かぶれの世界(新)

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天邪鬼・日中摩擦-商人国家アプローチ

2010-09-29 23:21:11 | 国際・政治

尖閣列島を巡る日中摩擦で、なぜ突然「サムライ」を持ち出したかその訳を少し説明したい。サムライがいた時代なら、この西郷隆盛の言葉が現状にぴったり当てはまる。

「政道を歩み、正義の為なら国家と共に倒れる精神が無ければ、外国と満足できる交際は期待できない。その強大さを恐れ、平和を乞い、みじめにもその意に従うならば、ただちに外国の侮辱を招く。その結果、友好的な関係は終りを告げ、最後には外国につかえることになる。」
原典『内村鑑三の「代表的日本人」を読む』 岬隆一郎

これを聞くといかにも小気味良く格好良い。多分、今でも圧倒的にテレビ受けが良い考えだろう。だが、果たして現代の日本人がこの精神を持って筋を通す強さを持っているか、特に軍事力を持たない国の国民が胆力をもって立ち向かえるか、結論から言うとそんなものは存在しないと思う。

というのが私の天邪鬼的「商人国家アプローチ」であった。だが、それは失望することでは無い。日本にはサムライの他にもう一つの文化、商人の文化が脈々と流れている。したたかな国のあり方として商人国家の強さを実証する絶好の機会が来たと私は言いたかった訳だ。■

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田舎暮し雑感10秋(2)

2010-09-28 22:22:34 | 日記・エッセイ・コラム

訂正:高速無料化の効果

当地の無料化高速道路の混雑状況が1-2割り増しと先日書いたが、3‐4割増に訂正します。無料化でパンクなど支援を求める管内のコールが5割り増しになったというローカル放送を聞いた。土曜日に母を見舞った帰りの夕時は確かに車が多かった。ETCじゃない車が多い気がする。

今日も母を見舞ったが、昼間の交通量は無料でも少ない。高速道路とはいえ軽自動車の比率が高く、半分くらいは軽という印象だ。片側1車線だからとろとろ走る軽の後ろについて行くしかない。総合すると増加した交通量のうち「軽+老人ドライバー」の比率が高いのではと思う。

高齢者の農機具事故が身近に

老人つながりの話題をもう一つ。昨年だったか、農機具利用時の高齢者の事故が増えて、農機具メーカーが機械の仕様を見直していると聞いた。東京から実家に着いたその日、近所で農機具の下敷になり救急車で運ばれた事故を目撃したとタクシーの運転手が言った。

それが何と、春に小作地を転売したオジサンだった。母と同じ年代と聞いていたから80代前半のはずだ。後で彼の息子に容態を聞くと、背骨を傷めたけど大事にはならなかったと聞いた。万が一彼が亡くなると、この集落に昔から住む家は全員後家さんがいることになるところだった。

今朝7時半に年に2回の大明神に集合して掃除をし、太鼓を叩いてお神酒を頂き、お供え物の果物やクズシなどのお裾分けを頂いた。参加したのは私の他に纏め役と上記オジサンの息子が男性、残り10人弱の殆どは高齢の後家さん達だった。当地の未来のデモグラフィーだ。

Winner Take All

そのオジサンは田舎の農地管理について時々助言を受けた一人だ。春先に畑の雑草対策にコスモスを植えるよう勧められ、中国産の業務用種を買って稲作用田んぼの隣の三角形の畑と山沿いの斜面の畑に種をまいた。3ヵ月後の結果は、斜面の畑は丁度コスモスが開花し始めたところ、平地の畑は雑草が覆いつくしコスモスの花の痕跡すら残ってなかった。

近所の農家の人達の意見を聞くと、今夏の酷暑・種まきの時期とその前後の畑の湿り具合・耕作後の雑草の育ち具合などが関係するという。傾斜地は山影で西日が当たらない、平地は機械で耕作後1週間程度経過後に種まき、傾斜地は鍬で耕作後すぐに種まき、などが条件の違いだ。

その条件の違いが、種が発芽して育つ前に雑草が大きくなり太陽を奪った結果、コスモスが全滅したのではという。隣の農夫は「雑草に負けた」んだろう、「勝負は1かゼロ」、負けたという事は全く無くなるということ、それではと良かれと思い改善すると翌年は天候条件が変わり期待通りに行かない、「それが農業だ」とのたまった。そんな難しいこと言われても、もっと気楽にやりたいんですけど。

