かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

見方が180度異なる消費者物価指数

2013-03-29 15:33:31 | ニュース

 昼前に入ってきたファイナンシャルタイムズ(FT)のニュース速報は、2月の消費者物価指数が0.3%下落と鉱工業生産指数の意外な低下を伝えるものだった。専門家の声を引用して黒田日銀総裁の「2年で2%物価上昇」という日銀の目標が容易では無いだろうと続けていた。

 ところが昼食時にテレビをつけると、TBSのニュースバラエティ番組が特集を組んで物価上昇の状況と、原因としてアベノミクスによる円安や原発停止等をあげていた。物価動向という同じようなテーマなのに、真反対の評価に面食らい何故そういうことになるのか怪訝に思った。

 理由は簡単で視点が違うと真反対の問題指摘になる端的な例だと思った。FTは今世界が注目しているアベノミクスの行方を注目し、それが上手く行かないかもしれない兆候を見つけて問題を指摘した。一方、TBSは昼時の主要な視聴者が家庭の主婦を意識した取り上げ方だ。

 どちらにも夫々の既定のシナリオがあり、それに基づいた伝え方をしていると私は感じた。どちらも全体像を把握して伝えるより自己の主張に沿った個別情報をピックアップしていた。同じ物価といっても全体動向を取り上げるか、特定品目を取り上げるかで様子は随分違う。

 FTは消費者物価を短期間に2%上昇させ経済を活性化するというアベノミクスに懐疑的で、現時点でのマイナス情報を見つけて実行がいかに困難か印象付ける記事になっていると感じる。それでも、総務省発表のデータの内訳を示し一応両論併記のスタイルをとっている。悪く取れば言い訳を織り込んだということだ。

 だが、日本のテレビとなると完全にミスリードを狙った内容としか思えなかった。2月の消費者物価指数はテレビ価格の下落等でマイナス0.3%4ヶ月連続の低下なのだが、番組はガソリンや電気料金と輸入食料の上昇のみを伝えた。

 生活者視点からだと言訳が聞えそうだが、それなら同時に生鮮食品が大幅に下落したと一言も言わないのは変だ。出演者に「おつむ」を期待していないが、製作者には正しく伝える責任がある。一時が万事こんな調子だ。FTは両論併記した上で巧妙に自己主張する狡さを感じた、多分それがジャーナリズムのあり方で私はしょうがないと思う。民放にそこまで期待するのは無理か?■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今株を買うのは危険!?

2013-03-27 17:17:55 | 株式

 アベノミクスの効果で株式市場は元気になり、あれよあれよという間に日経平均はリーマンショック前まで回復し更に上昇が見込まれている。何にもまして日本全体が明るさを取り戻したのが良い。高い支持率を維持しているのは当然だ。先日、投資セミナー4000人を越える参加者が詰め掛けたと報じられた。証券会社に新規口座開設を申し込む個人投資家が急増しているらしい。

 先日、米国ではNY証券市場ではダウ平均が史上最高値を付け、ミリオネア(いわゆる100万長者、1億円弱の資産保有者)が900万人を越えたそうだ。凄い数だ。手元にデータが無いが、日本でも昨年末からの株高の資産効果で百貨店の高額商品が売れているそうだから富裕層がかなり増えているはずだ。投資セミナーに群がる人達の気持ちが分からない訳ではない。

 こんな時ケチをつける積りは無いが、私は大丈夫かなと思わずにはいられない。私自身、最近の活況で今迄溜まり溜まった損を取り戻し、お釣が来るほどに回復したのに水を差すようなことを言うなと叱られそうだ。だが、投資で痛い目にあった経験者として一言言いたい。私みたいな失敗を犯さないでと。私は今とても株を買う気にはなれない。最大の関心はこの活況が何時まで続き、何時売るかだ。

 私の保有している投資物件で値を取り戻しているのは、昨年秋まで底を這いずり回っていた。今、その頃の安い価格で買える金融商品はないことを認識すべきだ。極端にいうと、今は逆に分不相応に値上がりしている。嘘だと思うなら、どんな株式を買うべきか入門書でも読めば分かる。東証1部株価の妥当性の目安は、平均PER>20、平均PBR>1を突破しているのだ。

 株価はもう十分高くなっており、普通なら更に株価上昇の余地は少ないはずだ。実際は上がるだろう。というのは、世界は金融緩和で金余り状態、アベノミクス下の日本企業に期待して海外から資金が流入して株価が上昇、今後日本の個人投資家の買いが株価を更に吊り上げるかもしれない。だが、株価が上記目安を越えそろそろ過剰流動性相場に入ると私は感じる。万一、高過ぎると見なされれば現在の株高は短期間で調整に入る恐れがある。

 実力以上の株価だと判断した瞬間海外投資家は高値で売り抜け、残ったのは急落した株を持っているお人好しの日本人投資家だけという事態になる恐れがある。バブル時代にこんな悲惨な経験をした投資家が沢山いるはずだ。私も、というか世界中が、リーマンショック直前の高揚感から経験したこともない深い谷底に突き落とされた。

 投資は自己責任の世界だ。失敗すれば誰も助けてくれない、銀行を除き。最悪ケースに対処できる覚悟がなければ投資は止めたほうが良い。しかも、その危機は直ぐそこまで来ているかも知れない。私の経験が今は止めたほうが良いと待ったをかけている。万一深い谷底に落ちたら這い上がる覚悟はない。こんな時、乗せられ群れに入って株を買う気にはならない。

 【参考】 「株高の誘惑」と題して「今絶好の買い場」は売り手の論理だと警告する専門家の記事(経済ジャーナリストの西野武彦氏日本経済新聞3/27)の一読をお勧めします。証券会社の勧めに易々と乗るなと、分かり易く理論的に解説されている。■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

危機を育て大きくする欧州

2013-03-26 22:23:49 | 国際・政治

 ギリシャの次はキプロス危機が新たな火種になってEU危機に発展した。先週末の世界の20市場のうち19市場が大幅に値を下げたと報じられた(日本経済新聞3/24)。今度も危機の構図はそうは違わない。南欧の無責任な国が野放図にお金を使いやっていけなくなりEUに助けを求め、ドイツを始め北の金持ち国がけじめをつけよと迫られ国民が反発し、危機が世界に拡大した。

 ユーロ圏全体の0.2-3%規模の小国にやる金をケチって危機を拡大させたとはあきれる。一方で大半のお金を出すドイツの気持ちも判らないではない。夏に選挙を控えメルケル首相はキプロス国民に責任の一端を担えと後に引かなかった。どの国のリーダーも選挙が怖い。我国が同じ状況に置かれたらマスコミがどう伝えて国民がどう反応するか、私に疑問がないわけではない。欧州のやり方もひとつの実験かもしれない。

 この欧州の対応にファイナンシャルタイムズ(FT)は、「この3年間EUは問題を危機に、危機を崩壊に転換する素晴らしい仕組だと証明した」と強烈に皮肉った。ニューズウィーク誌は「銀行システムの根幹をなす社会的な信用をボロボロにするのに大成功」という発言を引用し、キプロス程度の小国を救済する小金で、世界経済を賭けたと非難している。

 キプロス救済と日米のバブル破裂がどれほどのものか同じ数字で比べることは出来ないが、キプロス救済を巡って新聞や経済誌が報じた数字を拾い上げて以下に示す。キプロスの経済規模は米粒程度だ。だが、サブプライム焦げ付きが表面化し始めた2006年頃はリーマンショックに発展するとは誰も予測しなかった。一旦危機が表面化した時の米国と比べるとEUは遅すぎる。

キプロスの経済規模: ユーロ圏の0.2%、ギリシャの1/10
キプロスの金融業規模: GDPの8
ギリシャの後押しでEU加盟、ものづくりから金融立国に転換
 主要顧客: 預金の1/3がロシアからの資金
    4割を露英中東欧富裕層、一部に資金洗浄の疑い
    6割をギリシャ国債に投資し危機、200億ドルが必要
EUは100億ユーロ支援と、その条件として同国第2位銀行の清算と銀行預金課税を要求

(参考)過去の異常な状況における日米金融業
邦銀の企業向け貸し出しと社債: バブル期にGDPの100+
              (2008/3にGDPの87%)
米銀の企業向け銀行貸出と社債: 2002年頃GDPの60-80
              リーマン直前100+(推測)
投資銀行のレバレッジ:2007リーマンショックの直前 
          メリルリンチ27.8倍、GS28.2
          リーマンB31.7倍、  MS32.8

 キプロス議会はEUの救済条件として、銀行預金課税を一旦拒否したが少額預金を保護することで合意して土壇場で決着した。だが、その後オランダの大臣の発言「この異例な対応(国民が金融機関の損を負担する)が他国にも適用する」云々が伝えられ、市場が動揺して世界の市場が乱高下した。勿論、私の資産も影響を受けた。頼むよ、メルちゃん。■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秩父線廃止と存続の論理

2013-03-24 17:55:17 | ニュース

 米投資ファンドのサーベラスが西武HDに突きつけたリストラ策の一つが西武秩父線の廃線で、対象となった地元秩父市や隣接する飯能市等を揺るがしている。サーベラスは西武HDの筆頭株主であり、TOBをかけて出資比率を高め更に発言力を高めようとしていると報じられた。

 秩父線と池袋線が一体運用され、過疎化が進む秩父市と東京都池袋を結ぶ唯一の鉄道だ。私企業が赤字だといって安易に廃線にするのは公共の利益に反する、秩父市や飯能市、横瀬町などの沿線の自治体は揃って強く反発しているという。

