かぶれの世界(新)

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逆説格差社会の勧め

2006-04-28 14:18:29 | 社会・経済

格差社会を非難する声が高まる中、逆説的だが敢えて格差社会を勧めたい。構造改革による規制緩和や地方分権は言い換えると自己責任を取れということだ。個人の問題として捉えると誤解が生じやすいので、分かりやすい例で議論する。

申し訳ないが大阪市の例をあげる。報道されている通りとすれば、大阪市の巨額のゴミ処理施設投資や職員の給与・フリンジベネフィットは滅茶苦茶だ。よくもこんな無駄遣いを許したものだ。しかし、これは誰の責任でもない、大阪市民が選んだ市議と市長が市役所にやらせたことだ。大阪市民は被害者ではない、自分で選んだ結果だ。

尻拭いは大阪市民がしなければならない、国税を大阪市に投入して救済することは他の都府県民は許さないだろう。他の自治体にもまだこういう例が沢山ある、ここで止めるわけにはいかない。しかし、全てが大阪市の例ほど分かりやすいわけではない。官僚の利権・談合なども負けてはいない、何度摘発されても執拗でもっと巧妙である。

問題なのは、格差社会解消といいながらこのような無駄遣いの見直しに蓋をしようとする動きが見え隠れすることである。構造改革を骨抜きにしてはならない。従来のような公共事業に税金を投入するのはその場限りの麻酔を打ち、手術しないと同じだ。確かに金融危機には国費を投入したが、それとこれは話が違う。

金融は我国の財政そのもの、少なくとも財政を補完するもので国家の根幹に関わるものであり、止む無く国が救済に向かった。しかし、米国を代表する自動車メーカーが倒産の危機に陥っても大統領はおろか議会すら救済の声を上げないのを見ればその差が何か分かるはずだ。一時的な救済はその後米国の重荷になるだけと分かっているからだ。

落ちこぼれた人達を救うのは必要だが、それはイコール弱い企業や自治体を救うことではない。弱者の名を借りた主張に私はある種のいかがわしさを感じる。こいう時は紙面を節約して著名な思想家の言葉を借りることにする。「権力は少数者を腐敗させるが、弱さは多数者を腐敗させる」(エリック・ホッファー)のである。

彼は弱者が更に弱い弱者を徹底的に利用し、腐敗はもっと厳しい形で現れると説く。この古典的なテーマにメディアは勘違いする。メディアは明らかに分けて考えなければならない弱者と社会正義を時に混同してしまう。利権は時に弱者の仮面を被り、メディアはそれに乗る。郵政民営化反対者は弱者ではなく地方の名士の既得権益層であり、国民の支持を得られなかったことを思い出して欲しい。

弱者の救済は絶対必要である。しかし、国費を投入するとしたら経済的困窮者の子供に教育の機会を与えるとか、ダメ会社から強い会社に移る支援とか、もっと極端な場合、財政が健全で住みやすい自治体へ引越しを支援するとかであるべきだ。ダメ会社やダメ自治体を闇雲に支援してはならない。私の格差の勧めとはこういうことだ。

官僚に任せて従来既得権益層が主張するところのダメなものを生き残らせ、結果国全体が負債を抱え競争力をなくし二流国になるほど我国にとって不幸せはない。企業だけでなく自治体も我国の競争力を支える要素であり中国や韓国の都市と競争しているのである。なら結論は明らかだ。これが私の考える格差社会の勧めである。■

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ディープ・スロートとメディア

2006-04-26 22:20:06 | 日記・エッセイ・コラム

今朝方CNN放送でウォーターゲート事件の立役者の一人、ディープ・スロートこと、マークフェルト元FBI長官代理の独占インタビューを見た。インタビューは録画放送で彼の家族とワシントンポスト社のウッドワードとバーンシュタイン両記者とブラッドレー元編集長が参加した。

フェルト氏は92歳になり、昨年発行されたウッドワードの同名の著書では物忘れが酷くなっているということであった。しかし、インタビューでは‘F’の発音がキチンと出来ず言葉に詰まったような印象を与えたが思ったより受け答えの内容ははっきりしていた。

このインタビュー「ラリー・キング・ライブ」は都合の悪いことは追及しないお追従番組という評判だが、氏の忠誠心に関する質問等際どいものもあった。フェルト氏は関連する重要文書が通る立場にいた者として国の為やるべきことをやったと明確な返事だった。日本にこんな官僚はいるだろうか。

印象的なのは彼の家族もワシントンポストの3人共にフェルト氏を英雄として尊敬の念を抱いているといったことだ。私が最も感じたことは、この番組が全米に流されそれを見て勇気付けられた人や目標をもった若い人が沢山いるだろうと思ったことである。

そして同時に思い出したのは、この頃日本で起こった外務省の漏洩事件で元毎日新聞記者西山氏を日本のメディアは救えなかったことである。外務省職員との訳ありの事情があったとしても。彼がスクープした密約が事実だったことは最近の公文書公開で明らかになった。英雄と汚名、この差は何だろうか。

