かぶれの世界(新)

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米国中間選挙迫る

2006-10-31 17:10:36 | 国際・政治

先週まで北朝鮮の核実験一色だった日米の報道は今週様変わりした。日本では小中学校のいじめ自殺と、高校必修科目の未履修をこれぞとばかりに報道、全局が延々と犯人探しをやっている。何故か放送局が先頭切っていじめているように感じるのは私だけか。 

一方、米国は残り8日に迫った米国の中間選挙について四六時中報じている。世論調査ではブッシュ大統領支持率が低空飛行を続けている共和党の旗色は悪く、下院は勢力逆転、上院は僅差で共和党が過半数をキープするという予測が有力のようだ。

この23日マスコミをにぎわしているのが、俳優のマイケル・J・フォックスの胎生幹細胞研究推進を目的に流した民主党候補支援広告に対し、コテコテの共和党右派のラッシュ・リンボウがラジオ放送でフォックス氏は意図的にパーキンソン病の症状を利用したと噛み付き小競り合いが起こったことだ。

リンボウ氏の主張は誰が聞いても言いがかりで民主党に有利に働くかと思いきや、これでもって今回の選挙に嫌気がさしていた宗教右派が棄権から投票に回り、共和党に有利に働くかもしれないというから複雑だ。報道は大局に影響しないマイナーな言い争いと見て小さな扱いとなっている。

選挙の争点は明らかにイラク戦争でブッシュ大統領の評価は低いのだが、かといって今すぐ撤退したらイラク政府は崩壊しテロリストが喜ぶだけでそんな無責任なことは出来ない。民主党でも取り得るオプションは限られているという訳で、民主党圧勝のシナリオは可能性が低い。

経済は住宅バブルが萎み経済成長減速が明確になってきたが、ガソリン価格が下がり今回経済が重要な争点になってない。移民問題も一時よりクールダウン、社会保険や医療費も争点でない、イマイチ争点がはっきりしてない。従って黒人票やヒスパニック票も余り議論されていない。

報道を総合すると上記の宗教右派の投票率(ターン・アウトという)が鍵を握っていると私は思う。ニューズウィーク誌によると彼らは南部に広がるバプティストが中心で人口の3割を占め、他州にも広がりを見せている。今回これだけ悪い状況で、もし共和党が善戦したとすると米国は質的変化が起こったと考えたほうが良いかもしれない。

それにしても長期戦略担当にして選挙参謀の専任になったはずのカール・ローブ補佐官の名前が全然出て来ないのは何故なのか個人的に大変興味がある。最後の追い込みの1週間の行方を注目してみたい。■ 

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自助精神の復活

2006-10-29 22:49:05 | 社会・経済

今回は毎日のように報じられる教育や格差、犯罪等の問題に対する取り組みについて心の問題をミクロとマクロの視点から一言。

ご近所の底力

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杉並区のある町でそれまで年間約100件あった空き巣被害が、町ぐるみの対策が効果を上げこの2年間全くなくなったとNHKが報じている。NHKの番組「ご近所の底力」を通じて他の地域で実施されていた対策が以外な効果があったらしい。

その対策は1)更正した犯人の目から町を見直し空き巣の嫌がる街づくりをした、2)無理のないパトロールの徹底実施、3)会った人に必ず挨拶する - という簡単なことを「町ぐるみ」で着実にやるという内容であった。

解決策はセルフ・ヘルプ

全国的に見ると一般住宅の空き巣被害は増加傾向にある一方で検挙率は2割に留まっており、若者や外国人の犯罪を嘆き警察に対する信頼云々の声が聞かれる中この報道に私は救いを感じた。一言で言うとそれは警察だけに頼らない安全な町づくり、即ち「自助の精神」の発揮である。

昨今何か事件が起こると教育とか社会などの問題を指摘する声が大きく、報道がそれを煽っている場合が多い。そういう中でこのNHKの「ご近所の底力」とか報奨金的補助金に頼らず知恵と工夫で村づくりをしている自治体を紹介したテレビ朝日の「サンデープロジェクト」は高く評価していい。