 私も所沢から池袋線・西武秩父線・秩父鉄道で三峰口に行きバスで登山口に向かい、三峰神社経由で雲取山に登ったことがある。30年以上前のことだから良く覚えて無いが、都心を走る電車に比べ玩具みたいな色の車両で、正丸峠を抜けるトンネルがやけに長かった記憶がある。

 投資ファンドが企業の公的性格を切り捨てる資本の論理に基づく判断で弱者が困惑しているというスタンスで報じられた。横瀬町の広報担当は町内を走る唯一の鉄道路線でなくなれば大変と言い、過疎化が進む山間部を走り高齢者や生の利用客が多いと報じられた。実はここに問題が潜んでいる。裏返せば「高齢者と生しか電車に乗らない」と言っているようなものだ。

 私は自治体や住民が困ったというのはその通りだと思うが、それは住民が車に乗って電車に乗らなくなった結果であり、自治体が重要なインフラを守らなかったからだと思う。彼らが選択した結果だ。今回も廃線が話題になった時、もっと鉄道を利用し存続に貢献するという声は聞こえなかった。赤字でもやれという地域で起業したい企業家など誰もいない、いつかペンペン草が生える。

 言い換えると負担は嫌だが受益は絶対必要という最近の傾向と同じ延長線上にあると感じる。最も端的な例は医療費負担とか社会保険関連の受益と負担など、最大規模の国家レベルの受益要求・負担拒否といってよい。自助精神が病んでいる。こんな事はいつかは成り立たなくなる。

 弱者だけでなくそこに住む人達全員が自治体を守る為の受益者負担の意識変革が必要と私は信じる。公的性格の機能を自治体・住民・企業が一体となって路線存続のために知恵を絞り解を見つける、なんていうのは世間知らずの夢物語なのだろうか。■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

田舎暮らし雑感13春(4)

2013-03-23 22:07:02 | 日記・エッセイ・コラム

 先週から車の窓についた細かいホコリが目に付くようになった。散歩中に川沿いの道で出会った河川パトロール員によれば、このところは黄砂より花粉の方が圧倒的に多いという。久しぶりに東屋で読書をすべく汚れたテーブルを拭くとタオルが赤茶色くなった。たまたま近くにいた隣のオバサンに見せると花粉だという。花粉症にかからなかったはずの私もこのところ少し鼻水が出る。

 サンルームと格好よく花火を打ち上げたが、実体は雨の日にも洗濯物を干せるようベランダをサッシで囲った程度の11.5畳の広さの物置だ。見積書の名称は「テラス囲いバルコニー工事」と的確に実体を語っている。でもサンルームと私は呼びたい、決して安い買い物ではないから。実家の勝手口への取り付けが難しいと頭を捻り、松山から調べに来たメーカーの人は帰って行った。樋や欄間のデコボコで隙間を埋められないらしい。どういう形にするのか、まだ決まってない。

 今週初め、やたらと焼き魚が食べたくなった。朝、港から入荷したアジを店頭で焼いて売っている近くの魚屋を思い出して買いに行った。全国的に有名な「関アジ」と同じ魚場で釣ったアジだが、八幡浜港に水揚げしたのでブランド品ではない。勿論、スーパーで買うより美味しい。ところが、サバしかなかった。

 聞くと3日連続の強風で海が荒れて船を出せなかったという。黄砂が来て船は出なかった。他に選択がなくサバにした。50cm位の太い竹串を豪快に刺して炭火で焼いた一尾を買った。今の時期のサバは美味しいのかと聞くと、ノルウェー産だから時期は関係ないという妙な返事に納得した。アジを食えないのは残念だったが、いつもの塩サバ(それもノルウェー産)より大物で美味しかった。

 別の日に散歩中、犬を連れた老人に会った。以前庭の手入れやって貰ったことがある。体調を崩し別の庭師にお願いした経緯がある。顔色が良くなりすっかり健康を取り戻されたようで、また仕事したい様子だった。しかし、この数年は別の庭師の世話になっており代えられない。「今は自分がやっている」と小さい嘘をついてしまった。今は7割方やっているから大嘘ではない。

 散歩道沿いにある我が家の畑が何も作らず放置されているのを見て、手入れを兼ねて何か作ってあげようかと彼は提案した。庭がダメなら畑作ということなのだろう。「とても有難いのだが、市役所内の農業委員会に一緒に行って登録して欲しい、ハンコを押すだけで簡単な手続きだ」と答えたが、彼はしり込みした。私も妥協しなかった。

 「こういう事は曖昧にはするな、と母に言われている」と再び小さな嘘をついた。誰かの助言を受けたのだが、思い出せないときは大抵母を使って言い訳する。ただ、誰かに畑作をお願いしたいと思っているのは本当だ。口約束で貸し借りする訳には行かないだけなのだ。これも初めての事ではない。他にも申し出があったが、市役所とか農業委員会とか言うだけで逃げられた。■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする