かぶれの世界(新)

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Newsweekの二枚舌

2007-04-27 21:47:16 | ニュース

米国の週刊誌Newsweekが英語版と日本語版で、安倍首相の訪米について内容に大きな違いがあると立花隆氏がネットで指摘している記事を見つけた。Timeに次いで日頃からよく参考にしているニュース雑誌(日本語版)なので気になって直ぐに市立図書館に行き英語版を確認した。

語版ではカーライル記者の本文、日本だけでなく中・韓・台も歴史を記憶喪失するという囲み記事、安倍首相の直前インタビューの三部構成でバランスを取ったものだが、日本語版では肝心の本文がそっくり抜けていた。英語版では安倍首相の写真に「対決」とキャプションを付けているが、日本語版はゴールデンウィークの映画紹介を前面に出し全く異なる印象だった。

地域によって表紙や記事の差し替えをやるのはNewsweekに限らないが、それは読者の興味を繋ぐ為のお化粧程度であり、ここまで変えると最早同じ雑誌だとはとても見えない。表紙や写真など見かけだけの差でなく、雑誌の中核となる本文がすっぽり抜け落ちていたのだ。

この肝心の本文であるが、立花氏は例によって記事の一部を取り上げて自説に引き込んでいく強引な評論はあるものの、記事の調子が辛口で安倍首相のナショナリスト的性格に強い警戒感を持っているものだというのは私も同感だ。何故、Newsweekは堂々と自説を開陳せず本文をそっくり削除したのか。

首相就任前の安倍氏の発言や、首相就任後も続く側近の歴代首相の発言を否定するタカ派的発言を考えると決していい加減な記事だとは思わない。Newsweekなら多分こう書くだろうなという内容だった。事実に反する箇所は見当たらなかった。

あえて言うなら、David Fouse氏を引用して「戦時中の人権問題を疎かにしてブッシュ大統領の口車に乗り人権外交云々するなどチャンチャラおかしい(偽善だ)」と決め付けるのは傲慢だと思った。この点ではNewsweekは米国がどういう国か理解していない。

身勝手でも自ら信じる価値を世界に押し付け、世界中で夥しい犠牲者を出したのは他でもない米国なのだ。ガンタナモ捕虜収容所の虐待しかり。それでも米国の果たした役割をマイナス面だけで捉えられないと私は信じる。中国の民主化もそうだが、日本の戦時中の未解決問題があると、日本が積極的な役割を果たすのは偽善として退けるのは身の程知らずだ。

「傷のある身でカッコいい事言うな」というのは、Newsweekだけに限らないメディアに共通する問題である程度やむをえない。しかし、読者におもねて本論すら取り除いてしまうほど改ざんするのは、メインストリームのメディアにあるまじき姿勢で失望の限り、日本語版の価値を損ねた。今後も同じ編集方針で行くのなら、日本語版は廃刊してメディアの信頼性を保つべきと考える。■

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目糞、鼻糞を正せ

2007-04-27 13:56:17 | スポーツ

日新聞は今朝の社説で西武球団が裏金不正調査した結果の最終報告を取り上げ、球団幹部の責任と対応策を早急に示せと説いている。同時にアマチア側の指導者と大学・高校の問題と他の11球団も93年まで遡って不正調査をしろという。

至極尤もである。アマチア指導者や関係者には私風に言うと「タカリの精神」が、学校側には経営者として「企業論理」を優先する姿勢は公然の事実であった。アマチアだといってオートマチックに純真無垢だと信じるのはナイーブに過ぎる。

裏金の噂のずっと前から高校野球は勝つ為にお金を使って優秀な選手を集めていることは知られていたのにアマチア野球界は適切な手を打たなかった。この人達も結局外部から指摘されるまで自浄能力を発揮できなかった。

プロ野球は企業の名前を付けた広告活動であり、高校野球も朝日新聞社等が主催する(言い換えると‘牛耳る’)広報活動であり、プロアマ含め野球全体を高めて行こうという精神に欠けている。今回の事件は深く係わりあっているのに双方が共同して徹底的に膿を出し切り前に進もうという姿勢がない。

本野球界はプロ野球、高校野球、大学野球、社会人野球がそれぞれ独自に存立している。官僚が夫々の省益の為に働き、国益を損なっているのと同じ構造だ。違うのは官僚には安倍首相がいても、野球界には誰もいない。自己解決しかないのである。

この社説には朝日新聞も日本野球界を歪めているという当事者認識が欠けている。正に「目糞、鼻糞を笑う」状態なのである。私風に言うと「よく言うよ、お前には言われたくない」状態だ。だからといって非難するなという積りはない。今は「目糞が鼻糞を正す時代」なのである。

談合を最初に密告するとその会社は罪一等を減じることが法制化されて以来、談合の摘発が急速に進んだ(私はこれを目糞鼻糞法という)。過去の護送船団時代に育んだ悪習を金融庁が最近積極的に摘発し業界の透明化を強力に推進している。やらないより余程マシなのである。

