日中関係がこのところ悪化している。日中関係は日米中関係の中で考えなければならない。このテーマは私には大きすぎ何か言うには気が重いが、今日現在でこうかもしれないという私の仮説をあえて誤解を恐れず表明することによりさらに考えを深めていきたい。
中国の経済急成長に伴い日本企業は中国大陸へ生産シフトさせ日中間の貿易額が急増、2004年中国が我国貿易の最大取引国となった。一方、政治的には小泉首相の靖国神社参拝、李登輝氏への査証発行、魚釣島所有権、南シナ海ガス油田利権等の摩擦が続き「政冷経熱」と言われる状況が続いている。アジアカップで中国ファンの日本人に対する過剰な嫌がらせがTV報道され両国の国民感情も悪化の一方を辿っている。対照的にイラク戦争以降日米関係は史上最良の関係になったと言われている。報道は目先のことを追いかけて底流に流れる本質を捉えていないので、歴史を振り返って我国のあり方を考えてみたい。
歴史上殆どの時代で中国は超大国であった。各時代を通じて儒教を基本に独特で選民的な中華思想がベースにある。天安門事件後鄧小平の方針転換(政治体制を変えない経済自由化)がグローバリゼーションの波に乗りにより驚異的な成長率で経済が発展してきた。南アジア各国の華僑が重要な役割を占めており、世界各国に先駆け資本投下し中国経済成長に勢いをつけ、将来大中国圏を構成するものと考えられる。北京オリンピック及び万博後急成長が一服する見込みがある一方で、中国市場はもっと奥深く更に10年以上高成長を続ける潜在力があると言う見方もある。昨年12月のCIAレポートによれば、このまま同じペースで成長を続ければ2020年には米国のGDPを上回ると予測している。しかし、一人っ子政策のため老齢化が急速に進むことを考えると2020年以後も高成長が続く事はないだろう。
米国は振り返ると常にナンバー2を叩きその力を弱める政策をとってきた。第1次世界大戦からドイツ、フランス(世界連盟)、日独(第2次大戦)、英国(スエズ)、ソ連(冷戦)、日本(貿易戦争)と常にナンバー2を弱体化させて来た。多くの場合ナンバー3をうまく利用して目的を達してきた。今、ブッシュ政権は目先のテロに対応しながらも長期的には明らかに中国を最も警戒し対応している。欧州から中国への武器販売に反対し、台湾海峡の均衡を保ち、中国に高度技術が流出させないよう用心深い仕組を作っている。LenovoのIBMPC部門買収について一時共和党右派は神経質になった背景でもある。ベイカー大使は帰任直前のNHKのインタビューに答えて北朝鮮もさることながら日本の最重要外交課題は日中関係だと言い切ったが、これは米国政界に共通する認識である。
中国の超大国化を考える上で高度経済成長と併せて人口増加と構造変化を考えておく必要がある。先月24日の国連発表によると2050年には世界の人口は現在の65億から91億人になる。先進45カ国の人口は減少し12億人に留まる。インドは2025年中国を抜いて世界一の人口を抱え、全体としてアジアの人口が他地区を圧倒することになる。中国はその頃から老齢化が視野に入り2010年代半ばから経済成長が鈍化し、かなりの高い確率でインドとの対立が表面化してくると私は考える。歴史はその国の25歳以下の人口が20%を越えるとその国は過激な外交を経験している。中印の相対的な力が強まり対立した時、文化的により欧州に近いインドに欧州がつく可能性が高く、日本がどちらに付くか選択を迫られる可能性がある。
人口と経済の規模と言う観点では、2020年まで日本は米国につくか、中国につくか、中間で均衡を図るか3つの選択を迫られ続ける。(その後インド・ファクターがより重要になると予想される。)米中のどちらかにつき、その時々の都合の良いほうにつくと言う解は存在し得ない。米国から中国へと言う転換はありえるが、力を背景にしないで中間で均衡を図ると言うことは現実的にあり得ない。核武装を含め米中からリスペクトされる強力な軍備を背景にして両国のバランスをとることである。分かり易くいうとポチとして米中のどちらかにつくか、サムライとして筋を通していくかである。
日本は適切と考える強国と同盟して自国の安全を守る判断力を持っていることを歴史が証明している。よく言えば現実主義の国であった。しかしその判断の基になる普遍的な根拠に欠け、理屈なしに強い国についていくと思われてきた。かといって日本の武装化について私は懐疑的である。世界大戦の総括をきちんとしなかった。今日でも日本は依然として不透明で一部に民意を反映しないで決定する政治システムが残っている。新聞や国民が戦争を止めるどころか煽った歴史があり、今も多数の国民は既得権益を守ることに選挙を利用している。つまり武力を保有し使用する健全な政治システムが日本にはなく、将来、もと来た道をたどる恐れがないとは思えないのである。自ら天に唾する発言をしたくはないのだが日本人に鉄砲を持たせるのは非常に危険なのである。
この文脈において今日の動きを説明すると、米国(#1)はポチとしての日本(#3)の対中国警戒感もしくは恐怖感を利用して、中国(#2候補)の動きをけん制している。米国にとって日本の軍備強化は避けねばならないが、その可能性を中国に暗に見せることは効果があると見ているようである。私は米国のポチと承知した上で中国との関係を傷つけないよう気を使いながら、米国に利用されていくのが現実的であると考える。#1と#2の相対関係が変化するのはまだだいぶ先である。
