政局は語るなと申し上げたが、その舌の根も乾かないうちに、今日は政局がらみの一言。
都議選後、予想通り永田町の参加者は政局一色になった。路線闘争とか、政策論争などという言葉は吹っ飛んでしまった。都議選の惨敗は予想されたとはいえ、麻生政権に致命的な打撃を与え、優先順位は党内の権力闘争になった。
新聞・テレビの報道を見た限りでは、党内対立が抜き差しなら無い状況になったように感じる。その理由はただ一つ、地方選惨敗の連続で、多くの議員が解散後再選されないという危機感が一気に広がったからだ。彼らにとってこれより重要なことは何も無い。簡単には退けない。
都議選の投票結果を単純に寄せ集めると東京都の議員はほぼ全員落選、全国の大都市の選挙区出身の議員も同じ危機感を持っているといわれている。事が議員の生き死に(当落)に関わるだけに、現体制が強行してもそれで一件落着にはなりえないだろう。
小泉首相が退陣したとき、ここまで自民党が急激に没落するとは誰が予測しただろうか。何が原因だったのだろうか。「自業自得」という言葉が一番当てはまるように感じる。
ここでも何度か書いたように、郵政民営化選挙で得た絶対多数を背景に、三代続けて身内だけの「人気投票」で選んだのが、短期間に支持率を下げ自滅した主要な原因だ。首相が変わる度に改革の姿勢が後退し、賞味期限の切れた先祖帰りを果たし、終に内閣の支持低落どころか党自体の信頼を失ってしまった。
次に、私はこの三代の首相を初期に支持した国民にも、「自業自得」という言葉を贈りたい。最初だけといえども何故もこう簡単に支持を与えたのか。それが与党に同じことを三度も繰り返させた。総裁選のキーワードは「次の選挙で誰の下で戦うのがベストか」であり、その判定基準として世論調査が重要な役割を果たした。間接的だがマスコミを含めて国民の支持を得て選ばれた。
特に現首相は当初から資質が問われていた。失言壁とか右よりの政策は予想通りだったが、それに輪をかけて政権運営が酷かった。当然、秋葉原の人気は役に立たなかった。何でこんな総裁を選んだのかという質問が当然出てくるが、最終的には総裁選プロセスに問題に帰結する。
三つ目に、プロセスを直ちに改善できない前提で、現行システム下で誰がこういう事態にしたかという問いかけが出てくる。三代の内閣成立の過程を振り返ると、それだけ影響力があったかどうかは別にして、党内最大派閥を率いる森元首相が政権発足に決定的な役割を果たした。
三代の首相は皮肉にも政権末期の支持率が歴史上最低だった元首相の特徴を引き継いだ。政権誕生時から正統性に疑問が持たれ、内閣がスキャンダルに巻き込まれ信念や政策が国民の支持を失った時行き着く先がどれも同じになったのは、良く考えれば驚くべきことではない。
個人的には自民党は衆院選で負ける前提で、ダメージミニマムの戦略を勧めたい。党も個人も負けた場合に備え、時間をかけて政策を見直して国民に優先順位と選択肢を明らかにすべきだ。グッドルーザーになれ。民主党政権が機能しなければ直ぐにも代わりが務まる事を示すべきである。■