急増する政府支出

私は苦境に陥ると直ぐ公の出動を要請する風潮のアンチテーゼとして、近年失われた「自助精神」を取り上げたい。マクロ経済で見るとGDPに占める先進諸国の政府支出比率は着実に増えている。第二次世界大戦後の平均30%弱が昨年は45%になり、許容可能な限界点に近づいているかどうかが専門家の間で議論になっている(MS:モルガン・スタンレー・リサーチ)。

国別に見ると2005年フランス・スエーデンが55%、日米が35%、英独は中間の45%前後である。国によって事情は異なるが欧州全体で見ると高負担で全体が縮小する自己破滅的な領域からそれほど遠くないという研究報告をMS社は引用して報告している。

政府支出が構造的に増加する日本

急速に老齢化が進む日本では、このままでも自動的に政府支出のGDP比率が高まることを理解しない議論がある。今も人口増が続く米国とは全く状況が異なる。経済システムとして政府支出の比率を安易に上昇させられない。言い換えると何かあるたびにお上にお願いして公に解決を求める姿勢(私はタカリの構造という)を改めるべきだ。

言い換えれば歯を食いしばって苦境を自ら乗り越える「自助精神」で日本人の誇りを取り戻す時が来た。そんなに難しいことではない、バブルの少し前まで皆ずっとそうだった。その経験のない若い人達には大変かもしれないが、年寄りに聞けば喜んで教えてくれる。現在までの繁栄は2000年の歴史のホンの数十年だけ、まだDNAは壊れていない。

ある英国人の予告

日本が戦後奇跡といわれた経済復興をとげ高度成長を続け、ジャパン・アズ・ナンバー・ワンといわれ、歴史上かつてない得意の絶頂にあった頃読んだある英国人のコラムが未だに忘れられない。成功しても規律正しく労働意欲を失わない日本人は素晴らしいが、日本が繁栄を長く続けられるとは思えないとあった。

言外に彼は豊かな生活下で子孫に規律を引き継ぎ伝えていくことは至難である、つまり日本人の国民性には産業革命後200年に亘り世界の主役であり続けた英国のような遺伝子がないといっているように感じた。当時これを聞いて英国病といわれ国難に瀕した負け犬の遠吠えと思ったが妙に引っ掛かった。

自助精神が復活の鍵

その後この英国人の予告はある意味当たった。小泉改革は規制を減らしたが財政出動を抑え企業の自助努力により日本経済を復活の道に乗せた。経済回復が一様でなくまだら模様でいまだ光の見えてない企業や個人に対して、厳しいようだが応分の才能と努力があったか、足りなければそれを埋め合わせる自助努力をしたか問わなければならない。

市町村合併による補助金を断り、知恵を絞り工夫して立派な運営をしている小さな村と、公務員にでたらめな給与やベネフィットを与え厚遇している赤字都市に対し同じように扱ってはいけない。今後の構造改革のキーワードは「自助精神」を育て、取り組みを見極めて推進すべきと信じる。■

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ハグ

2006-10-28 10:59:58 | 日記・エッセイ・コラム

日本ハムが日本シリーズに勝った時全選手がハグをしているのは今までに見たことのない景色だった。肩に回した手をパタパタさせて喜びの気持ちを表していたが、ややぎこちない感じを受けたのは私のほうが見慣れてなかったからかもしれない。

90年代半ばから米国で生活をするまではハグは映画やテレビでしか見ることはなかった。米国のビジネスの場でハグを見ることは滅多にないが、親しい友達が長い別れを惜しむ時等にはオフィスでも見かけた。女性のほうが圧倒的にハグをし、男・男がハグをするのは余り見かけなかった。

ある時送別会で女性が全員とハグをして別れを惜しむ場面になり、私の順番がくると逃げるわけにも行かずハグをした。それが始まりで、そういう機会がくれば躊躇無くハグをするようになった。しかし、私はどんな親しい男性ともハグをした記憶はない。米国人でも体がくっつくハグを好まない人もいる。地域差があると聞いたことがある。

ブルックリン出身の馴染みのマッサージ・セラピストも、日系女性のエステシャンも引越しの時ハグをしてサヨナラした。東欧系移民の女性の結婚式に招かれた時、花嫁は頬と唇をきつく押し付けてハグしてくれた。東欧系女性のハグは情熱的と聞いたが成程これかと思った。

ある時同僚の女性と出張先でディナーを一緒したことがある。彼女が一度は行ってみたいと言っていた高級レストランでフレンチをご馳走した。数日後シアトルのオフィスに戻り出勤した時、彼女が挨拶を言いながらハグをしてきた。ちょっと驚いたがすぐにハグを返した。

目の端に廊下で見てはいけないものを見たという感じでドア陰に隠れた人影が映ったのを感じて私は慌てた。ちょっとぎこちなく身を引いたのが彼女にも分かったようだ。気まずい雰囲気が流れた。私がオフィスでのハグを迷惑と思ったと解釈したようだ。そういうつもりは無かったのだが、気まずさがその後もずっと続いた。オフィスで気安くハグをするなという教訓だったかも。

私の記憶では仕事以外で親しくなった人も含め男性とハグをした記憶が無い。数人の親友とも分かれる時は握手しただけだった。男とハグするなんてありえない、余程感情的になった時の特別のものだった。突然札幌ドームでハグが始まった時の違和感は多分そのせいだったのだろう。

そういえば最近ハグをした記憶が無い。時折様子伺いに米国に来てくれた家族を空港でハグした時彼等のぎこちない反応を思い出す。帰国後は嫌がってハグをしてくれない。満員電車で他人の体がくっつくのは気にしないのに、対面の距離はある程度ないと落ち着かないようだ。■

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ソニー、バッテリー自主交換の心理(追加)

2006-10-27 13:52:58 | 社会・経済

ネットに流れている情報を調べる限りソニーはバッテリー事故発表後も不具合のメカニズムと自主交換対策の決定が何故遅れたのか、明確に説明していない。しかし、パソコンが発火した事故写真を見ると一つ間違えば火災を起こし顧客の財産や生命に危険を与える恐れがあり、仮に事故の確率が低くともメーカーは説明責任がある。

この手の問題を起した時の対応で会社の危機管理力が問われる。人身事故を起した時三菱自動車の企業体質そのものが腐っていたと白日の下に曝された一方で、松下電器の徹底した取り組みはイメージ作りを含めその後の危機管理の手本となり寧ろブランドの信頼を高めた。

松下電器の発表に比べるとソニーの今回の対応は言い訳じみていて告知が徹底していない。発表を見てもユーザは何が問題で最悪何が起こるのか、素早く交換すべきなのか当座は使い続けても良いのか等明確な指針が示されてない、ある意味非常にポリティカルな内容になっている。

ソニーの曖昧な姿勢の理由は二つ考えられる。第一に、この後起こると思われる訴訟もしくは損害賠償交渉で不利益になる情報を公表しないと判断と考えられる。全責任を被ってパソコンメーカーのリコール費用まで負担するとなると膨大な費用になるのである。

松下電器がやったように年末商戦の最中全製品の広告を一旦中断しバッテリー交換の広告をぶち、顧客一人一人に告知する費用だけでも気が遠くなる。全世界の顧客が対象で、該当するパソコンを買ったかどうか分からなければ、960万の顧客の絞込みが出来ないので告知費用は松下の比ではない。バッテリーの材料費と交換作業だけがコストではないのである。

第二に、更に交換決定をしていないHPなどのパソコンメーカーに対する配慮が必要だ。下手に全て問題はバッテリーというと、交換しないというメーカーの根拠をなくし梯子を外すことになるのだ。これもまた危機管理の初動を誤ったつけだが他に選択はない。

ソニーの発表の裏側にはこのような事情が隠されているというのが私の「憶測」だ。そしてユーザ視点が欠けていると非難されるのを避けるため、原因を曖昧にしたまま自主交換すると言う判断に追い込まれたというシナリオとなった。憶測に次ぐ憶測だが、私が判断しなければならない立場に立っても今となってはこうするしかないだろう。■

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ソニー、バッテリー自主交換の心理

2006-10-25 13:19:04 | 社会・経済

ソニーは昨日バッテリー自主交換プログラムの詳細を発表したと今朝の新聞は一斉に報じた。最初聞いたときは古いニュースかと思ったが、自主交換の発表は今回初めてだった。リコールの対象は20038月から今年2月までに製造されたリチウムイオン電池パック960万個、510億円に達すると報じられている。

デルのノートパソコンが発火事故を起こしたのが昨年10月だったからソニーがリコールを決定するまでに丸1年かかった。発表によるとデルの最初の事故から今年2月まで5ヶ月間生産が続き、多分翌月まで不良パックの流出が続いたことになる。

品質管理の問題もさることながら、日本を代表する世界企業のソニーの危機管理がどうしてこんなに粗雑で時間がかかったのか興味がある。危機管理が適切に機能して例えば1ヶ月で不良品の流出を抑えていれば少しはダメージを減らせたはずだ。

ソニー内で一体何が起こったのか大変興味がある。指揮系統における現場とトップ間、及び製造技術部門と管理部門で何が起こったのだろうか。私の危機管理の経験から何が起こったか例によって大胆な「憶測」をしてみたい。

バッテリーは化学変化をエネルギーに変える極めてアナログ的な性質を持ち、パソコンのデジタル技術者が通常扱う電子回路とは異なる。ノ-トパソコンは90年代から品質問題でリコールを繰り返してきたが、その殆どはバッテリー絡みの事故だった。デル自身90年代初めに事業解体的見直しに繋がるリコールを行った。

バッテリー事故は火災などの深刻な事態に発展する恐れがあるので、問題が起こるとリコールに繋がり多額の損失を被ることが多い。しかし、バッテリーそのものの品質問題よりバッテリー持つ大きなエネルギーを適切に制御していれば防げた事故もかなりあった。

今回の事故原因はバッテリー生産過程で金属粉が電極間の絶縁層に混入した為内部短絡を起こしたと説明されている。想像では、デルの事故報告がソニーに届いた時品質管理や技術部門はデルの使い方に問題があるという先入観があって、それが調査を遅らせた可能性がある。

もしくは、金属微粒子の混入はかなり早い時点で検出したが、2003年出荷開始より2年無経過していたのでそれが事故に繋がる確率を過小評価したものと思われる。その頃までに出荷した何百万パックの中でデル以外に事故の申告がまだ届いて無いか、もしくは頻度が少なかったから現場はそう思いたかったのではないだろうか。

最初ラインからトップへの報告はこの希望的観測でなされ、トップにはバッテリーが引き起こすかもしれない潜在的な問題を感じ取れる人はいなかったと思われる。想像ではトップが技術者出身の人材だとしても直感的にデジタル的発想しか出来ない人だと思う。バッテリーに詳しい技術者出身で世界的企業のトップにつくことは先ず考えられない。

ところがバッテリーの問題は時間の経過と共に化学変化し劣化が進む場合がある。最初は問題なくとも使っている間に混入した金属微粒子に導電性の結晶が徐々に成長し電極がショートし発火する事故がその後起こったはずだ。温度など使われる環境や、充電方式によって事故が起こる時間や頻度が異なる。

その後アップルやレノボ等の事故報告が届くたびにこの希望的観測が崩れていったと思われる。悪いことに希望的観測に基づいた初期の発表との辻褄を合わせる為、途中で思い切った方針転換が出来なかったのではないかと推測される。初動でボタンを掛け違え、以後逐次投入という危機管理としては最悪シナリオ」だ。

デジタル的に10かの判断に慣れた人が、バッテリー問題をアナログ的表現で多分に自己保身的・希望的な報告から重大な危機を感じ取り、大損しても冷徹に意思決定することの難しさを示した例ではないかと想像する。

しかしソニーほどの巨大組織の中でトップマネジメントにこれを求めるのは現実的ではないだろう。私の憶測が当たっているなら、危機管理組織と指揮系統の見直しをするにしても、部長か事業部長クラスは深刻さを感じ取り、トップに理解できる言葉で報告する人材を少なくとも一人配置することだろう。こういう人はビジネスを知らない、空気を読めないと普段は評判が悪い。■

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