旧友との遭遇

当地では今が丁度稲刈りの時期だ。最近は機械で刈り取り乾燥するので、稲刈り後稲木を組み天日で乾燥しなくなった。だが2日前、スーパーに買い物に行く徒歩30分の道中で、稲木乾燥している農夫を見つけた。珍しいので声をかけ聞くと、無農薬でこだわりの米作りをしている、乾燥は20日程度で味は良いかも、自家消費用だとの返事があった。私と違って正にプロの農夫だ。

そのうち彼が急に私の名前を言い、二人が同じ小中学校に通った同級生だと分かり、近況と友人の消息を交換した。彼は顔中ひげもじゃでお腹が出ていた。話しているうちに若い頃の面影を思いだした。彼は東京の大学に行き、私は田舎の学校に行ったのに、40年後は住む所が逆になった。予期せぬ40年ぶりの旧友との遭遇だった。■

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天邪鬼・日中摩擦

2010-09-27 14:58:51 | 国際・政治

尖閣列島の領有を巡る日中摩擦が、検察の政治判断で船長を釈放し新たな局面に入った。中国からは謝罪と賠償を要求される一方で、多くの野党や識者は政府の対応を非難し、国内報道はしたり顔の「外交惨敗」とかいう刺激的な評価が並ぶ。海外でも日本が恥をかかされたとの論評があった。

私も中国の態度は忌々しいと思うが、「なるべしてなった」という印象を受けた。交渉ごとにおいては妥協可能な目標と最悪時の失うものを見極めておくのが常識だ。日中どちらが失うものが多いかちょっと冷静に考えれば、日本は圧倒的に多くのものを中国から得ていると私は理解している。

手元に具体的な数字は無いが、日中貿易と双方の国への企業進出とそこから得る利益を総合すれば、日本は圧倒的に中国市場に依存している。中国も日本との経済関係が悪化すれば痛手を受けるが、日本の方が失うものがかなり多い。

私のビジネス経験がそのまま外交に当てはまるとは思わないが、交渉とは相手方が組織内(国内)で立場が守れる条件を見出し、こちらの妥協可能な条件と重なるウィン・ウィンの着地点を見つけることだ。一方で、お互いのダメージをバランスさせるという側面がある。

つまり、交渉ごとが上手く行かない時の最悪ケースを予測し、被るダメージに対する心構えとか準備をしっかりする、ということが交渉の結果を左右する側面がある。従って、得る物よりも相手方の最悪ケースの損失を出来るだけ正確に見積もり、損失を大きく見せる仕掛けや材料があることが極めて重要になる。

外交の世界で国際法とかルールや、まして国家の品格など通用しないケースの方が多いと考えるべきだ。それが短期的か長期的か、何が重要な価値観か異なるが、基本は国益と国益の戦いだ。共産党一党独裁維持が政策の最優先事項であり、国際法を無視し続ける北朝鮮を擁護し、資源獲得の為には大量虐殺した国を支援するのが中国であると忘れての議論は無意味だ。

一方で、現在の日本は痛みに弱い国になった。何かあれば直ぐに大騒ぎして国が割れ右往左往して目先の対策に追われる。それは経済だけの話だろうという声が上がるかもしれない。だが、今の日本は常に経済が優先するのが現実だ。その傾向は政財官+メディア+国民全てだ。つまり、それが今の日本の国益である。導かれるのは、最悪ケースの許容度が極めて浅いということだ。

外交上もっと上手くやれたという議論は多分正しいだろう。だが、それは調整の範囲であるように私には感じる。中国が経済的に日本を上回り、購買力平価では数年内に米国に追いつく、そのペースを上回る速さで軍事力を強化している。この現実が作る新しい国際バランスの大枠の中での微調整だ。しかもそのバランスはムービング・ターゲットだ。

筋を通す為に被る不利益を我慢する覚悟がない日本は恥をしのんでも首をすくめ、しかし実利だけはきっちり頂くということではないのだろうか。実は戦後の日本はそうやって繁栄の道を歩んできたと私は考える。沖縄返還だって金を払い米軍基地を日本各所に認めた上のこと、しかもそれで日本の防衛をやらせるという、世界史を振り返れば極めて稀で上手くやったといえる。

かつてサムライは大儀の為に常に死に場所を求めて日々を送っていた、下級武士ですらだ。勿論全てでは無いが。サムライの国がないがしろにされた時、どういう仕返しが帰ってくるか予想できない恐ろしさが日本にはあった。だが、今更軍隊を持てというのも無理がある。結果として相手国は軍事的な報復は考慮する必要が無いのも現実だ。

