かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

ブラックマンデー、再び

2008-09-30 11:03:48 | 社会・経済

まさかの「さか」

今朝、久しぶりに寝過ごして8時過ぎに寝床から這い出し居間のテレビをつけニュースを見て驚いた。この数週間激論が続いてきた70兆円の金融不安の救済策(金融安定化法案)について、ホワイトハウスと両議院がやっと合意したと報じられて、昨晩床についたはずだった。ニュースは否決されたと伝えていた。

米下院でこの救済策は反対多数で否決され、ダウ平均が史上最大の777ドルも下げたという。こんなことがありえるのだろうか、と思ったが、党議拘束のかからない米国では採決には議員個人夫々の判断で臨むということを思い出した。3年前の郵政選挙を一瞬思い出したが、米国で解散はない。一体どうするのだろうか。

米国民の怒り

否決された理由は、ブッシュ大統領の影響力低下と、大統領選と同時に実施される議会選挙に向けて選挙民へのアピ-ルと、経済ニュースは伝えている。今回の救済策案に対する米国民の怒りは半端でないことを思い知らされた、というのが私の正直な印象だ。

分かり易くいうなら、毎日多くの労働者が失業し家を失っているのに、先週買収されたメリル・リンチのCEOは約170億円の退職金を手にした、そんなウォール街の金融機関の損失を何故国民の税金を使って救済するのだ、という選挙民の素朴な問いかけに応えられないと判断して否決された。特に共和党議員の反発が大きかったのが皮肉な結果となった。

道徳を越えて「生き死に」の問題に

全くその通りだが、前から指摘しているように、事態は最早道徳を語る状況を越えている。今米国の104の中小銀行が危機にあるといわれているが、今回の否決により資金の道を閉ざされ倒産する銀行が出て来ると予測されている。倒産は連鎖的に新たに別の銀行を危機に陥れる。その連鎖は結びつきの深い欧州にも及んでおり、既にいくつかの欧州大銀行を危機に陥れている。

金融不安が続けば事態は更に悪化し一線を越えて最悪の事態を迎える。人体に喩えると、今出血を止めないと体中の血が足りなくなって、患者が重大な事態を迎えるという状況なのだ。米国民の皆さん、気持ちは分かるが、この苦い薬を飲んでくれないと、あなたの街の銀行が倒産するし、そして世界中が困るのです、という心境だ。

時を刻み続ける時限爆弾

米国政府は法案を修正し再度議会にかける予定だが、まだ具体的な日程は明確になっていないという。白川日銀総裁は短期金融市場の「流動性はほぼ枯渇」したと述べ、日米欧の中央銀行は協調してドル供給を65兆円に倍増させた、と今朝の新聞は報じている。

今朝の東京証券市場は当然のことで急落したが、10時30分現在、私の目にはパニックに陥ることなく以外に冷静な反応の範囲で推移しているように見えるのが救いだ。しかし、時限爆弾の時計は進んでおり、米国の救済策の薬が効く時間はそれほど残されてない。■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米国大統領選のネタ帳

2008-09-28 17:25:39 | ニュース

昨日、麻生内閣の最初の支持率が新聞各社によって大きく異なると紹介した。一方で世界が注目する米国大統領選は多様な角度から調査分析されインターネットで流され、世界の片隅にいても何が起こっているか即時にわかる。その米国の支持率も調査会社によりバラツキがある。

第1回目の大統領候補者の討論会で何が討論されどちらが有利だったか、ニューヨーク・タイムズ(NYT)、ワシントン・ポスト(WP)、ウォールストリートジャーナル(WSJ)などを読めば夫々の視点で評価がされている。昨日は予定されたテーマの安全保障から緊急事態の経済情勢に争点が移りオバマ氏が攻勢に出てやや優勢と報じられた。

しかし、辞書を引きながら1紙の注目記事を読むのがせいぜいで、原文で色んな新聞記事を読むなんてとても出来ないという人が殆どだと思う。日本の新聞では物足りないと思っても、時間を節約して効率的に要点を知りたいと思われている方も多いのではと思う。

