かぶれの世界(新)

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運命の分かれ目 

2011-06-15 18:55:09 | テレビ番組

NHKの連続ドラマ「おひさま」を毎日とはいかなくとも出来るだけ見るようにしている。戦後生まれの私には鮮明では無いものの、頭の片隅に記憶している風景が出てくるからだと思っている。それは灰色の風景だ。「ゲゲゲの・・・」の昭和30年代の調布近郊はまさに私の青年時代で天然色だが、戦時中の安曇野と戦争直後の四国の田舎の景色はそれ程変わっていないと想像する。

特に気になるのは、主人公が召集令状を受けた蕎麦屋の一人息子と入隊する前日に結婚するくだりで、私の父と重なったからだ。父は滋賀にあった連隊に入隊したまま終戦を迎え、復員したのは28歳の時だった。その後結婚し直ぐ生まれた子が私で、いわゆる団塊の世代だ。

ドラマの夫役は蕎麦屋の一人息子と年恰好がほぼ同じで、父は田舎の役場務めだが農家の一人息子、どちらも戦死すればその家の跡取りがいなくなる境遇だった。ドラマを見て考えた事は、父は国内の連隊に入隊し、ドラマの蕎麦屋の息子は戦地に向かうことになる(多分)、この違いは何から生じたのだろうかという疑問だ。

昔近所のオジサン達が酒席で戦地での苦労や武勇伝を自慢げに話すのを聞き、家に戻り父に聞くと何らの戦地経験がないことを知り子供心にがっかりしたものだ。父は子供のとき自転車から溝に転げ落ち右腕が真っ直ぐ伸びなくなった。そのお陰で、兵隊検査で丙種合格になったからだと聞かされた。だが、見かけ上腕は真っ直ぐに見えた。

父は単に運が良かっただけだろうか。父は30年前に亡くなり、その後数年たってその時の事情を知っていると思われる祖母も死んだ。誰に聞いたか記憶は無いが、母一人子一人の事情を汲んで有力者の口利きで内地入隊になったのかもしれないと聞いた気がする。真っ直ぐに延びない腕はその言い訳に使われたのではないかと。

だがドラマの息子も蕎麦屋の一人息子だ。どこに入隊しどの戦地に向かったかが生き残るかどうかの「運命の分かれ目」だったはずだ。それは偶然だったのだろうか。戦前のシステムは地主階級が優遇された時代だった。父は数町歩の田畑を所有する中小地主の農家の一人息子といったところだが、それが理由で戦争を生き残り私が生まれたのかもしれないと思うと、ドラマがずっと身近に感じられた。■

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脳内化学変化 Dan Fogelberg

2011-06-10 12:28:39 | 音楽

大震災以来、いわゆる「癒されるとか、元気になる音楽」がテレビ・ラジオからよく流れるようになった。よく聞くからというより、悲惨なニュースを聞き映像を見ると、自分自身がそういう音楽を求めるようになった気がする。連日の悲惨なシーン漬で徐々に脳の中で化学変化が起こったようだ。

私の場合、気がつくと勇気付けるとか元気になる音楽より、まだ若かった青春時代をほろ苦く思い出して情緒的になれる音楽を好んで聴いているような気がする。前にお勧めしたレディ・アンテベラムは、今では重すぎる感じがして積極的に聞く気分になれない。

今ではカーペンターズの「青春の輝き」のような透き通った水みたいな曲が良い。その中でも今最も嵌まっているのが、ダン・フォーゲルバーグ(Dan Fogelberg)だ。彼の代表作の「Longer」のメロディーを聞くと心が癒される。当時は何と甘っちょろい軟弱でメッセージ性のかけらも感じない曲と思った。左脳が論理的に正しくない音楽だと思い、右脳をねじ伏せたのかもしれない。

体の中を流れる体液の成分が変わり、右脳が活性化されたのだろうか。いずれにしろ、軟弱なのが今の気分にあっているのだ。歌詞には明確なメッセージがないが、彼の生活スタイルは自然を愛し環境保護・反原発で知られている。私の好みではなく今の日本の状況に合っているのかも。

ネットで調べると、彼の全盛期は70年代後半から80年代だったようだ。当時は60-70年のフォークソング全盛時代が終り、他のジャンルの音楽と影響を受けあい新たな流れの中にあった。彼の音楽ジャンルはフォーク・ロックだそうで、フォーク世代のJテーラーの影響を受けたといわれている。だが、今聞くとむしろスローバラードのカントリー感覚の曲が多いように私には感じる。

