今年初めの世界経済は昨年からの流れで、中国経済減速と資源価格低下のもと基調は景気停滞だった。だが、英国のEU離脱(Brexit)とトランプ次期大統領当選という二度の予期せぬ衝撃を受け大揺れに揺れた1年だった。冷静に数字を分析すると、英離脱決定後3週間で世界市場は沈静化し、トランプ氏勝利の翌日から株価が大幅に上昇したが、具体的な経済指標の改善はオバマ大統領時代の延長の範囲に収まっている。
今年の「大胆占い」は「IMF」程ではないにしても楽観的だったが、3ヵ月毎の見直しの度に小幅に下方修正した。米国経済が緩やかに回復していたが牽引車にはなれなかった。だが、11月8日の米国大統領選を境にマネーの流れは大きく変化した。英離脱では見られなかった現象だ。トランプ新大統領の政策期待とFRBの金利上昇とあわせ米国に投資マネーが還流し始め、ドル高が進み結果としての円安で日本株も上昇する恩恵を得た。
だが、実体経済はどうなるのか現時点では不透明だ。現在までの所、米国経済は徐々に回復している。市場はトランプ新大統領の景気刺激策を期待して株価は史上最高値を付けるところまで来た。だが、2016年末の実績には何も反映されず、ただ来年の期待が大きいというだけだ。「大胆占い」がどの程度当ったかは、9月末に見直した下記データより若干改善した程度で実質変わっていない。ちょっと悔しいが、総括すると「大胆占い」は外れ、やや楽観的だった。
成長率 大胆占い IMF161 3Q見直し IMF161A
世界経済 3.2 3.4 3.0 3.1
米国 2.4 2.6 2.0 1.6
欧州 1.2 1.7 1.2
中国 6.1 6.3 6.3 6.6
新興国 3.9 4.3 4.2
日本 0.7 1.0 0.5 0.5
(注)単位%、IMF16NはN月時点の予測
2017年の経済は激変が予想され、今も「2017年大胆占い」をどう纏めようか悩んでいるというのに、実は2016年についてはもうこれ以上言うことが無い。しかし、政治の世界では経済を先取りする形で激変を予感させる年であった。リベラルな民主主義を先導する欧米的な資本主義が制度疲労を起こし、大衆は怒り経済に先行して政治に変化を求めたと私は解釈する。多分、来年は政治の年になる。これについては来年も議論して行きたいと思う。
日本についてはアベノミクスの行き詰まりが明らかになった年だった。金融政策に偏重し潜在成長率を高める効果的な政策が打てなかった。金融政策と円安に助けられやっと持ちこたえた。安倍首相の高い支持率をもってしても、年金制度等の超党派で取り組むべき国民的課題すら改革出来ないなら、野党が強く反発する成長戦略の断行は最早絶望的だ。
最後に自分の経済について少し紹介させて頂く。今年は住宅ローンで自宅を建て替えたが、11月8日以降の私の金融資産の残高が増え借金の返済に多少の余裕が出来た。私にもトランプ次期大統領の非民主的発言を厳しく批判する建前と、政策期待で資産価値が上がり助かった本音のぶつかりがある。アベノミクス効果より明らかにインパクトがあった。ちょっと悩ましい。■
今年の「大胆占い」は「IMF」程ではないにしても楽観的だったが、3ヵ月毎の見直しの度に小幅に下方修正した。米国経済が緩やかに回復していたが牽引車にはなれなかった。だが、11月8日の米国大統領選を境にマネーの流れは大きく変化した。英離脱では見られなかった現象だ。トランプ新大統領の政策期待とFRBの金利上昇とあわせ米国に投資マネーが還流し始め、ドル高が進み結果としての円安で日本株も上昇する恩恵を得た。
だが、実体経済はどうなるのか現時点では不透明だ。現在までの所、米国経済は徐々に回復している。市場はトランプ新大統領の景気刺激策を期待して株価は史上最高値を付けるところまで来た。だが、2016年末の実績には何も反映されず、ただ来年の期待が大きいというだけだ。「大胆占い」がどの程度当ったかは、9月末に見直した下記データより若干改善した程度で実質変わっていない。ちょっと悔しいが、総括すると「大胆占い」は外れ、やや楽観的だった。
成長率 大胆占い IMF161 3Q見直し IMF161A
世界経済 3.2 3.4 3.0 3.1
米国 2.4 2.6 2.0 1.6
欧州 1.2 1.7 1.2
中国 6.1 6.3 6.3 6.6
新興国 3.9 4.3 4.2
日本 0.7 1.0 0.5 0.5
(注)単位%、IMF16NはN月時点の予測
2017年の経済は激変が予想され、今も「2017年大胆占い」をどう纏めようか悩んでいるというのに、実は2016年についてはもうこれ以上言うことが無い。しかし、政治の世界では経済を先取りする形で激変を予感させる年であった。リベラルな民主主義を先導する欧米的な資本主義が制度疲労を起こし、大衆は怒り経済に先行して政治に変化を求めたと私は解釈する。多分、来年は政治の年になる。これについては来年も議論して行きたいと思う。
日本についてはアベノミクスの行き詰まりが明らかになった年だった。金融政策に偏重し潜在成長率を高める効果的な政策が打てなかった。金融政策と円安に助けられやっと持ちこたえた。安倍首相の高い支持率をもってしても、年金制度等の超党派で取り組むべき国民的課題すら改革出来ないなら、野党が強く反発する成長戦略の断行は最早絶望的だ。
最後に自分の経済について少し紹介させて頂く。今年は住宅ローンで自宅を建て替えたが、11月8日以降の私の金融資産の残高が増え借金の返済に多少の余裕が出来た。私にもトランプ次期大統領の非民主的発言を厳しく批判する建前と、政策期待で資産価値が上がり助かった本音のぶつかりがある。アベノミクス効果より明らかにインパクトがあった。ちょっと悩ましい。■