午後一で羽田を発ち2時には松山に着いた。東京は朝から暑かったが、松山も暑かった。だがバスを乗り換えて松山から南に向かい峠を越えて実家のある大洲に着くと、小雨模様で息苦しい程に湿度が高かった。この土地特有の南国の盆地の夏だ。
ところで、東京の自宅を出てから愛媛の実家までの間、今迄とは時間の過ごし方が変わった。いつもなら小説なら最低1冊読みきり、ノンフィクション(NF)なら0.5冊くらいは移動時間と待ち時間で読む。だが今回は読書に当てたのは、飛行機に乗っている時間の半分だけだった。
何をやっていたかというと、携帯メールとニュースのチェックを短時間で繰り返し、残りの時間はi-Padを使って色々な情報検索やメールを読んだ。それは自宅のデスクトップPCでやることと殆ど変わらない。先日の白樺湖旅行の時は少し控えたが、今回は移動中にもかかわらず90%仕事モードで過ごした。
i-Pad は1ヶ月余り前に娘がくれた、正確には借りた。娘が仕事で使っている複数台の機械の一つを体験用に貸してくれたのだ。最初は初心者の為のコンテンツ・ビューアーとか言って、自称情報を創造・編集をする私には使えないと馬鹿にしたが、実際に使ってみると意外に役に立つ。
娘に言わせると私は機能のホンの一部しか使ってないと言い、たまに会って少しずつ活用法を教えてくれている。その機能の殆どは便利だが私には余り興味のない情報サービスだ。だが、日常のPC利用は実は私が思っていたよりネット情報検索の比率が高いことも分かった、データ入力編集に比べて。
私が言う「創造的作業」の為のワープロやスプレッド・シートはi-Padでは使い難くて生産性が悪いのは確かだ。しかし、そういう場合には作業を先送りし、後からデスクトップPCに戻って纏めてやっても殆どの場合困らない。更にKBを叩くのは情報の創造・編集より、パソコンに指示する為の場合が多く、その部分はタッチスクリーンが効率よく代替してくれた。
田舎のバスの中でスマホを使う人達は沢山見たが、私の推測では彼等は娘が教えてくれたような「便利な機能」を使っていたのだと思う。だが、i-Padならもっと「本格的な作業」が出来そうだ。今は同じ状況ではないかもしれないが、現役の頃の仕事が結構やれそうな気がする。第一癪なことに、私が使っている2世代前のパソコン(ウィンドウズXPベース)より余程早い。
今、決まったオフィスで働かない在宅勤務といった仕事の仕方を「ノマド」といって流行語になっている。ノマドとは「遊牧民」という意味だそうだ。20年前ノートパソコンが市場に出始めた頃米国で「ノマド」という言葉をよく聞いたが、私は初め「ジプシー」のことと思い実用には程遠いと感じていた。しかし、今回は使えそうだと思った。私みたいな高齢者にも。■