今、日本といえば金の力で武士と張り合った江戸時代の商人というのが私には一番ぴったり来る。国を変える気概は無いが、頭を下げ様が恥をかかされ様がしたたかに生き残る知恵はある。とすれば圧倒的な経済力が無くなった今、日本と上手くやらなかったことを後悔させる何かを、首をすくめて大事に育てていくしかないだろう。勿論、識者が指摘する外交交渉のテクを発揮して、なるべく損失をミニマムにする中で。それが期待通り行かなくてもじっと我慢し実利を取り機会を待とう。■

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対日禁輸と10年連続200本安打の重み

2010-09-24 13:04:45 | ニュース

中国がレアメタルの対日輸出規制をしたとニュース速報のメールが入ったのは、昨日の午前11時過ぎだった。NYタイムズからだ。レアメタルは日本のハイテック企業にとって必須の稀少金属であり、備蓄がかなりあることは知っていたが、一目見て大変なことになったと思った。

それではと、日本のメジャーな新聞のサイトに行くと関連記事が見られない。テレビ報道も夕方頃になって異常気象などの解説の後で触れられる「その他ニュース扱い」程度だった。昨夜のテレビのニュース解説や今朝の新聞(実家のある田舎では夕刊が無い)で報じられているものの、トップの見出し扱いではなかった。

価格交渉が進まないのにごうを焼いたロシアが、欧州向けのガスを止めたことを思い出した。中国もこういうことをする国だという印象があったので、驚きはしなかった。だが、日本の生命線ともいえるレアメタルが禁輸されたらメディアが大騒ぎすると予想したので拍子外れの反応だった。

尤も日本をアタフタさせるのが中国の狙いであったはずで、政府・産業界が少なくとも表面的には冷静に受け止めているのは良かったと私は考える。しかし禁輸が続けば深刻な事態になることも予想され、今回の比較的冷静な報道はメディアが鈍感なだけなのかもしれない。いずれにしろ、今回の中国のやり方は対中外交の当事者にとって予想通りとしても教訓になるだろう。

話題はがらっと変わり、イチローが今朝方10年連続200本安打を達成したニュースがテレビで大きく取り上げられた。皮肉だが、中国の輸出規制に比べ凄く早い。10年連続は大リーグ新記録だという。世界の一流選手が競うメジャー・リーグでトップクラスの成績を怪我もせず、大きなスランプも無く10年も続けることだけでも素晴らしい記録だ。正に100年に一度の記録だと思う。

米国内でどう見られているか気になってMLB、CNN(SI)、MSNBC、ESPNなどネットを調べると、相手チームの4番ボーチスタが今シーズン50号ホームランを打ったという扱いの方が大きく、イチローの記録が見出しに全く無いサイトもあった。何と言う軽い扱いだ。

彼らがどう見ているか分かる気がした。それは一概におかしいとも言えないところもある。というのも、ゲームはその50号本塁打が効いて1-0でトロント・ブルージエイズが勝った。豪快な本塁打はファンを楽しませるだけでなく、実際ゲームに勝つ貢献をしたという典型的な形で終った。

ホームランでなくとも人気チームのNYヤンキースのDジーターが、チーム内の通産安打記録が往年の名選手を上回ったというだけで、私にもニュース速報が来てヘッドラインの記事になった。彼のチームの勝利に対する貢献が認められてのことだと思う。が、この差には違和感がある。

先日イチローの所属するフランチャイズの地元紙が、近年チームが記録的な負け数が続く中、10年連続で200本安打記録達成に近づくイチローの奮闘振りを、「ビタースゥイート」という言葉を使って複雑な思いを報じていた。多分この辺のところが日本のイチローファンの心情に最も近いのだろう。

だが、それが米国人の一般的な考えではないことを理解してかかるべきだ。私には米国の方が中国をよく理解して対応しているように感じる。そしてイチローはどうだろうか。■

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介護録10秋(1)

2010-09-22 23:22:16 | 健康・病気

実家に戻った翌日の午後、早速松山市衣山にある母の入院先に行った。無料化対象だった高速道路を利用してみたが、交通量は1―2割増という程度だった。元々国道を通っても松山市近郊以外は渋滞しなかったから当然だろう。それでも高速道路を通せと散々陳情したに違いない。

今月初め予告編を投稿した時から母の容態は更に悪化していた。その後主治医から電話があり、即効性のあるインシュリンに変更し食事量を減らした後も、血糖値が300台になることがあり、検査の結果バセドウ病であると判明した。誤嚥で肺炎を併発していたので、老人ホームでの治療は適切でなく入院させて治療する、家族の了解を得たいという。勿論即答で了解した。