再び、この社説には朝日新聞が高校野球を所有している(実質的に)が故の誤謬があると私は考える。理想的には野球というスポーツをプロもアマチアも一括してファンや地域に返し、トータルとしてどうあるべきかという姿勢で物事を考えるべきだ。

それを踏まえて、現実的には例え目糞であっても野球界トータルとして改革していく提案をすれば、世論の理解と支持を得られるのは間違いない。当事者はメジャーに選手が流れていくのはポスティングでもFA制度でもない、日本野球界の構造問題であることに気が付くべきだ。しかし、この改革の実現性に私は悲観的だ。0.1の確率で今年、0.3で来年実現すると私は予測する。■

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米株高の不思議

2007-04-24 22:29:25 | 社会・経済

このところ気なって仕方がないことがある。こうなるはずだと思っている事が全く逆の方向に進み、その理由も釈然としない。長い人生だからそんなことは山ほどあるのだが、最新の気がかりは米国株式市場が活況で6年ぶりに最高値をつけたことだ。

界同時株安をきっかけにしたリスク・バランス調整後の世界がどうなるか注目していたが、主要な証券市場は2月の底値以降順調に回復し史上最高値を打つまでになった。欧州・中国はまだしも、米国ダウ平均が史上最高値13,000ドルを更新するほどに回復するとは予想もしなかった。

主な理由は好調な米企業決算の公表が続き、先行き大幅な利益を見込んだ株価高だという。しかし、なんかおかしいと思う人もいるようだ。

モルガン・スタンレー社は高エネルギー価格、住宅不況の悪化、設備投資の減速を織り込んでGDP成長率予測を1.5%に下方修正した。又、IMF2007年の米国成長率予測を昨年9月の2.9%から2.2%に下方修正した。その理由として住宅不況、設備投資鈍化をあげている。

失業率は4.4%と6年ぶりの低水準に留まっており、過激な「景気後退」より「成長停滞」の可能性が高いというのが大方の見方だ。モルガン・スタンレー社は、現在は95年の「景気中だるみ」と同じ状況にあり、これが不況の引き金になると警告している。

私は考えすぎだろうか。しかし、もっと不吉なデータがある。

国家庭の貯蓄[1]1947年以来初めてマイナスになったと、2年前に書き込んだ記事「稼ぎより使う米国消費者」(2005/02/27)の中で報告した。ところがその後も比率は一貫して悪化し2006年が111.5%、20071月では112.4%になったという。つまり12.4%は借金で買い物をしていることになる。

米国GDP2002年には世界経済の33%を占めていたが、2005年には28%にまで低下した。そのうち7割が家計なので世界経済の約20%を占める。つまり世界経済の20%のその又12.4%は借金で賄われているという構図だ。

住宅価格上昇による資産効果が剥落し、株価上昇が止まると全米GDP7割を占める個人消費に悪影響が出るのは必至である。世界同時株安の真犯人は実はグリーンスパン前連銀議長だという説がある。彼の深い理解に基づき現状の「行き過ぎた楽観論を憂う」発言が暴落の引き金を引いたという説だ。

米国が何とか「景気中だるみ」のまま推移してもとの成長路線に戻ることを是非とも望みたい。しかし、2月末の上海株式市場暴落が引き金を引いたような事態が再度起こる可能性は非常に高いという説を私は支持する。

それはグローバル・マネーが世界のあちこちにバブルを生み出しているからだ。米国の世界経済に占める比率が3割を切ったといってもお金の流れはNYを経由する。マグマは知らない間に蓄積され、ある日突然暴発する。「しっかりシートベルトを締めておけ」という声が聞こえてくる。■


[1] 可処分所得に対する個人消費の比率

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高野連の措置は妥当

2007-04-22 20:10:11 | スポーツ

西

武球団の裏金が発覚後、混乱はアマチア球界にまで波及している。アマチアが純真無垢なんて事はありえない。高野連は特待生の調査とその是正、5月末まで特待生の対外試合出場禁止、それ以降の違反は除名等の厳しい措置がとられることを発表した。結論から言うと高野連の処置は止むを得ないものだと考える。

初め綺麗事を言って済ませて来たアマチア球界の幹部は慌てふためき混乱が続いている。熱狂的な高校野球人気の陰で巨額のお金が動いていることは昔から知られていた。今まで実態に目をつぶり見逃してきた。甲子園で活躍した高校の偏差値が上がることは常識だった。

生徒数が減り経営難の高校にとって優秀な野球選手を入学させ、甲子園に出場し活躍することは翌年以降の質の高い生徒の確保に繋がり経営改善の決め手になる。特待生にかけた程度の投資は十分ペイするはずだ。その為に親や仲介者に払う金も必要経緯費の一部だったはずだ。

素質のある優秀な子供を見つけた少年野球の指導者が高校の間に入って仲介、高校野球の指導者がプロ野球団との間に入り子供を食い物にしているという噂は何度も聞いたことがある。優秀な人気スポーツ選手は巨額な経済的価値に置き換わる。

のスポーツでは良くて何故野球だけダメなのかという意見がある。しかし、野球好きの日本では他のスポーツより圧倒的に価値が高い。動くお金の桁が2-3つほど違う。周りの親や指導者などが巨額のお金に目が眩み、選手もまた汚染されてしまう。

米国で人気の大学スポーツ、特にバスケットボール、フットボールの選手勧誘はもっと凄いらしい。日本では話題にならなかったが、両親の買収や車や女性を使って優秀な選手の入学を勧誘する映画を見たことがある。一方、完全ウェーバー制度のプロではそういう話を聞いたことがない。

残念ながらこれが現実の姿である。テレビに出てくるコメンテーターは野球選手に罪はない、選手の将来を考え出場禁止すべきでないと説くのを聞いた。しかし、それは正にスポーツ馬鹿になれといっていることに等しい。そんな見識のない意見を電波に乗せ、手本にしてはいけない。

メディアに露出する機会の多いプロ野球選手、もしくはそれを目指す者は子供達のロールモデルにならねばならない。成功者は大金を稼ぐが、地震や台風の被害が起これば支援に立ち上がり、孤児や難病を積極的に支援するリーダーシップが期待される存在になるべきだ。■

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米中経済摩擦に備える中国

2007-04-21 22:57:16 | 国際・政治

久し振りに中国ネタをやります。ブッシュ大統領はWTO提訴して対中国強硬路線に転換した一方で、日本と中国の関係は温家宝の訪日を機に「氷」が解け始めた。経済の側面から情報分析して読み解いて見たい。

米国の強硬路線への転換

今月10日米国は知的所有権の侵害に適切な対応をしていないと中国をWTO(世界貿易機構)に提訴した。過去7年間で米国映画会社は模造品で10億ドル(約1200億円)の収入を失ったと見積もられている。世界模造品の70%は中国製、中国GDP8%が模造品によるものという。

ブッシュ政権は従来の柔軟路線を取って来たのに、突然強硬路線に変更したように見える。実際のところは昨年中間選挙で民主党に敗北して以来、徐々に路線変更して来た。今年2月に中国の紙(製品)の輸出振興補助金を警告し、3月には懲罰的関税を課していた。

これが80年代の日米貿易摩擦と同じような展開に繋がるかどうかは分からない。当時、唐突に米国製品の輸入促進の政府ミッションで航空機の輸入したものだが、既に胡主席が訪米時シアトルに立ち寄りお土産の買い物リストを持ってワシントンに向った。正に歴史は繰り返す。

急速に中国の米国依存が低下し始めた

しかし同時に中国は80年代の日米貿易摩擦を詳細に研究したと思われる。中国は昨年頃から今日を予測して着々と準備していたのではないかと思われる。今年になり中国貿易の米国依存度が急速に低下していることをNYタイムスが18日伝えた。

中国の対米貿易は全出荷量の10%にもなり、米国の対中貿易依存度の25倍のも達する。つまりクリティカルな状況になった時は首根っこをつかまれた状態にある。貿易国の多様化は中国の国家的危機管理として軍事強化と並び最優先事項であったと思われる。

途上国向け貿易急増、ユーロ高が拍車

上記の記事によれば2000年の米国向け輸出は中国全輸出の31%だったが、昨年11月に24%、2月に22.7%と急激に減少している。アジア地区への輸出が微減、欧州地区の輸出がやや増加しており、インド・ブラジル・ロシアへの輸出が過去7年で倍増しこの冬には32%に達したという。つまり最大の輸出先が途上国になった。

中国の商品はかつての主力商品Tシャツや玩具から、安価で頑丈なトラックなど耐久商品がスペインやイタリーなど購買力に限りのある(やや貧乏で高い商品が買えない)南ヨーロッパでよく売れている。同じ理由で開発途上国でも急速にシェアを伸ばしているという。

この変化は過去数年徐々に起こっていたが、今年始めの対元ドル安とユーロ高が拍車をかけたという側面もあるらしい。又、必ずしも国家の方針に従った訳ではなく中国民間の市場開拓の成果でもあると記事は報じている。中国政府は何としても貿易摩擦の悪化を避けようと更なる政府ミッション派遣を計画しているという。しかし全体として国策に従った動きのように私には思える。

政治リスクよりビジネス優先の日本

ところで日本といえば2005年の例の反日デモが燃え上がった直後一時期下火になると予想された対中直接投資が、実のところその後も堅調に増加し2005年でも前年比20%増の60億ドルに達し、2006年には何と約140万人の雇用を生んでいるという。

2006年には日中貿易は2000億ドルに達し、今年は香港を除く中国本土との対中貿易が米国を抜いて我国の最大の貿易国になるという。広東に進出した自動車工業と関連会社が主力で合計3000社を上回る数になり上海と肩を並べる勢いだそうだ。(ファイナンシャル・タイムズ4/16) 

この日本の姿勢は中国にとって我々が思うよりとても有り難い存在のはずだ。反日感情が強い中、温家宝首相はぎりぎりの芝居をうったという論評がある。しかし、数日前NHKBS1が放映したドキュメンタリー番組で中国下層階級の深刻さと貿易摩擦などの危機管理を考えると、先日訪日した温家宝首相のメッセージも分かり易くないだろうか。■

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