かぶれの世界(新)

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私の9.11

2005-01-31 22:51:58 | 日記・エッセイ・コラム
昨日のイラク国民議会選挙は武装勢力の脅迫やテロにもかかわらず、登録された選挙人の60%前後が投票したと報道されており、先ずは成功したと言ってよい結果となった。2001年9.11以来尊い血を流し3年3ヶ月目に得られた最大の成果といってよいだろう。ブッシュ政権の手法は国際的な批判を受け今後も楽観は許されないが、イラク国民の初めて訪れた選挙への熱意が非常に高かった事を示した。今後イラク情勢の好転を祈りたい。

9.11直後は米国の友人と政治の話をするのに躊躇いがあったが、大統領選を境に堰を切ったようにドンドン意見交換するようになった。友人達は全て反ブッシュであったのは意外だった。米国政府は9.11後次々と国家安全対策を実施し生活が窮屈になり影響がでている。昨年12月17日に私は「アメリカ離れ」と題して米国のセキュリティ強化の影響で日本からのブラジル行き旅行客がカナダ経由に流れていると報告したが、私自身、米国のセキュリティ強化の影響を実体験した。

2002年の夏カナダに旅行した時乗り継ぎのサンフランシスコで入国手続にひどく時間がかかりカルガリー行きのフライトに乗り遅れ、慌ててサンフランシスコから電話してピックアップの変更や現地ツアーのキャンセル、翌日以降のリスケをすることになってしまった。お陰で、空港内を探して息子とシャワーを浴び散髪する経験をした。その後も、搭乗前に行列から抜き取りで靴まで脱いで徹底的に持ち物をチェックされた。私と息子は何故か往きも帰りも例外なくチェックの対象となった。結局その日のうちにホテルにチェックイン出来なかった。しかし何処でも乗客は誰も文句を言わず黙々として長い列を並んでいたのは印象的だった。「アメリカ離れ」の報道を見るとその後も事態は変わってないようである。それ以降北米には行っていない。

2003年10月にB証券から私の居住国へのサービスを中止したので、証券を流動化するか他証券会社へ移管するか問合せの手紙がきた。私は日本に帰任する前の98年に長銀の倒産等のニュースを見て円に信頼を持てなくなっており、当地のドル預金を米国に残すことに決めていた。日本では未だ実施されていないラップアカウントをA銀行に開設し、ミューチュアルファンドを買った。 又、その子会社のB証券でファンド・オブ・ファンドを買った。更に友人の助言を受け、最寄の弁護士事務所でリボーカブル・トラストといって解約可能ないわば遺言書をつくり、まさかの時資産が州政府ではなく家族に渡るようにしていた。

この後アカウント・マネージャのアシスタントに連絡すると彼女は出産休暇、アカウント・マネージャは糸の切れた凧みたいに中々連絡がつかず、一般顧客サービス電話番号に連絡したり、その上司をプッシュしたりして約半年かけて各種ファンドを満期のタイミングに合わせ流動化し銀行口座(チェッキング・アカウント)に預けた。次にA銀行の資金転送の部門に連絡して日本のC銀行に電話連絡で電信送金できる設定をした。その後、手順に従って電話指示し資産転送し口座を閉じた。この手続が全て終わったのが2004年の5月であった。こんなに手間隙かかってフラストレーションの溜まるやり取りは初めてであった。その都度、銀行と証券会社の担当部門に連絡して事を進めなければならず、手続は基本的に文書でやらねばならないことが多く、メール連絡も出来ないので非常に効率が悪かった。実は日本でも又、C銀行からD証券への外貨転送の手続をする為に何度もやり取りが必要でうんざりしたのだが。それでも電車に乗れば日本語で交渉できる場所に行けた。

