見る目を一般のファンからスポーツ報道と解説者までのピラミッド構成とすると、日本のピークは誰も知らない山だ。登るべきスポーツマンシップ山はまだ高い。■

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小説・二枚舌世論

2011-07-25 14:55:52 | ニュース

肉牛の放射能汚染騒動について一連の報道を見て、こういうことなら起こりかねないと皮肉屋で性格の悪い私が思いついたファンタジーです。

準値を超えるセシウムが検出された肉牛が全国に出荷され、その後の追跡調査で多くは既に消費されていると判明し大混乱になった。国内肉牛市場の15%を出荷する業界最大手の株式会社「ミート東北」は汚染が傘下の関西工場にまで広がっている事態に直面し全出荷を停止、流通在庫の回収に努めている。

しかし、全国の消費者はいっせいに国産牛肉の購入をやめ、売れるのはオーストラリアや米国からの輸入品だけになった。影響を受けたのは川上の肉牛生産者から小売・外食産業まで広範にわたった。政府は仮にセシウム汚染牛を食べたとしても直ちに健康に影響はないと沈静化に努めたが、全国のPTAは給食メニューから牛肉を使った料理を外すよう緊急要請がなされた。

農林水産省は3月19日にも原発事故直後に収穫したり屋外にあった稲わらを使わないと早々に文書通達していた。牧草汚染が発表された際には、牛の放牧と牧草を与えることを控え、輸入飼料を使うよう指示したと報じられている。なのに何故通達が守られなかったのか当局はミ-ト東北陸奥社長を呼んで説明を求めた。社長は汚染牛の出荷は謝罪し今後万全の体制で食の安全に取り組むと表明したが、肝心の通知は受けてないと応えた。どうも本当らしい。

T

BSのニュースバラエティ番組でみのもんた氏が、逸早くミート東北の対応を鋭く追及して火が点き、みねやが火の手を広げた。新聞テレビは一斉に集中豪雨的報道を開始し、ミート東北はトップから従業員まで悪の巣窟になった。彼らの人権はなくなり週刊誌は家族のプライベートまで詳細に報じ、その一部はテレビで全国放送された。その中で創業者の孫で広報担当のみちのく氏は飄々として社内事情を率直に語り一躍お茶の間におなじみの顔になった。

彼は何故ミート東北だけが非難されなければならないのか、元々原発事故を起したのは東電だし、農水省の通知は県と農協に届いたが、ミート東北は直接通知されなかった。しかも、通知内容は曖昧だった。福島県産ならともかく避難指定区域から十分離れている宮城県産の稲わらが汚染されるとは考えもしなかった。稲わらの安全性は稲わらの生産業者が担保すべきで、購入の前提としてそういう信頼関係があった、ミート東北もその意味では被害者だと。

だが、テレビ評論家達は食品を国民に提供する企業責任が何か基本が分ってないと舌鋒鋭くミート東北を責め立てた。原発事故後の放射能汚染の危険について世界中が大騒ぎしている時、国や県からの検査の指示がないからといって、稲わらを無条件に使ったのは会社の危機管理に重大な欠陥がある、企業の社会責任を果してないと避難した。

一面では評論家達の指摘も尤ものことだ。宮城県どころか、もっと遠い北関東の葉野菜や静岡県の茶葉の放射能汚染は既に3月には報じられていた。そういう状況をちょっと考えれば宮城県産の稲わらを無検査で飼料として使用することの危険性は予測できたはずだと。会社が同族経営で社員がやる気を失いモラルを感じないと、しまいに非難のための非難にエスカレートした。

報担当氏はさすがに立ち往生する場面が目立つようになった先週、突然工場勤務に移動した。新広報担当によれば定期人事異動の一環だったというが、週刊誌が女子社員との関係を暴露した直後だけに誰も信じなかった。悪い事は続く。全出荷が止まり返品対応に追われている間にミート東北の資金繰りが急激に悪化し始めた。

従業員8000人に契約農家2000戸を抱え東北の雇用を支える地元有力企業の経営悪化は、東北震災復興の足を引っ張ることになると憂慮される事態となった。契約農家から救済を求める声に地元選出の政治家が動き、政府が汚染牛全頭買い取りを検討すると伝えられている。しかし、企業の責任を明らかにせよという声が全国の消費者からあがり政府は対応に苦慮している。

混乱の最中この週末に行われたテレビ番組「政治討論会」で議論が伯仲する中、普段KYといわれている評論家永森氏が突然出演者全員に向って「あなたたちは偽善者だ。これが農家の被災者だったら、原発事故被害者として同情されていたはずだ。危機管理がなってないとか考慮不足だと非難されることも無かったろう。

ところが、同じ事をしても会社だったら日本国中から大バッシングを受ける。会社は悪者ですか。しかも、バッシングの陰に隠れて農協・自治体・農林省も責任追及を逃れている。農家は見逃し助けるが、企業だと過失を許さない。とんだ二枚舌だ。」と喚いた。

しかし、またKY発言が始まったと無視され、誰も応えず司会者は何事も無かったように番組を進行させ終った。■

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台風の恵み

2011-07-22 18:50:15 | 日記・エッセイ・コラム

西日本を大雨でずぶ濡れにした台風が去って、多分今日が最後の涼しい日となり、明日からは又猛暑の夏が復活しそうだ。午後、中央図書館に出掛けた。館内に入ると蒸し暑い。冷房中の体感温度は外気との温度差だ。館内の温度設定が28度で一定だとすると、今日みたいに30度以下で風がある日は却ってエアコンが効いている室内の方が暑く感じるのだろう。

それにしても台風が来てくれたお陰で気温が下がり、沸騰しかけて機能不全に陥っていた私の脳みそが復活した。この2、3週間数ページしか進まなかったSハンチントンの本をやっと読み終えた。それまではエアコンを切った部屋に寝転がって、テレビのサッカー中継や映画を見るくらいだった。

暑い日が続くと私は昔から食事が乱れ体重が増えるのが常だった。暑さを紛らわす為にしょっちゅう何か食べる。この夏は一度暑さで立ちくらみしたので用心して動き回らない。テレビも老人は用心しろと言ってることだし。今回も暑かったこの2、3週間で2kg増え、68kgになった。先週土曜日に久し振りに家族揃って高尾で食事をした時撮った写真の私は、お腹の膨らみがシャツからはみ出す勢いで相当にみっともない。涼しかったこの数日は踏みこたえているが体重は減らない。

このところ調子が悪かったのは何も私だけではない。日本の政治はずっとグタグタだし、欧州は繰り返すギリシャ危機から抜け出せず、米国は財政危機を巡り大統領と議会の対立が続き国債が債務不履行の瀬戸際にある。新興国は物価上昇を抑える為金利上昇が相次ぎ経済成長が減速し始めた。これを反映して世界の株式市場は軟化し、海外シフトした私の金融資産も随分値打ちが下がった2、3週間だった。

ところが、台風に本土に近づいた頃から事態は好転し始めた。欧州では民間負担を含むギリシャ救済スキームが合意したと今日の夕刊は伝えた。米国では財政赤字を減らす為の増税と、財政赤字の上限値を見直すギリギリの交渉がまだ続いている。だが一方で、好調な企業業績が続き財政不安を乗り越えNY市場は株価を一気に押し上げた。その結果がEUの株・ユーロ高、米国の株高・ドル安であり、これを反映して今日の日本の株・円高となった。

多分週末に私はもう1冊本を読み、体重は少し減らし、金融資産は少し値を戻すだろう。これは全て台風のお陰である。昨年お世話になった田舎の老庭師からたまたま午後一番で電話を受けた。聞くと、愛媛は昨日午後から急に暑くなったという。天気予報は東京も明日から30度を越える気温になるという。出来れば北方の高気圧にもっと頑張って欲しい。不見識な発言を許して頂ければお盆までに後2,3個台風が来て日本と私の脳みそを冷やして欲しい。■

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スポーツマンシップは民度の表れ?

2011-07-19 16:56:49 | スポーツ

世界一になったなでしこジャパンが凱旋帰国し、マスコミは今まで無視していたのに一転して、選手のプライベート生活を過去から穿り返し、親戚友人から憧れる子供たちまで登場させ、集中豪雨的な報道をしている。進歩がないこの連中のやり方は本当にうんざりする。

だが、これはまだ予想されたこと、今回もっと気になることがある。対戦したチームやその国のマスコミがなでしこを称える記事を何度も見た。だが一方で、日本の選手・監督からマスコミまで相手チームを称えたという報道を全く見なかった。実は言ったのかもしれないのだが。

マスコミか私のどちらかが見逃したのかもしれない。日本の選手もマスコミも相手チームを称えるスポーツマンシップがないとは思いたくない。だが、対戦相手に対して敬意を表す発言や記事を全く見ないとなると寂しい限りだ。これって正に二流国の表れかも?

昨今の政治とそれを伝えるマスコミが三流なら、スポーツとそれを伝えるマスコミだけ一流になれといったって無理かもしれない。と偉そうに言ったけど、ドイツファンも米国ファンも「日本は勝利に相応しい」となでしこを称える報道を見て、彼らの見る目の確かさと成熟した大人を私自身やや意外感を持って受け止めた。

今まで考えたこともなかったけど、政治もスポーツも基本は同じかもしれない。「政治は民度の表れ」と同じで、「スポーツマンシップも民度の表れ」ということか。今回、なでしこはフェアプレー賞も受賞したが、マスコミは感情抜きに事実を伝えただけ。例によって選手監督の勝利への貢献をプライベートまで根掘り葉掘り伝え感情に訴えるのに忙しい。こりゃー教育に悪い。

だが、次世代を担う子供達の為だけではない。寧ろ大の大人達にもフェアプレーと相手を称えるスポーツマンシップの大事さを世界一になったのと同じ重みで伝えるべきと痛感する。マスコミの記者諸君には特別必要な気がする。

このままだと勝っても負けても相手を称える良き勝者や良き敗者となることの重要な手本を示すまたとない機会を逃しそうだ。佐々木監督、澤キャップテン!今からでも遅くない注目されている間に子供たちにお手本を見せて下さい。マスコミが無視したら是非ネットで発信して下さい。■

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