そこで、私が利用している「ネタ帳」の主なものを紹介したい。日本でもCNNABCPBS(公共放送)等のテレビ放送が流されている。だが、放送が有料か時間帯が限られ、番組を見て何故そう報じるのかもうチョット詳しく知りたいという方に、テレビや新聞とは違った情報源を紹介したい。

Pew Research Center http://people-press.org/ 米国民の政治・社会観を調査する独立系の調査機関(Fact tankと自称)で、政治や報道・科学者等のリーダーに情報を与え政策決定の材料を提供することを目的としているとされている。

このところのホームページの2大ヘッドラインは、大量破壊兵器・AIDS・虐殺など世界の問題に対して米国民が内向きになっている、ウォール街の金融システムの救済策は57%が賛成、30%が反対という興味ある調査結果が出ている。国内のことにしか興味のない日本人が、米国民が内向きになりつつあるという懸念を言うのは気が引けるが、個人的にはとても気になる。

POLITICAL ARITHMETIK http://politicalarithmetik.blogspot.com/ ウィスコンシン大のフランクリン教授が、種々の調査機関から公表された色々な世論調査結果を一つのグラフにプロットし、全体のトレンドを総合して表示している。ここから見えてくるトレンドは信頼性が極めて高いと思う。

Slateマガジン http://slate.msn.com/ この記事を見ればNYTWP等の有力新聞社が重要なテーマについて日々どういうポジションを取り、何を言っているか要約されている。複数の新聞記事を一々読まなくても、メディアがどういう反応をしているか感触がつかめる。

topix http://www.topix.net/ このサイトは主要テーマについてのメディアが発表した記事に対する読者のコメントがリアルタイムでブログ方式に紹介されている。例えば、昨日の大統領選討論会を評価する記事に対する生の声がリアルタイムで見られる。私は普段殆ど利用しないが、数年前日中関係が悪化した時には世界の声を知る為に参照させてもらった。

BBC http://www.bbc.co.uk/ 意外と全体像を把握するのに有効なのは、米国の事件だから自動的に米国のメディアという訳ではなく、むしろ英国のBBCを勧めたい。BBCのホームページを覗くと情報過多にならないよう、しかしポイントをつきバランスの取れた構成というのが私の印象だ。

記事が扱うテーマに関連するリンク、他社報道、読者の意見などが辿れて便利な構成になっている。朝日・読売・日経3社が開設した‘アラタニス’は、3紙の記事を一目で比較でき便利になったが、テーマが限られていて物足りない。私はBBCのようなアプローチのほうが好きだ。

私はここに紹介したサイトをいつも見ているわけではない。海外で大きな事件が起きた時、どうも日本の新聞の記事は踏み込みが足りず物足りない、目線が内向きで信用できないと感じたとき見ている。一方で、これらのサイトは所謂英米のアングロサクソン系の目線であることも理解しておく必要があるだろうが、私の言語能力では限度を越える。■

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

内閣支持率の怪

2008-09-27 16:56:18 | 国際・政治

麻生政権発足直後の内閣支持率が新聞各社から早々と発表された。24日に内閣が成立したばかりでまだ何もやっていないのだから、総理と内閣の顔ぶれから見た期待値ということだろう。朝日・毎日・産経は50%を切り、読売・日経は50%以上で新聞社によってかなり差がある。

この支持率の差は次の総選挙の時期を微妙に左右する要因になっている。麻生政権の最初の支持率は所謂「ご祝儀相場」の福田政権発足時と同じ55-65%を期待していたといわれ、期待値より10%低く、森内閣以来の低い支持率となった。

これを受けて政権への評価と期待、次の総選挙で自民・民主のどちらが有利か新聞社によって見方がやや異なっているようだ。例えば、毎日は政党支持が有利な結果になった自民党は選挙を早めると予測、一方産経は逆に民主党が有利で自民党の目論見が外れたと論じている。

低支持率の原因は総裁選の成り行きとその後の内閣の顔ぶれが古い自民党に戻ったように見える為といわれる。ここではその評価はさておき、メディアによって何故支持率が異なるのか簡単に議論してみたい。先ずは新聞社により支持率に一定のバイアスがあるように感じる。

