かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

「カンポの宿の譲渡待った」に三様の反応

2009-01-20 16:11:32 | 国際・政治

国民の簡易保険金を流用して全国70ヶ所に作られた「カンポの宿」の譲渡について、私が見る限り新聞・テレビ・ネット世界が夫々特有の異なった反応をした。私の目には珍しく、又、興味ある現象のように映った。整理して議論してみる。

鳩山総務相が「カンポの宿」をオリックス不動産に譲渡する契約に待ったをかけたと報じられてから1週間経った。オリックス不動産が落札したこと自体知らなかったが、いわくつきの物件だったのでニュースを聞いて凡その事情は理解できた。

最初に思ったのは、総務相の指摘する問題の根拠が何なのか良く分からない、ということだった。郵政民営化が注目されている中で、官僚が得意(?)の随意契約とか不正な入札手続など出来るとは思えなかった。その後も合法的な手続きに基づいた競争入札だったと報じられた。

行政手続や法律面で抜けがない。どうも大臣は道徳上の問題を指摘しているようだ、と少し時間を置いて理解出来た。異議のポイントは規制改革・民間開放推進会議の議長で郵政民営化を推進した宮内義彦氏配下のオリックスには、たとえ一番札でも売るべきではないということのようだ。

「カンポの宿」は国民の財産でありもっと株が高くなるまで待つべきだと言うが、官僚の天下り手段を引き続き提供し、毎年40億円の赤字を垂れ流し、結果的に何十億円の公金が無駄に使われても構わないとは到底思えない。これに関しては、国民の判断はとうに下っている。

私も初めて聞いた時、「どうしてオリックス?」と思った。だが、合法的な手続きで落札された契約を、たとえ大臣といえども許認可権を振りかざしひっくり返してよいものか。私は、道徳以外の理由無くして待ったをかける根拠が明確でないように感じる。

以上の個人的見解を含めた状況認識と、3つのメディアがどう捉えているかを比較してみる。

私の見る限り、大手新聞は概ね鳩山総務大臣の異議に対し根拠のない政治介入と見做していた。法律に基づいた手続きで入札から契約まで行われたのに、譲渡が道徳的でないという大臣の異議は筋違いと社説等で指摘している。又、新聞は赤字額の大きさと資産評価額から見た落札値の妥当性とか、一括買収による雇用の確保と言う観点からのメリットをデータに基づき報じており、読者に判断材料を与えている。

一方、ネットの世界では大臣の待ったを支持する意見が優勢のようだ。彼等のポイントは手続きが合法かどうかより、譲渡されるのが誰かが判断の基準になっているようだ。譲渡先がオリックス不動産というのは、冒頭に述べたように私も「何故?」という素直な気持ちがあった。それがそのままストレートに賛否に繋がったように感じる。この国のネット社会が時に直感的な反応をしがちだと今回も再確認することになった。

さて最後にテレビだが、本件については私の予想に反してどっちつかずだ。概ね発言の事実を伝えるだけで、新聞のように異議の意味するところを調べ、継続して追及するニュースではないと判断した様だ。糾弾する対象が明確でない場合、ニュースバリューが低いと判断したように感じる。キャスターが深刻な顔をして問題を指摘するのに都合の良い悪役がいないからだろうか。

だが、私はこの恣意的に行使される許認可権の孕む危険性について、もっと想像力を働かし敏感に反応すべきと考える。現在の我が国のメディアの影響力を考えると、テレビ報道の責任をもっとしっかり認識すべきと考える。

結論的にいうと朝日新聞の社説が推測したように、大臣の発言は麻生内閣の基本姿勢が郵政民営化反対であることが背景、と私も思う。易々と見抜かれている。衆院で与党の圧倒的多数は郵政民営化の是非を問うた結果であり、流石に正面切って相反する行為は取れないと考え、道徳問題を持ち出してブレーキをかけた「筋違いの待った」であると考える。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする