かぶれの世界(新)

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父帰る

2011-06-24 13:58:09 | 日記・エッセイ・コラム

火曜日に帰京以来、急に暑くなってとても知的活動をする気にならない。久し振りに新幹線に乗り新横浜で乗り換えて菊名に行き、武蔵小杉で東横線から南武線に乗り換える距離がやたら長く感じた。3月に東京脱出した時の閑散とした電車の雰囲気はなくなり気だるい雑踏が戻っていた。

その前の日曜日に大阪の妹夫婦宅に2泊した。高速道路無料化期間の最後の日を利用して、義弟の車で大阪まで向った。瀬戸大橋の途中にある予島SAで昼食をしようと下車したが、人出が多くレストランの前は長蛇の列だった。たかがうどんの為に並びたくないと意見が一致し次のSAに向うとガラガラだった。トイレ掃除のオバサンに聞くと、普通の日曜より寧ろ客足は少ないという。

妹夫婦宅に2泊したのは多分初めてのことだ。天候が悪かったので晴れ間の散歩と車で外食した以外は夫君自慢のオーディオを楽しませてもらった。40年もかけた彼のウンチクは留まる所を知らず、実際素晴しいメカと音楽を楽しませてもらった。妹が時々顔を出して音が大きくて近所迷惑だとたしなめに来たが、彼は気にする様子も無かった。

2日もいると何度か妹夫婦の口げんかに遭遇した。私には何でもないことで彼女が突然凄い勢いで悪態をつくので驚いたが、夫君も静かにではあるが負けないで言い返しエスカレートした。彼女が嫌いな50年代のモノラル時代の甲高いジャズがかかっていてイライラしていたせいかも知れない。だが長くは続かなった。新しい展開に再度驚いた。

というのは夫君がショパンのピアノ曲をかけると、全身に笑みをたたえた彼女が現れ冗談が飛び交った。彼によるとショパンは妹の最高のお気に入りだそうだ。厳しい言葉で相手を追詰めるような夫婦喧嘩を目撃して、そのうち熟年離婚なんてことになるのではと心配した。だが、その直後クラシックを聴いた瞬間に緊張が緩む、これがこの夫婦のリズムのようだ。

火曜日の朝ははっきりしない天候だったが、夫婦と一緒に湯豆腐を食いにいこうと出掛け、京都に着いた昼前頃には晴れ間が覗いた。雨上がりの湿度の高い午後の直射日光は余り気持ちよくない。食事が終わると直ぐに京都駅に送ってもらい東京に向った。そして2時間後はもっと暑く感じた。

久し振りに自宅に戻ると、家内が赤飯と鯛のお頭で1週間遅れの誕生日を祝ってくれた。注文通り昔と同じようにささやかにやってくれた。状況は全く違うが、菊池寛の「父帰る」を思い出した。私は家をほったらかしにした訳ではない。「来年は高齢者だね」といわれて少しショックだった。

翌日は全国的に更に暑くなった。私は急な暑さで一日中何もする気にならなかった。だが急ぎ処理をしなければならないことだけはやった。その後年金の現況届けの証明を貰いに市役所に行った。隣に座ったオバサンがせわしなく動かす扇子の風が心地よく、「暑いね」と一言言うとひとしきり天候の話題が続き暑さを忘れた。東京もずっと暑かったわけじゃないようだ。

帰京後3日目の昨日の午後も暑かった。思いついてジョギングをやってみたが身体がついていかなかった。最初の4kmで足が動かなくなり、府中街道が多摩川を渡る是政橋下の日陰で中休みした。結局元気を取り戻せず、そこで折り返し歩いて帰宅した。すぐにシャワーを浴び、夜寝るまでブラブラして1日が終った。情けない「父帰る」だった。■

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