スーパーのレジに並び私の番になった時、ポケットを探ったら財布がなかった。「申し訳ない、財布を忘れた。商品は棚に戻すべきか。」と聞くと、レジの端にあるサービスカウンターに行けと手慣れた口調で言われた。そこで商品の入った籠を渡し、預かり証をもらった。<o:p></o:p>
預かり証のナンバーは「2」だった。私と同じチョンボをした人がもう一人いたようだ。昨日の12時過ぎだった。開店後2時間余りたっているので、1時間ごとに財布無しで買い物をする人がいることになる。みっともなくて気まり悪いはずなのに、鈍感になったのか何とも感じなかった。<o:p></o:p>
買い物に行く途中とか、買い物の途中に気が付くことはあっても、全く気付かないでレジまで行ったことはない。こんなことは初めてのことだ。しかし、もしかしたらこれは認知症の初期の症状かもしれないと秘かに不安になった。ついでに恥ずかしいという感情も認知症にかかったのだろうか。<o:p></o:p>
認知症が現れる時期は個人差があるだろうが、ある程度遺伝するのではないかと素人考えで推測した。父や祖父は私の年齢まで生き延びなかったのでわからないが、母は80歳過ぎまで、祖母は80代半ばで死ぬまでボケなかった。認知症が現れるにはちょっと早過ぎると思うのだが。<o:p></o:p>
私の知る限り母は4年前頃に脳梗塞で入院した時、担当医から認知症の症状があると言われた。その頃は母と会話しても特別違和感がなかった。だが、昨年暮れに要介護レベル2から4になったと通知を受けた。食事から排泄まで生活面で全介護が必要で認知症もあるとのこと。<o:p></o:p>
私は介護レベル見直しの直前まで田舎にいて、その時の母との会話が昔に戻ったように感じた記憶があるので、この通知には少し驚いた。来月半ばには田舎に行って母の様子を直接見てみたい。そんな状態で、私の認知症が始まったとしたらどうしようか、想像すると恐怖に近いものを感じた。だが、一方で認知症が進行していくのを本人はどう感じるのか、興味も湧いてきた。■