ワシントンポストが誤報と言われ権力に追いつめられた時、タイムズ等他のメディアが新たな事実を掘り出して助けた。事実関係は別として、個人的には朝日新聞がその役割を果たすべきだったと今でも思っている。実は長く朝日を購読しているのだが、それは謂わばアンチ巨人がテレビの巨人戦中継を欠かさず見るようなものだ。■

[蛇足] 今週、朝日新聞は「新戦略を求めて」と題して日本がどんな構想で平和と繁栄を目指すか探っていくと大風呂敷を広げた。それは同時に朝日が何処に立つか座標軸を見直すことであり期待したいが、従来の価値基準を基本的に継承する企画だとはじめから枠を決めているところに朝日の限界も感じる。

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世界国家の幻想

2006-04-24 22:29:15 | 国際・政治

グローバリゼーションの進展とそれが与える影響をテーマにしたトピックについて色々な角度から見た私の考え方を紹介してきた。今月22日QMSSさんが書かれた「国際関係論:基本の基本」http://diary.jp.aol.com/b2rpmeyzkchp/492.htmlは触発されるものがある。私が追ってきたグローバリゼーションと共通するものがあり、若干こじつけの感はあるが論じてみる。これは反対とか賛成の議論ではない。

グローバリゼーションは市場原理主義に基づく世界規模の経済行為で世界中の人々の生活に影響を与えなお進行中である。国内なら組合等の利益団体が民主主義的政治プロセスにより職を守りセーフティネットを作り助けてくれるが、国境を越えた瞬間事態は変化する。国連もIMFWTO等90余りの国際機関の誰も雇用を助けてくれない。国連など全く役に立たず国対国の対決になる。世界国家は無いに等しい。その点ではQMSSさんの言うアナーキー状態だと思う。

グローバリゼーション自体にはイデオロギーが無い純粋な経済行為だが、時に「国内」民主主義と「世界」市場資本主義がセットになって相対立するものとして語られる。欧州大陸では民衆はグローバリゼーションを恐れEU憲法にノンを突きつけ、CPEを葬った。

民主主義国においては民主主義(政治システム)と市場資本主義(経済システム)は基本的なもので他の何とも取り替えることが出来ない。両者の緊張関係に大いなる真実があるからだ。しかし、正真正銘の世界国家は存在しないし、いつ実現するかわからないとRダールはいう。つまり世界はアナーキーだと言う。

だが議論は必ずしもオール・オア・ナッシングではない、適切な制度が存在すれば民主主義下で無くとも90%まで市場経済は達成できるとJHハロウェルは説いている。榊原英資氏などの経済学者やエコノミストはもっと極端で、イデオロギー(人の心)を軽視し制度的に中国は既に十分資本主義国であるという。それも一理で、冷戦終結までは民主主義国かどうかは一かゼロか(西か東か)の議論だったが、現代中国は限りないグレイゾーンの中にいるように思える。

現代民主主義成立の根拠は経済成長による分厚い中流階級の成立により、彼らの意見を政治決定に反映させるプロセスが必要になった背景がある。それが必要かつ十分条件かは既に2-3億の中流階級が生まれたといわれる中国がまもなく実験結果を出してくれるはずだ。今のところ最下層にいる農民が反乱しているが、大半の中流階級はまだ生活をエンジョイするのに忙しい。

ダールは存在しないといったが、「グレイ」な世界国家が存在するという仮定が成り立つかもしれないと私は思う。元々民主主義の思想はこの世に完全なものは無い、より良き物に向かって変えていくやり直しの効くシステムだ。近い将来、米中2大国の影響力の度合いにより灰色の濃さが異なるだろう。この議論の延長に「灰色のアナーキー」が存在するというのが私の仮説である。

米中首脳会談は総論だけで殆ど中身の無い儀式だった。「責任ある大国」を中国に求めたのはもう少し白い灰色になれというメッセージだった。しかし、胡錦濤主席は休む間も無くサウディ・アラビア訪問、更にナイジェリア訪問予定で石油確保が彼の最大優先事項であることが返事だった。好ましくない灰色、はっきり言うと現実の世界国家は限りなく幻想というべきかも知れない。

ここまで能書きを言っておいて私はQMSSさんに同意する。古森義久氏によれば日本の戦後の歴史は世界的にユニークである。戦後の日本では、国にとっても、人間集団にとっても、いちばん貴重なのは平和であると、教えられてきた。その平和絶対優先に少しでも疑義を呈せば、「軍国主義者」というような糾弾を即座に受けた。「平和」は「平和」でも、独立や自由がない場合にはどうするのか、というような議論はタブーだった。(抜粋)

「国家や民族、社会にとって平和より大切なものが存在する」という考え方は犯罪的とされてきた。世界はその日本的な平和至上主義とはまるで正反対の考えをとる人たちだけである。一体何処の国のために働いているのか分からない親米派とか親中派の外交やメディアでなく、常に国益を第一に主張する親日本派XXでなければならない。

現在中国は明らかにアナーキーの世界で外交をやっている。メディアはある時は遅れをとったと言い、ある時は人権を言い座標軸の原点が動いている。しかし、守るべき我国の原点は不可分である政治システムと経済システムの両方でなければならないと私は考える。貿易や資源のためだけに積み重ねてきた国の誇りを売るわけには行かない。■

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米中首脳会談予測の評価

2006-04-22 11:01:26 | 国際・政治

結果は予想されたとおりだった。私が「大胆予想」と粋がる理由など全く無い初めから分かりきった結果だったといえる。両トップの国内基盤の弱さを考えると「総論賛成、各論に深入りせず」しか選択は無かった。後から解釈の違いが出て繰る恐れはある。しかし結果はどうあれ、いまや中国はアジアの大国から米国に次ぐ世界のスーパーパワーであることが世界に示された。

一応私の予測と報道された内容を突合せ中国の視点で星取表を纏めておく。

1.「責任ある大国」として世界の問題に対処する: ◎総論一致

1)イラン・北朝鮮に中国は具体的コミットせず:  ◎6カ国に柔軟化求める

2)非民主独裁国家との取引は中国が譲歩:    Xコミットせず

米国はエネルギーの共同活動を提案合意:  -議論されず

3)中国軍事力強化の透明化:        X表向き議論されず

一つの中国と台湾の現状固定を確認する:◎平和的統一を明言

4)東アジアの安定、対日外交関係の改善:   - 議論されず

2.中国市場の開放:              ◎積極的な開放姿勢

 中国市場開放総論合意:            ◎内需拡大を約束

 金融機関のM&A、条件を緩める:       △市場開放を推進

 中国は知的財産保護を数値で約束:  ○具体的数値はなし

3.人民元切上げを約束、数値コミットせず: ◎改革継続を約束

4.人権問題など民主化推進を受け付けず:  △国情に合わせ推進

私の最大の関心は中国が民主化の行方だが、今回中国の国情に合わせるという条件付であっても「政治体制改革と社会民主主義を進める」と明言したことに注目したい。その裏で依然国内の人権侵害や海外の独裁国支援をしているのだが、それでも中国トップの発言は十分意味がある。

会談の結果両首脳の立場に変化の目は無かったようだ。会談の結果はブッシュ大統領の支持率を左右するものではなかった。議会は満足せず今後も監視を強めるが、保護貿易派が急伸することもなさそうだ。

一方会見前のヤジはあったもののそんな事で胡錦濤主席の面子が潰れるような物ではなかった。しかし、国内での彼の政治的立場を強化するところまで行ったのかどうかは、今後争点になっている金融改革などで約束したことがどう実行されるかを見ればある程度分かると予測する。■

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血圧急上昇

2006-04-21 21:17:02 | 健康・病気

ジムで何時ものように最初に体重と血圧を測ると165-95と異常に高かった。ジムの規則で血圧が150以上の時は指導員に連絡しなければならない。彼女に告げて再測定すると180以上になった。気にすると血圧は上がるからと彼女は言い、何時もの状態を説明して問題ないと説明したら、とりあえず用心しながらエキササイズをやってもいいと許可を出してくれた。

その後、いつものエアロバイクの体力テスト、マニュアル・トレーニング(750kcal)、ウエートトレーニングをやり、その後の有酸素運動は用心して切り上げた。何の違和感も無かった。帰宅後はいつもなら直ぐにチェックするメール・株式為替相場・田舎監視カメラを止めて何もしないでソファーに寝転がった。2年前まで高血圧で悩んだので原因は何かと気になった。

今朝、家内と口論して興奮したせいかと最初思った。この3年間ジムに行った時必ず血圧測定しコンピュータに記録してきたので履歴を見ると、以前に同じ程度の血圧上昇があり備考に家内と口論と記録されていた。その前後の日は特に異常がなかったので、今回もそれが原因なら今日だけのことだろう。

しかし、今回は他にも気になることがある。体重リバウンドは既に報告した。それ以外に最近、長期利子の上昇や外人買い減速などによる市場変化、ブッシュ政権スタッフの入れ替えとくに個人的に気になるローブ補佐官の役割変更、米中首脳会談の行方等気になることがやたら多く深夜までインターネットや新聞・書物の調べ物をして寝不足だった。

海外の長文の論説や難解な文書の場合、根を詰めて読むと血圧が上がるのは退職する前もそうだった。もうそれを続けられないと考え退職したのについつい油断した結果かもしれない。会社の産業医に私のような潜在的患者の血圧は特有の‘ボタン’があり、それを押すとある日突然血圧が上がることがあるので注意するよう警告を受けたことがある。

まだボタンを押していないことを祈る。暫らくは無理をしないで様子を見るしかない。減量の強い動機付けが出来た。

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