下記の数字は新聞社ごとの直近の内閣支持率の推移を示す。8/1-3は福田内閣改造直後、9/24-25は麻生内閣発足直後である。朝日・毎日は自民党政権に辛く、読売・日経は甘い、産経はその中間にある傾向は両期間に共通している。

    8/1-3  9/24-25
朝日  24%   48
毎日  25%   45
読売  41%   50
日経  38%   53
産経  29%   45

新聞各社のスタンスが親政権かどうかは自由だが、本来同じものを伝えるはずの世論調査の結果の差が統計学的に許容できる誤差の範囲を遥かに越えているのは気になる。世論調査結果の大きな差について納得できる説明を私は聞いたことがない。メディアは放置していいものか。

以前、長野県知事選でインターネットと電話調査による支持率と選挙結果を比べ、サンプリングによって調査結果が大きく異なると書いたことがある。そのときは端無くも老人世代の意向が選挙結果に大きく反映されたことを学んだ。

今回、朝日のサンプリングはコンピューターで無作為に選んだ電話番号によると報じている。他の新聞各社のサンプリングも恣意的にならないよう工夫されているはずで、サンプリングによって差がついているのではなさそうだ。

異なる世論調査結果が生じるもう一つの要因として設問の仕方がある。この分野について私の知識は限られており、新聞各社のどの設問の仕方が調査結果に影響を与えたと具体的に指摘できない。設問自体にそれほどバイアスがかかっているようには私には思えなかった。

しかし、結果は新聞社ごとに明らかな傾向(バイアス)があるように感じる。サンプリングが公平で設問に差が無ければ、調査の回答率が50%程度であることに秘密があると私は推測する。

ある比率(5-10%程度)の回答者は、例えば読売の政治スタンスを普段から知っており、それを理由に回答したり拒否したりする為結果的に親自民党政権になるのではないかと思われる。この推測は調査の最初に「読売新聞」と名乗っているという前提である。

そうだとしても、新聞各社の世論調査を総合して時間軸で見ると相対的な支持率の傾向はかなり正確に知ることが出来る。米国にはギャラップなど世論調査を専門とする民間調査機関がある。加えて、同じテーマで実施された全ての世論調査を時間の推移とともにグラフにプロットして一目で分かる便利なブログ(http://politicalarithmetik.blogspot.com/)もある。参考までに。■ 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花はどこへ行った

2008-09-24 23:00:19 | 社会・経済

つい最近まで巷を騒がしてきたのに、1年も経たないうちに気が付くと跡形も無く消えてしまった三つのテーマについて語りたい。これらは消えて無くなったのではなく、表舞台から降りて出番を待っているだけのように私には思える。

1.消えた団塊世代

団塊世代の定年退職が始まり、彼らの叩上げの技術が失われ大変なことになると散々心配させた「2007年問題」は何事も無く終わった。期待された巨額の退職金効果は今のところ経済に何らの足跡を残していない。今は米国発のサブプライム問題で景気後退に向かっている。

それでは団塊の世代はどこに消えたのだろう?答えは、どこにも消えてない。労働政策研究・研修機構調査によると何と団塊世代の8割はまだ働いているのだそうだ。私は残りの2割のようだ。大騒ぎしたマスコミは口が聞けなくなったみたいだ。同じ時に騒がれていたテーマとして熟年離婚も最近トンと聞かれない。

団塊の世代は見栄っ張りで自己顕示欲が強いという指摘は正しくとも、一方で経済状況が悪ければ生活を落とすことを何とも思わない世代でもある。彼らは状況を判断して静かに地下に潜っていると私は思う。

団塊世代は再度表舞台に出て来ることがあるだろうか。彼らが後期高齢者に到達し、膨大な健康保険コストが脚光を浴びる日まで水面下にいるかも知れない。そうならないことを祈る。

