見事世界一になった日本女子サッカー「なでしこ」にスポーツマンシップがあったかどうか、あってもマスコミや私が見逃していたのか問いかけ、選手や監督に手本になる発信したらどうか、と投稿した。それから1週間後、指摘するまでも無く彼等はスポーツマンシップを発揮したと分った。
ニューズバラエティ番組は依然として視聴率の取れる商品として選手を登場させ、サッカーと全く関係のない質問を連発してタレント・芸人化させ続けている。視聴率が取れる間は選手を消費し続けるだろう。澤のように山谷を経験したベテランは別にして、いつか勘違いする選手がでて傷つき容赦なく消耗させられることを心配する。
そんなバカ番組に出演せず帰国後所属するチームがある岡山の田舎町にさっさと帰った選手がいた。澤と並び日本優勝の立役者だった宮間だ。彼女の高い技術レベルとゲーム勘・判断速度は際立っていた。顔を見せ優勝を報告したい場所の彼女の優先順位に、私は信念を感じた。
彼女のプレイスタイルには職人を思わせるクールさがある。彼女がサッカー以外の質問を露骨に軽蔑して無視する映像は見てはいないが、マスコミと一線を画しバカな質問を拒絶した中田やイチローなど職人肌のトップ選手に共通する臭いがある。
同時に彼女がPK戦で敗れた米国キーパーのソロに示した思いやりが、米国のテレビ番組で紹介され彼女自身が尊敬を受けていたと報じられたと聞き感心した。彼女は深く傷ついた米国選手のことを思い、喜びを心に秘めて抑制した表現にとどめたという。サッカー選手より前に人として尊敬を勝ち得たのだ。何故日本のマスコミは報じないのだろうか。
海外でプレーした経験のある他の日本選手も米国チームの強さを称え、米国選手に思いやりを見せる場面があったようだ。佐々木監督も「内容ではアメリカの勝ちだ。やっぱり世界一のチームだ」とインタビューでアメリカ側を称えたという(田村耕太郎氏)。
世界一になった熱狂が一段落して、興味が選手のサッカー以外のプライベートに向う一方で、例によってNHKが生真面目にゲームを冷静に振り返り、日米のキープレーヤーにインタビューしながら戦略と精神状態を分析し何故勝てたか紹介する番組も出てきた。
だが、これだけ時間が経過して唯一公平性が期待できるNHKでも、基本的に日本側に立ったものの見方だ。試合中から日本一辺倒の中継や報道をした日本に比べ、上記田村氏によれば米国の中継(ESPN)が両チームを公平に分析し日本の技術・チームワークを高く賞賛し、試合後はなでしこを気品があって最も尊敬を受けたチームといって番組を終えたという。
私は、これを聞いて完全にノックアウトされた。日本の負け!文化的背景の違いだけでは済ませられない。選手層をピラミッド構成に喩えるように、スポーツを見る目を一般のファンからスポーツ報道と解説者までのピラミッド構成とすると、日本のピークは誰も知らない山だ。登るべきスポーツマンシップ山はまだ高い。■