中国の経済急成長に伴い日本企業は中国大陸へ生産シフトさせ日中間の貿易額が急増、2004年中国が我国貿易の最大取引国となった。一方、政治的には小泉首相の靖国神社参拝、李登輝氏への査証発行、魚釣島所有権、南シナ海ガス油田利権等の摩擦が続き「政冷経熱」と言われる状況が続いている。アジアカップで中国ファンの日本人に対する過剰な嫌がらせがTV報道され両国の国民感情も悪化の一方を辿っている。対照的にイラク戦争以降日米関係は史上最良の関係になったと言われている。報道は目先のことを追いかけて底流に流れる本質を捉えていないので、歴史を振り返って我国のあり方を考えてみたい。
歴史上殆どの時代で中国は超大国であった。各時代を通じて儒教を基本に独特で選民的な中華思想がベースにある。天安門事件後鄧小平の方針転換(政治体制を変えない経済自由化)がグローバリゼーションの波に乗りにより驚異的な成長率で経済が発展してきた。南アジア各国の華僑が重要な役割を占めており、世界各国に先駆け資本投下し中国経済成長に勢いをつけ、将来大中国圏を構成するものと考えられる。北京オリンピック及び万博後急成長が一服する見込みがある一方で、中国市場はもっと奥深く更に10年以上高成長を続ける潜在力があると言う見方もある。昨年12月のCIAレポートによれば、このまま同じペースで成長を続ければ2020年には米国のGDPを上回ると予測している。しかし、一人っ子政策のため老齢化が急速に進むことを考えると2020年以後も高成長が続く事はないだろう。
米国は振り返ると常にナンバー2を叩きその力を弱める政策をとってきた。第1次世界大戦からドイツ、フランス(世界連盟)、日独(第2次大戦)、英国(スエズ)、ソ連(冷戦)、日本(貿易戦争)と常にナンバー2を弱体化させて来た。多くの場合ナンバー3をうまく利用して目的を達してきた。今、ブッシュ政権は目先のテロに対応しながらも長期的には明らかに中国を最も警戒し対応している。欧州から中国への武器販売に反対し、台湾海峡の均衡を保ち、中国に高度技術が流出させないよう用心深い仕組を作っている。LenovoのIBMPC部門買収について一時共和党右派は神経質になった背景でもある。ベイカー大使は帰任直前のNHKのインタビューに答えて北朝鮮もさることながら日本の最重要外交課題は日中関係だと言い切ったが、これは米国政界に共通する認識である。
中国の超大国化を考える上で高度経済成長と併せて人口増加と構造変化を考えておく必要がある。先月24日の国連発表によると2050年には世界の人口は現在の65億から91億人になる。先進45カ国の人口は減少し12億人に留まる。インドは2025年中国を抜いて世界一の人口を抱え、全体としてアジアの人口が他地区を圧倒することになる。中国はその頃から老齢化が視野に入り2010年代半ばから経済成長が鈍化し、かなりの高い確率でインドとの対立が表面化してくると私は考える。歴史はその国の25歳以下の人口が20%を越えるとその国は過激な外交を経験している。中印の相対的な力が強まり対立した時、文化的により欧州に近いインドに欧州がつく可能性が高く、日本がどちらに付くか選択を迫られる可能性がある。
人口と経済の規模と言う観点では、2020年まで日本は米国につくか、中国につくか、中間で均衡を図るか3つの選択を迫られ続ける。(その後インド・ファクターがより重要になると予想される。)米中のどちらかにつき、その時々の都合の良いほうにつくと言う解は存在し得ない。米国から中国へと言う転換はありえるが、力を背景にしないで中間で均衡を図ると言うことは現実的にあり得ない。核武装を含め米中からリスペクトされる強力な軍備を背景にして両国のバランスをとることである。分かり易くいうとポチとして米中のどちらかにつくか、サムライとして筋を通していくかである。
日本は適切と考える強国と同盟して自国の安全を守る判断力を持っていることを歴史が証明している。よく言えば現実主義の国であった。しかしその判断の基になる普遍的な根拠に欠け、理屈なしに強い国についていくと思われてきた。かといって日本の武装化について私は懐疑的である。世界大戦の総括をきちんとしなかった。今日でも日本は依然として不透明で一部に民意を反映しないで決定する政治システムが残っている。新聞や国民が戦争を止めるどころか煽った歴史があり、今も多数の国民は既得権益を守ることに選挙を利用している。つまり武力を保有し使用する健全な政治システムが日本にはなく、将来、もと来た道をたどる恐れがないとは思えないのである。自ら天に唾する発言をしたくはないのだが日本人に鉄砲を持たせるのは非常に危険なのである。
この文脈において今日の動きを説明すると、米国(#1)はポチとしての日本(#3)の対中国警戒感もしくは恐怖感を利用して、中国(#2候補)の動きをけん制している。米国にとって日本の軍備強化は避けねばならないが、その可能性を中国に暗に見せることは効果があると見ているようである。私は米国のポチと承知した上で中国との関係を傷つけないよう気を使いながら、米国に利用されていくのが現実的であると考える。#1と#2の相対関係が変化するのはまだだいぶ先である。