かぶれの世界(新)

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お金で寿命は買えるか

2006-09-30 22:58:18 | 健康・病気

今月始めAPが面白い記事を流していた。ハーバード大学マレイ教授の調査によるとアメリカ人の寿命は収入よりも人種、居住地域によって大きく異なることが報じられた。収入と生活習慣では簡単に片付けられない、端的に言うと「お金で寿命は買えない」と報じている。

それによるとアジア系女性の1人当たり平均年収は2.2万ドルで平均寿命は最長で84.9歳なのに対し、中部に住む女性(殆ど白人)は2.5万ドルだが77.9歳で7歳も短い。同じ白人女性でも北部農村に住む人達は1.8万ドルと少ないが、79歳だ。収入と寿命は比例しない、土地・人種に係わる生活習慣・気候などが複雑に関係しあっていると説明されている。

もう一つ注目すべきは同じ人種でも住む地域、例えば南部農村とか都心貧困地帯、アパラチア低所得地帯によって平均寿命がかなり違うことであった。これは際立って日本と異なる。厚生省の2000年都道府県別生命表」(2002年12月発表)によると平均寿命の最も長い県と最も短い県との寿命差は、男3.23年、女2.32年と差が少ない。

更に、アメリカ的高脂肪食習慣に変わったアジア系アメリカ人2世が移民してきた親と同じ長寿を受け継いでいる結果が出たことだ。アジア系人種には脂肪をうまく消化出来ず蓄積させる体質があると聞きかじりの知識があった私には意外だった。しかし、記事によると何故そういう結果になったか原因を分析するところまで到達していないようだ。

ネットで調べたところ信州大学が日本の地域ごとの寿命と天候など諸条件の相関を追跡調査した報告を見つけたが私には意味のある結論が見当たらなかった。人種や気候、生活様式など多様な組み合わせがある米国ではもっと極端なケースがあるが、それでも寿命との明確な相関関係が分からないのだから当然かもしれない。

今回の調査結果は政府当局(CDC)にとって医療費抑制の為肥満を統計的に見て対策するだけではなく、地域を絞った対策とか分母を小さくして対応する必要があるという教訓を与えたようだ。途上国と先進国がいり混じって存在する米国の今後の調査は興味があるが、日本の場合寿命の地域差はそれほどなく、意味のある結果を期待するのは難しいと思われる。

蛇足だが、深刻さから言えば今話題になっている国内の格差こそ層別して分析するアプローチが有効だろう。■

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高品質CD

2006-09-29 15:13:17 | 音楽

ようやく読書の意欲が湧く季節になった。夏の暑さの中では集中力を保って本を読むことが出来なかった。この季節に好きな音楽を聴きながら本を読めるのは私には最高の贅沢だ。このところ読書中はジャズやカントリーから気分転換でクラシックを聴くようになった。

最近手に入れた中古CDのうち音質が抜群にいいものがあった。ドイツのMazur Media GmbHのバッハのブランデンブルグ・コンチェルトだ。普段クラシックに余り馴染の無い私は知らないオーケストラ(Opera)の名前だった。豊かで臨場感があり私の持っている他のCDとは全く次元の異なる世界が広がった。

ジャケットを見ると20-bitDigital技術で録音されたという。インターネットで調べると会社は2004年に流動化(整理)されたということで詳細が分からない。音楽フリークの義弟から音源と録音方式によって音質が全く違うものになると聞かされていたので、多分これがそういうことなのだなと思った。

再生したメカは、99年始め帰国した当時購入したもので、日本で流行り始めていたシステムコンポだ。パイオニアのDVD/CDプレイヤー(96kb 24bit DAC)とヤマハの5.1チャンネルAVアンプだった。それ程大した買い物ではなかった。しかし、このバッハを聞くとこんなメカでも音源によってこんななにいい音が聴けるのかと嬉しい驚きだった。

退職金を使って田舎のうちを改築しAVを楽しむための部屋を作りシステムを購入した。それに比べて圧倒的に安価で普通の居間に置いただけのシステムでこんなにいい音が聞けるなら、随分無駄なお金を使ったことになってしまう。ちょっと複雑な気分だ。

改めて中古CDを売っているお店に行き物色したが、他にはHDCHigh Definition Classic)レーベルのCDは見当たらなかった。その代わりにビクターの20 bit K2 HQ-CD 技術で50-60年代のマスター・テープをカットしたCDを2枚買った。クラシックでなくDuke EllingtonChet Bakerだ。

早速聴いてみるとこの手の復刻版に比べダイナミックレンジは広く、特に低音の伸びを感じた。しかし、上記バッハのような音の豊かさと広がりは感じなかった。HQ-CD20 bitサンプリングだが16 bitにコード化するといっている。HDC20bitサンプル後どうするのか不明だ。

サンプリング後のコーディング方式ではなく音源の差かもしれない。バッハは生演奏を録音し、ジャズはマスター・テープからのカットなので元々音源の差が出たのかもしれない。私はラジカセでジャズでもカントリーでも、クラシックだって何だって楽しんで聴けばよいと言うほうだった。1枚の中古CDのお陰で楽しみ方が広がった。■

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ヘッジファンドが今度は天然ガスで大損

2006-09-28 13:18:06 | 社会・経済

安倍新政権誕生に注目している間に、又もや、ヘッジファンドが大損をするという事件が起こっていた。ヘッジファンドが話題になる時は必ず世界の何処かで何か異変が起こっている時であると注目してきたのだが大騒ぎに気づかなかった。98年SLTC以来の損失だという。

原油などのエネルギー資源価格が動いている時は先ず何かが起こっていると考えて差し支えない。今回は天然ガス価格低落が原因だった。報道によって数字が一致しないが、ヘッジファンド「アマランス」が運用総額9.25億ドルのうち65%(約7000億円)の損失を出した。

ヘッジファンドの性格上詳細は良く分らないが概要は大体以下のようなところだ。天然ガス市場に巨額の投資をしていたアマランスが市場価格低落で債務不履行になる前に、貸し手のJPモルガンとシタデル(投資グループ)が借金の形に保有資産を買い取り、これを売り捌いて投資回収に向かったと見られている。

アマランスは優良銘柄の一つと見做されていたようでGoldman SachsMorgan StanleyCredit SuisseDeutsche Bankなどウォールストリートのビッグネームが、ファンドオブファンドのポートフォリオとして投資していたようだ。

これら機関投資家のうち、レーマンブラザーズは既に昨秋半分以上の投資を引き上げており通算でトントンだったらしいが、最終的に損失を被る顧客として3Mとかサンジエゴ郡退職基金など名前が挙がっている。市議会で問題指摘され議論されると見られている。海外顧客の名前も挙がっておりリスクマネーに向かい始めた日本発の資産の中にも、上記ビッグネームのファンドオブファンドに投資され損失を被る機関投資家が出る可能性がある。

お金に規律や倫理を求めることは出来ないが、ヘッジファンドをもっと透明性の高いものにすべきだ。殆どは正式コメントで得られた情報ではなく匿名とか憶測だ。人間の欲は限りが無く活力の源泉でもあり否定するものではないが、制御可能な範囲に保たなければならない。グローバル化の進展に伴いグローバルマネーは益々規律を失ったように感じる。長期的には今後もエネルギーと資源関連は投機の対象になるのは間違いない。 

今回のレバリッジ・レートは4.5程度だそうで金融危機を引き起こすほどのインパクトはないらしいが、これほどの損失がある日突然表面化し、しかも関係者は口をつぐみ何が起こっているのか分からないとうのは明らかに異常だ。水面下のお金の流れの可視化が求められる。さもないと何時か酷いしっぺ返しを受ける。■

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安倍内閣、世界の報道

2006-09-27 11:15:08 | 国際・政治

Topix.netを使って安倍新政権誕生の世界のニュースを追ってみた。米英およびアジアの英語新聞から昨日約80、今朝約50の記事があった。殆どの記事は安倍氏がhawkishnationalistoutspoken-conservativeと言うレッテルを貼って書き出していた。安倍氏がタカ派というのは世界共通の見方のようだ。

政策的には日中関係の改善への期待する一方で、構造改革がスローダウンする懸念が経済界にあると報じられている。安倍氏の右翼的性格はワシントンには良いものの、中国との関係改善は容易ではないだろうと言う見方もある。尾身氏が竹中氏に比べ日銀の独立性を尊重する発言が意外と大きい扱いであった。

小泉氏に比べカリスマ性がなく改革が進まなくなる懸念があり構造改革の継続性が注目されている一方、格差問題には触れられていない。教育改革など国内に閉じる政策は注目されてないのは当然だろう。米国大統領型の補佐官を揃えた新しいスタイルも殆どの記事は触れていない。

日本のメディアがこぞって紹介したワシントンポストの社説は実にバランスが取れた見方だった。米国の地方紙でこの記事を引用しているところを1社見つけたが、その他はそれほど日本の政治事情に通じてないと思われコメントをつけず報道する姿勢だった。寧ろ興味があったのは日本のメディアの紹介の仕方だった。 

それは要約すると次のような趣旨だった。戦後日本は二つの誤りの間を行き来した。左翼は過去に正直だったが、現在には無責任だった。右翼は平和国家を作ったが、過去に頬かむりした。安倍氏が過去の過ちを認めれば新政権が目指す世界に貢献する外交が近隣諸国から受け容れられるというものであった。

見た限りでは殆どの日本のメディアは「左翼が犯した誤り」を紹介してなかった。その一因として多くのメディアはかつて左翼を代弁し、今もその性格を引きずっていることを間接的に指摘されたからだと私は思う。悪く言うと都合のいいところだけつまみ食いした引用だ。

概して言うと安倍氏が小泉氏以上の右翼であることも含め事実をコメント抜きで報道するニュートラルな記事が殆どであった。■

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信条と現実

2006-09-26 18:07:59 | 国際・政治

安倍内閣の顔ぶれが揃った。内閣総理大臣の指名直後殆ど時間をおかず大臣が指名された。派閥が力を持っていた頃の深夜まで組閣が終らなかった時代とは隔世の感がある。顔ぶれを見ると阿部氏のイデオロギー・信条に共鳴する大臣の登用と補佐官・官房副長官などで組織した近衛部隊ともいうべき官邸機能の強化が目に付く。

このフォーメーションはブッシュ大統領が周りを親しい知人で固め彼の信念を実行して行こうとしたことを思い出す。一昨年の大統領戦後、偉大な大統領を目指し2期目の政権は必ず現実的な状況認識をして(リアリティ・チェック後)政策転換すると私は予測し、民主党支持の米友人と論争した。直前の大統領のレーガンもクリントンもアドバイスを受け容れ歴史に名前をとどめたじゃないかと

しかし、私はブッシュ氏の信念の固さを甘く見ていた。米国リベラル・メディアが内閣改造し政策転換を大合唱しただけでなく、ついには保守本流の言論人の離反も起こったが、それでもブッシュ氏の考えは変わらず今も続いている。今年の春、私は遂にその友人に敗北宣言をした。

安倍氏にはこのブッシュ氏の信念の固さと同じものを感じる。安倍首相は強力なインナー・グループを作った。歯車がいい方向に回転すればよいが、予想しない方向に回ったとき政治の現実を直視して政策転換などで適宜対応することが出来るか今のところ全く予想がつかない。

9.11がその後のブッシュ政権だけでなく、ブレアや小泉政権の性格を特徴付けた。安倍内閣の顔ぶれは端的に言うとオールコート・プレスというより教育・改憲シフトだ。今後安倍政権の性格を決定付けるものは何であろうか。

私には教育や改憲であるとは思えない。しかし、それが安全保障など外交なのか、エネルギー危機とか経済危機なのか、選挙民の反乱なのか、何時か何か起こり真価が問われる時が来るはずだ。■

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