日本の閉鎖的な記者クラブ制度が民主党政権になって少しずつ変わりつつある、という21日付のNYタイムズの記事を見つけた。見出しに続く要約だけ見て要注目とチェックしたが、母の転院等で忙しくして記事を読んでなかった。だが、何が起こっているのか気になっていた。
この間テレビや新聞報道を見ても、記者クラブにかかわる報道は全く無かったと思う。事業仕分けで予算作成の過程が公開されネットを通じて誰にでも見え、透明度が格段に上がったと評価する一方で、それを報じるメインストリームのメディアの取材手法の透明性に問題があることは前々から指摘されていたが一向に改善しなかった。
転院後の母が落ち着いて時間に余裕が出てきたので気になっていたニュースをチェック、上記NYタイムズの記事も読んだ。これが面白い。亀井大臣が記者クラブ向けとそれ以外のジャーナリスト向けに毎日二回記者会見を開いていると、いささかコミカルに報じている。端的に言うと日本のメインストリームメディアの後進性を馬鹿にしているという感じだ。当然だが。
それではとネット世界を覗いて、この記者クラブの政権交代後のギクシャクの詳細がわかった。記者クラブは従来からの閉鎖的な記者会見の既得権益を死守しようと抵抗しているらしい。テレビや新聞ではこんな問題は存在しないかの様に無視しているが、ネットの世界では結構な議論になっていた。記者会見のオープン化対応は省によってマチマチで、首相会見は記者クラブ独占のままらしい。
選挙前は記者クラブのオープン化に積極的だったのに何故対応がマチマチなのだろうか。それが政治主導の現われとは言わせない。今のところその訳は不明だ。民主党政権も記者クラブの既得権益を死守する姿勢に手を焼いていると見るべきか、それとも違法献金問題を突かれるのが嫌なのか。
ネット世界で悪者化されている官房長官などの周囲が、首相を守るための仕業なのかも知れない。インナーグループ(取り巻き)がやりがちな視野狭窄だ。政権が悪くなった時振り返るとあの時こうすればという兆候が必ずある。極端に言えば裸の王様化させる嬉しくない兆候だ。観測記事を読んだだけ、実際がどうなのか私には明らかではない。
私はもっと深刻だと思うことがある。テレビなどメインストリームのメディアへの依存度が非常に高い我が国の人々にとって、伝える側がカルテルを組んで意図的に情報を選別して、都合の悪いニュースを伝えないのは怖い。
せめて「A社は報じないけど、B社は報じる」的なバリエーションが無いと昔来た道を歩む恐れが無いと言い切れるだろうか。全員伝える価値の無いニュースと判断したとでも言うのだろうか。では何故NYタイムズがニュース速報のメールで伝えたのだろうか。■