B証券のアカウント・マネージャは非公式のメールのやり取りの中で、「申し訳ない、ポスト9.11は以前とは全く違う世界になった。」と謝った。思い起こすと9.11後B証券は詳細に渡る身元照会の調査票を送ってきた。その内容を公証する(ノータライズという)必要があり弁護士の費用を惜しんで返事しなかったのがきっかけになったのかも知れない。A銀行やB証券内部で何があったかわからないが、多分全口座の氏名、住所、国籍、居住国、社会保険番号等をチェックして振り分けの方針が出た結果ではないかと推測する。


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インテル組織改正

2005-01-28 12:12:41 | 社会・経済
インテル社は今月17日に組織改正を発表した。従来の製品志向組織から市場志向組織、即ちモバイル、企業、ホーム、医療、チャネルの5グループに変更した。 営業出身で5月18日にCEO就任が予定されているオッテリーニ社長の意向を反映したもので、技術志向の強い同社にとって大きな転換点になるのではないかとニューズフロント社の小久保重信氏は日経IT-proで述べている。

新組織は高い確立で成功するが中期的にはインテル弱体化のきっかけになる決定ではないかと私は評価する。今後5年間のグローバル市場動向は1)エマージング諸国のPCとブロードバンドの普及、2)PC家電連携のグローバル化が進み、それに基づき、3)世界市場の一体化が進む。インテルの組織改正はこの市場動向にマッチして時期を得た適切な判断であり大きな成功を収める可能性が高いと考える。正にオッテリーニ社長の経験に基づく世界戦略である。この戦略を成功させる為、原価低減、需給管理と生産管理等オペレーション面の効率化が推進されるはずである。

一方でこの組織改正が機能すると時間の経過とともに、従来高慢とさえ思えた同社の優れた技術力を維持することが困難になるのではないかと予測する。今回の報道ではAMDに遅れているとされている64ビットCPUの開発については具体的に触れていない。最先端CPU開発のリーダや技術者達の動機付けにはなっていない気がする。長期的に見てそれが正しい決定かどうか現時点で考えると、それでも市場成熟化での必然であると評価したい。


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CIA報告:15年後中国・インドは超大国

2005-01-27 23:53:50 | 国際・政治
26日のSlate MagazineにFred Kaplan氏が 数週間前にCIAのホームページに公表された興味ある報告書について論評した。米国の戦略情報センターであるNIC(National Intelligence Council)が識者を動員して15年後の世界を予測し対応シナリオを報告したものである。

それによると2020年にはグローバリゼーションの波にのり中国・インドが超大国になる。インドネシアやブラジルがその後に続く。米国は依然超大国で最も重要な役割を果し続けるが、その力が相対的に衰え一国主義はとれないと予測している。イスラム過激派のテロは形を変えて存続し、米国はアジアの新超大国との連携なしには対処できない。アジア諸国の価値観は米国の民主主義とは必ずしも一致せず、連携していく為には彼らから見て米国がそうなりたいというモデル国家にならねばならない、さもないと北京側につく、と提案している。個々の内容は既知のものばかりでマスメディアは殆ど無視してきたが、この報告がCIAから出たこと自体に意味があるのに、ブッシュ大統領の就任演説やライス長官の公聴会での発言でも全く触れておらず政策にも生かされてないとKaplan氏は主張している。

この報告書は120ページ以上あり、最初の要約のみ読むのが精一杯だったが、それでもグローバリゼーションのインパクトを総括的に理解するのに結構参考になり面白い。米国の友人に知らせたところ、熟読しペシミスティックな見方だと返事がきた。彼自身も大統領選後ペシミスティックになっている

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05年ペイオフ後の資産運用

2005-01-24 15:30:36 | 社会・経済
いよいよ4月1日からペイオフの全面解禁が実施される。ペイオフは金融機関の自立を求める一方で、個人投資家に対しては金融商品のリスクをしっかり理解した上で「自己責任」の判断で購入・投資することを求める。更に、資産運用を託す金融機関の健全性を判断することも求められる。報道機関やアナリスト・エコノミストの公表した記事から今後の資産運用について整理してみる。

日本人の個人資産とその運用状況
日本人の相続資産の64%は不動産、26%が預貯金・金融資産である(国税庁)。この資産運用のポイントは「収益性」、「安全性」、「流動性」であるといわれ、「株式」、「不動産」、「預貯金」に分散投資されている。加えて相続の為の考慮が織り込まれて運用されることが一般である。この中で日本人の不動産を除く金融資産の内55%が預貯金という際だった特徴を示している。次に生命保険と年金に約30%、株式には約10%振り向けられている。近年インターネットによる個人の株式投資が70~80%に急増しているが、取引高は全体の20%程度で10年前と変わっていない。代行返上により金融機関・生保が30%に減少し、外国人投資家がその減少分を補い20%になっている。米国では個人株主が全体の40%、年金及び401Kの投資信託運用が40%を占めているのと対照的である。

日本人の株式保有状況
年齢別に見ると退職したばかりの60~65歳が最も多く7.8%が株式を保有、65歳を越えても7%が保有している。米国では40~50歳台の50%が株式を保有しているが、65歳を越えると取り崩しが進み株式保有率が急速に低下する。「Money」の資産運用相談のQ&Aを見ると働き盛りで収入の多い年代にリスクの大きい株式投資を勧め、定年に近づくと債券などの比率を高めより安定した資産運用を勧めている。対照的に日本は高齢者になるほど保有資産が増え、相続を考慮して財産配分や節税が可能な生命保険を活用している。団塊の世代の退職を数年内に控え巨額の退職金がどのように運用されるか新しい傾向が出て来るか注目されている。

自己責任の資産運用戦略
先ずは先行指標としてある程度米国の景気動向の大きな流れ(下記参照)を理解し、その上で自分が何処にいるか知って投資判断したい。米国と異なり、日本国内では低金利が続くので預貯金は生活資金に抑え余裕資金を分散投資し収益性を高める運用を勧める。株式や不動産等のリスクの高い投資を直接したくない場合、専門家(ファンドマネージャ)に管理してもらう投資信託、例えば中国株とかハイテック株の投資信託、不動産の投資信託(REIT)を活用しリスクを管理する。投資する通貨を円以外にドルやEURO、オセアニア通貨を一定比率で追加すると為替変動対応力が高まる。ポイントは自らが資産運用の目標を立て、金融商品のリスク大中小を見て夫々の投資先配分(ポートフォリオ)を決めその結果リターンの大中小をチェックして配分の見直しして総合収益性などの方針に適合させることである。これが、私が提案するペイオフ後の自己責任による資産運用である。預金先をただ分散させるよりはましである。ポートフォリオ評価は市販のツールもあるがスプレッドシートを利用すれば比較的簡単にできる。又、金融機関から投資戦略の提案(例えばC銀行の株式・債券・REITの財産三分)されているのでそれを評価して自分に合った運用を探し出すことが出来る。

米国景気動向
米国はバブル崩壊後「大幅減税を柱とする財政出動、超金融緩和、ドル安容認」による所謂「リフレーション政策」をとりデフレ突入をくい止めた。この政策下での投資戦略は「債券よりも株式、金融資産よりも実物資産、ドル資産よりもドル以外の資産」であった。その結果、消費ブーム・住宅高騰が起こり、双子の赤字、ドル安・商品市場高騰が起こった。その対応策として、「金利上昇、景気減速、ドル安是正」方針に変更され、株・債券ともパッとせず、商品市況実物資産投資が細り、ドル相場が戻りつつあるのが現状である。第2期ブッシュ政権においてイラク戦争や双子の赤字等多くの難問題があるが、ドル基軸通貨体制は変化することはなくユーロ資産やオセアニア通貨投資をやや増やすとしてもドル主体の投資スタンスがより安定と思われる。

最後に自己責任の資産運用とは「自分で考えて自分の責任でやる」ことです。


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パソコン市場中期展望

2005-01-21 12:06:12 | 社会・経済
IDC、Gartner両調査会社から2004年のPC市場調査結果速報が相次いで発表された。年央に一時スローダウンが報告されたが、結果的には当初予想通り12%~15%と二桁の成長を遂げた。成長の主要な理由として低価格化とノートPCの拡販をあげ、市場セクターとしてY2K後の買い替えサイクルにあった企業向けが、地域的にはアジア・中南米と欧州が好調であったと報じている。この時点で詳細データは公表されていないが、今後3年間の市場を予測してみる。

エマージング諸国の中でもアジアの中国、インドとインドネシアの市場がこの順番にこの先3~5年間急成長し世界市場におけるPC地図を塗り替えていく。25億を越える人口を有するこの3カ国は急速な経済成長サイクルに入り中産階級が増加、今後5年間のPC世界市場の主要ドライビング・フォースになる。この層は低価格志向でブランドを気にしない傾向が高く、現在のWintelビジネス・モデルではそのニーズに応えることが出来ない為、新たな展開が起こると予想する。

その一つが、エマージング諸国におけるLinuxの急速な普及で、各国政府の支援を受け2008年にはLinuxの世界市場での比率が8~10%に迫るものと予想される。マイクロソフトは低価格のエマージング版を打ち出すものの、先進国向けの現モデルとのバランスをとるため中途半端にならざるを得ないであろう。知的財産を盾にした脅迫は反発を受け、バックファイアーすると予想される。二つ目に、CPUは安価なクローン・チップが増えるが、供給能力の制約を受けOSほどの影響を受けない。しかし、インテルの低価格商品の比率が高まり利益率を圧迫するものと予想される。2004年の粗利率56%から2-3ポイントの悪化を予測する。

三つ目に、エマージング諸国ではローカル・ベンダーが圧倒的に有利で、グローバルプレイヤーといえども苦戦は免れない。現在Dellは中国でシェアを増やし、HPは400ドルを切るPCを打ち出し生き残りをかけた戦いを挑んでいる。最も効率の良いサプライ・チェーンを作り上げたところのみ生き残るであろう。量は質を変える。PC市場はグローバル化しており、他の地域もその影響から逃れることは出来ない。エマージング諸国市場は巨大で、その需要変動もまた巨大であり、棚卸調整の為の商品が他の国にあふれることが予想される。昨年ウォールマートは季節限定の500ドルを切る低価格PCを米国で売り出した。OSはLinux、CPUは台湾のVIA製クローンであった。これはテストであり、いけると判断すればもっと大規模な販売を計画するだろし、上手くいかなくても継続的にテストを続けるだろう。

日本は独特の流通チャネルと消費者嗜好で世界市場との連動性が低かった。世界が低価格化に向かう時、顧客はAV等の付加価値を認め購入した。しかし、近年まずグローバリゼーションに対応する企業向け商品が世界市場価格にほぼ収斂した。個人市場においてもディジタル家電が世界に普及するに伴い世界市場向けPCとの境界が徐々になくなり始めている。アップルはiPodで成功し史上最高益をたたき出し、対抗してマイクロソフトは先のCESでPC主体のホーム・エンターテインメントに全力注入する事を明確にしている。成功するか否かは別だが、一旦やると決めた時彼等の戦略の規模と投入する物量は半端ではない。これらの活動は結果的に日本市場における個人向けPCのグローバル化であり、グローバル価格(低価格)である。残された時間が少なくなってきた。

日本市場に関らずPC顧客の価格感応度は非常に高い。ムーアの法則をベースにビジネス展開してきた宿命と言うべきものである。昨年12月の大幅値下げに即反応して売上の急増を見た。ヤマダは自社ブランド低価格PCの販売が好調で生産能力を倍増する計画を発表した。PCメーカは価格維持の為、依然として季節毎の製品リフレッシュを続けているが、新製品としての差別化が見るからに困難になってきている。ロジャー・ブートルは「デフレの恐怖」の中で低インフレは価格低下期待(感応性)を養うといったが、PCについては変えることの出来ない遺伝子が組み込まれているようである。


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