はよれよれのサイクリングだった。先日、娘夫婦が母の一時帰宅にあわせて田舎に来てくれた時、空港の案内嬢に勧められたサイクリングに私の方が興味を持ち、好天が続く初秋の今しかない!と思いついて昨日トライした。
前日サイクリングセンターに電話すると、「駐車場スペースは十分ある、自転車は予約できない、連休なので早く来て、好みの自転車がなくなる前に手続きした方がいい」と助言された。昨日いつもより早く起き、7時過ぎに朝食を済ませた。実家を出たのは7時半頃だった。
それでもケチな私は高速道路を利用せず、松山まで国道56号を通りその先から三桁の国道や県道を走った。北条から今治の間を走ったことはないが、併走する汽車の窓から見た景色に記憶があった。小さな入り江が続きそこには必ずといってよいほど漁船が停泊していた。
イクルセンターに到着したのは9時過ぎ、受付のある建物の前の駐車場は既に満杯だったが、第2、第3の広い駐車場は遠く、センター前道路の路肩の空きスペースを見つけて停めた。受付に行くともう長い列があり、最後尾を確認して後ろにつけた。待ってる間に後ろに列が出来た。
20分くらい待って私の順番が来た。一人だけの申し込みだから即終と思った。たった500円で好きな自転車が終日利用可能でも、事故や乗り捨てとかの対応があって保証金返却を含む契約書にそった説明があり、手順に沿ってサインするまでに結構時間がかかった。受付の2人の要領がもう少しよければ時間節約できる余地はありそうだと思ったが余計な口出しはやめた。
橋の通行は有料で半額になるクーポンを2束(500円)買い、表に出て自転車を選んだ。広場に並んでいるのはママチャリからタンデムまで揃っていたが、ドロップハンドルと言うと置いてないという返事。試しに流行りのクロスバイクは売り切れだった。距離を稼ぐロードバイクと聞くと、係員は奥に入ってストレートハンドルの自転車を持ってきて即決した。「尾道まで行って来い」と煽られた。
車に戻りサイクリング用のパンツとシャツに着替え、ビーチサンダルを靴に履き替えた。その時になって帽子もグラサンも忘れてきたのに気が付いた。センターに戻りレストランで朝食をとって出発する頃には10時半になっていた。自転車より朝飯の方が高かった。食べ残したパンを包んで貰いリュックに入れ、500mlの水とミカン5個・バナナ1本にクッキーを持って出発。
島海峡大橋への取り付きは急坂の螺旋形のアプローチだったが、普段乗っている自転車に比べ圧倒的に軽い。タイヤは普段乗っているママチャリに比べ細く、16段ギアのロードバイクはローギアでなくともすいすい坂を上っていった。往復140kmの長丁場を考えれば当然だが、最初からガンガン走ったのが良くなかった。
3連休の中日のせいかママチャリに乗る子供連れの家族や、歩いている人達も多く道は混雑していた。最初の料金所は橋を渡り始めて1kmのところにあり、番台のオバサンの指示でクーポン4枚(200円分)を箱に入れた。その後はずっと無人で50円から100円だった。
橋を渡りきるとサイクリング・コースは高速道路から離れ山あり谷ありの県道を走る。私は初級者ルートを選んだ。若い人達もドンドン追い越して走るのは気分良く、坂も苦にならなかった。擦違う人達に声をかけ手を振って楽しく走った。だが、思ったより日差しが強く汗が止まらなかった。
二つ目三つ目の橋をスイスイと渡り、多々羅橋の手前まで来て疲れを覚えた。受付嬢は私の顔を見て引き返し点と決め付けた所だ。ターミナルで一休み、バナナ1本とミカン1個を食べた。駐車場も露天やレストランも観光客で一杯だったので、早々にサイクリングを再開した。もう少し休みを取るべきだったと後悔した最初の地点だった。
々羅橋を渡ると生口(いくち)島、広島県だ。この頃から暑さでペダルが重くなり、尻に痛みを感じるようになった。まだ汗をかいていたが熱中症になる恐れがあると思った。瀬戸田町のスーパーで野球帽とスポーツ飲料を買った。一口飲んで走り始めたが、右足の膝の裏側の筋が伸びたような軽い異常を感じ、この辺から何時折り返すか考え始めた。
海沿いの道を騙し騙し走ったが、生口橋の取り付きまで来て一休みしもう少し走ることにした。帽子の効果があった。だが、地図を見直すと短い距離なのだが、因島の道がやけに長かった。因島大橋を目前に公園の日陰に入って力尽きた。尾道まであと7-8km、だが走り始めて4時間たっており、直ぐに引き返しても疲れで30分余計にかかるとして7時頃到着になる。
帰りはあと63kmもあると思うと気が重かったが、途中スポーツ飲料を買い足しながら重いペダルを踏んだ。特に辛かったのは橋のアプローチの急坂で、橋の数ほどある。逆にアプローチを下る時はカーブがきついのでブレーキを踏まなければならない。この辺では何度か休憩中の人達を見つけ声を掛けた。頑張ってなんて声を掛けたが、半分は自分に向かって言った言葉だ。中には返事がないと思ったら、台湾から来たアベックだった。こんなところまで来ている。
路は全く気にならなかった島の中の峠越えの道も厳しかった。最後の大島の峠の上り道で遂に我慢できず途中で止まり水分を取った。だが、何とか最後まで走りきったのは思ったより自転車がしっかりしていたことだ。ローギアだともうダメだと思う急坂も何とか乗り切れた。薄暮の瀬戸内海は美しかったが、景色を楽しむ余裕はなかった。薄暗くなって橋の料金所を無視して通り過ぎた若者が目立った。困った奴らだ。
センターに着いた時は6時半頃ですっかり暗くなり、人影がまばらになっていた。受付で保証金1000円返却を受けた。期待してなかったが試しに聞くと、100円でシャワーが使えた。案内されたシャワー室にはシャンプーはあったが、タオルがなく下着で身体を拭いた。それでも汗だらけのままより気持ちが良い。外に出ると真っ暗でリモコン・ボタンを押し反応を見て車を見つけた。
帰リ道は一般道を通る気にはならなかった。今治市街地を通り抜け南東側に走り、高速道路に乗って小松ジャンクションから大洲まで文字通りぶっ飛ばし1時間チョットで実家に戻った。久し振りの夜間の高速運転で最初怖かったが、適度の緊張感で疲れて眠くなることもなく9時前に無事実家に付いた。
つくり置きのカレーを食ってネットやメールを確認して、アルコール抜きで水分を取り寝た。今朝起きると排尿時に痛みを感じた。以前、バドミントン大会の後水分補給せず高知旅行し酒を飲んで膀胱炎になった時と同じ痛みだ。その後ガン疑惑でひどい目にあった。今回は途中からだが、かなり水分をとった。多分大丈夫だ。■