2.消えたアジアゲートウェイ構想

麻生政権が発足した今日、アジアゲートウェイ構想のことなど思い出した人は誰もいないだろう。安倍政権の打ち出した政策は、公務員制度改革など極めて優れたものが多かったと私は評価している。その中でもアジアゲートウェイ構想は出色だった。

アジアゲートウェイ構想は人口減少に向う日本を活性化するため、目標を明確にして貿易から人材教育・市場創造や農業活性化まで広範かつ具体的な処方箋を打ち出した。それはアジアとの関係の中の日本に焦点を当て、日本を再定義しようとするものであった。

話題の消費者庁も必要ではあるが昨今の議論は内向きに過ぎる。安部政権は21世紀の国の進むべき姿を定める国家戦略を打ち出した。しかし、いかに優れた国家戦略であっても安倍政権の突然の崩壊の道連れになり、不幸な終り方をして忘れ去られたのは残念だ。

3.消えた政府系ファンド(SWF

サブプライムに端を発した世界的金融不安は、ついに米国の5大投資銀行を消滅させることになった。リーマン・ブラザーズは破綻、メリル・リンチとベアー・スターンズは身売りされ、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは厳しい規制下で銀行として生き残ることになった。

この壮大な投資銀行消滅ドラマに、昨年シティバンクやUBSなどの大銀行を支援し脚光を浴びた政府系ファンドの名前が全然出てこないのは一体どういう訳だ、と誰もが不思議に思うだろう。白馬の騎士はどこへ行った?政府系ファンドは昨年主役を張ったはずなのに。

実は、どこにも行ってないらしい。詳しい数字は手元にないが、昨年投資した銀行の株価は暴落し、有力政府系ファンドは全て大損した。半端な損ではない。投資銀行に再度巨額の投資をして表舞台に出る気にはとてもなれないだろう。たんす預金か堅い投資に絞り静かにしているらしい。■

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

だんだん

2008-09-23 16:34:11 | 日記・エッセイ・コラム

午前中に体育館で汗を流した後、昼食を済ませぼんやりテレビを見ていると、来月から始まるNHKの朝ドラ「だんだん」の番組紹介をやっていた。「だんだん」とは島根県出雲地方の言葉で「有難う」の意味だというが、私が育った愛媛県大洲市でも良く使われた言葉で違和感が無い。

田舎に住む義兄によると、江戸時代初頭に加藤家が米子藩から大洲藩に替地になり家臣や領民が大挙して大洲藩に移動し、出雲弁の一部が大洲藩一帯に広まったということらしい。江戸時代の大名の替地はいわば民族移動であり、地方文化の伝播のビーイクルになった。

因みに加藤家から分家した新谷藩は私が生まれた小村で、理由は知らないが例外的に幕府に大名と認められた1万石の小藩だった。お城の代わりに陣屋があり、その跡が今でも小学校になっている。私の祖先はずっと前から土着の農民で、遠方から殿様が来たという感覚だったはずだ。

小学校の頃の先生に聞いた話では、新谷藩は参勤交代で江戸を行き来するとき、恥かしくて素直に1万石とは言えず「ィーチ万石」と叫んで行列したと伝えられている。明治になり廃藩置県のあと人口数千の村が県扱いになったという歴史の一瞬があったという。

私の田舎の近くで、伊達政宗の庶子が藩主になった宇和島には、親藩のあった仙台から伝わったと思われるお祭りの鹿の被り物が見かけられる。上杉藩が米沢に替地になり質実剛健な文化が育ったのは歴史的にも有名だが、規模は小さいが同様の例が沢山ある。

現代ではこのようにある地方から別の地方へ纏まって統治システムやビジネス、文化が動くという機会は皆無であり、大名の国替えは日本の限られた時代の特異な出来事であった。現代なら大企業の工場移転を思いつくが、質量的にも文化的影響も比べ物にならない。

「だんだん」の言葉一つでこれだけ引っ張ることも無いのだが、義兄の説明を聞いた時から頭の片隅に残っており、機会があれば紹介したいと思っていた。蛇足だがNHKは報道番組だけでなく、ドラマも秀作が多い。近年特に質が良くなり見応えのあるドラマが増えた気がする。■

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする