このところ読書意欲が全く湧かない。周期的にそういう「読書オフ」の気分になるのは何度も経験している。しかし今までの経験では、5月連休はむしろ読書意欲に溢れる時期で、読みたい本が積まれて読まれるのを待っている状態のはずだった。
今回の読書意欲の低下の一因として、読んでいる本が意欲をなくさせていると感じる。良い本でもそういう時がある。その場合の解決策として複数の本を同時に読んで調子を整えることがある。もう一つの対策は、普段は政治経済・歴史書などNFしか読まないが、気分転換に例えば藤沢周作の時代小説を読むことである。
一昨日、中央図書館に行き藤沢作品を借りた。数年前から藤沢周平物を読書意欲高揚剤に利用してきたので、もうそろそろネタ切れになってきた。読んだかどうか記憶が曖昧な本を窓口に持っていき、職員にカードを見せて私が過去に借り出したか調べてくれと頼んだ。こういう質問をする人は滅多にいないと思うが、今の私は馴れ馴れしくとりあえず頼んでみる。
彼女は若くてIT知識もありそうだったのもその理由だ。貸し出し記録は返却された時点で消してしまうという返事だった。どういう本を読んだか個人の読書履歴はある種の思想や性向調査になる恐れもある。個人情報保護の観点で情報蓄積を止めたのだろうと思った。
とりあえず「漆の実のみのる国」他を借りて、自宅のパソコンを開き読書録を調べた。約10年分のブログに投稿した読書録をピックアップし、その中にこの本があるかどうか調べた。息子は対象を狭めて検索する方法があるはずと助言してくれたが、検索法を考えるより読書録を総てチェックすることにし、力作業で2007年に読んだことが判った。忘れていても同じものを読むのは嫌だ。
読書録では金にならない。しかし、一度でも通販サイトで物品を購入すると、何を買ったか勝手に覚えていてくれ同種の商品を進める勧誘メールをしつこく送って来る。保険の更新時期になれば2-3ヶ月前からそろそろだよと教えてくれる。便利だったり、ウザイと感じたりする。
27日にNHKの夜の番組でネット経由の「行動履歴」を詳しく分析して、その人にピンポイントの商品やサービスを提案するネット・ビジネスを紹介していた。アマゾンでは以前からそういうサービスがあったが、今では個人の血圧や体重などを登録して健康管理の助言をするサービスまであるそうだ。今話題になっているマイナンバー法案が成立すれば応用が一気に広がりそうな気がする。
米国の社会保障番号がそういう役割を果していた。勿論、個人情報漏洩については気をつける必要があるが、得られるメリットの方が圧倒的に多いと私は思う。Googleの異なるアプリケーションの個人情報統合も損得あるが、プラスの面を伸ばして行ってほしいと思う。いつか、図書カードにもマイナンバーが登録され図書館で私の読書履歴が確認できる日が来るかもしれない。
しかし、気になることもある。私のブログ記事で賛同した別のサイトのブログ記事を、全く関係の無いはずのフェイスブックで私が推薦していると紹介されていた。ちょっと気持ち悪い。その程度なら我慢するが適切な個人情報保護は必要であり、悪用には厳罰で臨むとしても得られる便利さは失いたくないと思う。■