松山に住む友人と久しぶりに会って昼食を済ませ、1時過ぎに病院に着くと先生は3時まで予定があると聞き、先に病室に行き母を見舞った。病院は5―6階建てのビルでエレベーターが無く廊下に段差が残っており、3階のいかにも古ぼけた小さな部屋のベッドサイドの車椅子に母がいた。

予想以上にみすぼらしい部屋に小さくなった母を見て言葉に詰まった。廊下は冷房が聞いておらず暑い。母は私に車椅子上のテーブルをどけさせ、部屋の前の約10m程度の廊下を車椅子で行き来し始めた。狭く段差のある廊下で難儀しながら介護婦らしきオバサンの手を借りて何度も往復した。一生懸命リハビリに努めようという気持ちが伝わってきた。

オバサンによれば、母はやっと熱が下がり容態がよくなったので車椅子で運動し始めたところだという。母は一言も喋らず黙々と車椅子を動かし、廊下を3‐4往復すると頭部や上半身に汗が浮かんだところで部屋に戻った。母が落ち着いたところで、先週土曜日に息子夫婦が明治神宮に孫のお宮参りした後、食事会で家族揃って撮った写真を母に見せた。

母は黙って見ていたが殆ど反応が無かった。曾孫の大写しの写真以外はよく見えないそぶりをし、うかつな私もやっと気が付き申し訳なく思った。今まで写真に反応しないのを興味がなくなったと思い込んでいた。デジカメで撮った動画も良く見えない様子だった。大写しの写真だけテレビセットの前に置いた。

ベッドに戻せと言われ抱えると母は意外に重く、思ったより上手く行かない。半ば強引にベッドに移した。母の体が曲がり窮屈そうだったが、どうすれば良いか要領が分からない。そうしている内に先生が戻ったと看護婦が呼びに来てくれ、1階の診察室に降りた。

病院の名前と同じ姓の若い先生だった。古ぼけたビルから想像するに、二代目先生だろうと思った。みすぼらしい病棟でいい加減な治療だったら母が可哀想だと不安だった。だが、この先生の説明は私には明確で納得できる内容だった。

先生の母の病状を分かりやすく説明してくれた。母の血糖値が安定せず300台になることもあり、熱が下がらないので入院治療することにした。レントゲン写真を比較して肺炎にかかっているが、抗生剤を投与してもCRPが下がらない。即効性インシュリン投与しても血糖値が安定しない。

その原因として、バセドウ病による甲状腺ホルモン分泌異常を疑い検査した。エコーを撮ると、血流がバセドウ病の特徴を示したという。その自己抗体生産がコレステロール消費を促進して、脈拍を高め発汗を促進するのだという。その結果、過剰な新陳代謝が進みいくら食べても体重が増えず、食欲が止まらない。正にこの数年間、母が悩んできた症状で納得できる説明だった。

現在の1日の食事量1400kcal、インシュリン投与4回を変更したいと申し出があった。インシュリンの代替として、新薬「ビクトーザ」の投与を勧められた。説明によれば血糖値が上がりそうな時にインシュリンの効果が出るという真に都合の良い薬効があるという。インシュリン投薬による低血糖の恐れが無くなるので、看護婦が1人だけの老人ホームの環境にあっているという。

但し、白血球がなくなり抗体が失せる副作用があるので、3ヶ月間は注意深く見守る必要があるという。今後1‐2週間様子を見て症状に変化がなければ老人ホームに戻り、往診で対応できる見通しだという。薬の費用が2-3倍程度になるらしいが、保険が効けば問題ないと答え新薬投与を了解した。一時17‐25あったCRPは0.4にまで下がり、熱も下がったので肺炎は心配なくなった。

母の病室に戻ると綺麗に寝かされ、毛布がかけてあった。酸素チューブが鼻にセットされていた。先生に聞いたことをかいつまんで説明し、もう少しで良くなってホームに戻れそうだ。食事を我慢できなかったのはバセドウ病のせいだと分かって良かったね、というと母の表情が一瞬和んだような気がした。まだ気力が残っている。

帰る前に何か欲しいものはないかというと、「バナナが食べたい」との返事。変わらないなと思い苦笑いしながら、「言ってみるけど期待しないで」と答えた。途中であった看護婦に一応伝えると、彼女も予想通りの表情で返事にならないような返事をした。彼女が何と言ったか覚えていない。■

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