私は彼のCDを1枚も持ってない。YouTubeでパソコンの音声をステレオに接続して聴く。どの曲を選んでも米国の美しい自然を写した写真や動画が出てくるので、この映像を見るだけでも心が和んでくる。是非ご覧になることを勧めたい。

ところで、実は音楽だけではない。テレビを見ると涙を流す場面じゃなくても少し感動しただけで涙ぐんでしまう。ハッピーエンドの結末が見え見えのラブ・コメディなのに、予想通りその場面になると涙ぐむ。感傷的になるのは震災のせいではなく、単に年をとっただけのことかもしれない。■

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田舎暮し雑感11春(5)

2011-06-08 18:54:08 | 日記・エッセイ・コラム

雨に入り雨が続きその間に少し晴れ間が覗く。この天候になると田畑や庭の雑草が凄い勢いで伸び、洗濯物が溜まる。家の中が湿っぽくなるので、衣類などの除湿を上手くやるために天気予報と相談しながら作戦を練る。すっかり農家の「主夫」感覚が身についた。

大震災の翌日から始めた田舎暮しもそろそろ3ヶ月になる。再来週には帰京の予定とバドミントン仲間にメールすると、彼女は帰国を待っていると返事が来た。彼女にかかると、私の田舎は海外扱いだ。確かに四国は本州とは陸地で繋がっていないが。

ということで帰国準備を開始した。近年、郵便や宅配などの転送サービスが改善されてきた。郵便の転送サービス(e転居)は不自由なくネットで申請可能になった。大事な年金や税金の通知などこの時期に集中する。宅急便も今回メンバーに加入し、転居転送サービスを申し込んだ。母が実家に戻ることもないので、今回から電話転送サービス(ボイスワープ)を設定する予定だ。

数年前まではパソコン環境の移動に随分時間をかけた。最初は小型ディスクやCD/RWにデータを書き込み、バックアップとしてノートパソコンを携帯した。その後USBメモリーが大容量化すると、バックアップとしてクラウド環境を活用して、パソコン環境を身軽に異動できるようになった。

今やパソコン環境は問題ない。最も重要なのは、今まで母がフェースツゥフェースや電話で処理してきたIT化されてない農協・地銀・市役所からお寺・庭師・自治会などとのやり取りだ。昨年から全面的に私が代行するようになったが、今回電話転送を設定する予定なので何とかなると思う。

京の日程を決めた頃から急に出費が膨らみ始めた。料理のバリエーションが増えて外食しなくなり、生活費の節約が進んだ積りだった。パソコンの買換えも‘自粛’した。変調が始まったのは、地域のケーブルテレビ会社から電話が入り、地デジ切り替えをキャンペーン中にやらないとSTB切り替え工事代が無料の最後のチャンスという。

損得計算をしてやむを得ず地デジ切り替えをやると、1週間後にテレビが故障し買い換えた(4万円)。テレビ無の一人暮しは我慢できそうもない。それと前後して檀家総会の役員や農協のまとめ役が寺費(檀家会費5千円)や組費(自治会費8千円)の集金に来られた。意外と安くない。

梅雨入りの晴れ間を狙って畑の雑草を取っていると、毎年お願いしている山刈りの逆催促があった。いずれお願いしようと思っていたので助かったが、庭師の支払いと同じで職人への支払いは安くない(2万円)。だが、自分で山刈はとても出来ない。道具も経験もない。

上記の畑の雑草は3段階で処理する予定だ。まず背の高い草の根を手で引き抜き、その他の草は機械を使って刈り取った。この後、近所の専業農家の人にトラックターで耕してもらい(3-5千円)、最後にレイキで土を細かく耕して根を枯らし、最後にコスモスの種をまく予定だ。コスモスの種は農協に1L取り寄せてもらった(5.8千円)。

そうしているうちに急に電話が通じなくなった。NTTに見てもらうと屋内配線か端末機器に問題があるという。建設会社を通して電気工事店に来てもらい、更に通信系の工事会社に見てもらいやっと電話機の故障と分かり電話機を買い換える羽目になった(約1万円)。

食料やお酒、ガソリン等を買うための手持ちの生活資金が、あっという間になくなった。帰京の途中大阪の義弟宅に寄って行く予定だし、まだ決まった農業支出が残っている。田舎暮し資金は東京の生活とは別勘定の定額で済ましている。今回は止むを得ず農協貯金を先食いした。■

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次の選挙まで忘れないで下さい

2011-06-06 23:10:27 | 国際・政治

2日前の記事で「一連の菅降ろし政局は国の悲劇であり、悲劇を避けるには今回誰が国民に向いていたかよく見て、次の選挙で反映するしかない」と最後に申し上げました。それだけでは不十分と後から考え直して、もう一言付け加えさせて頂きたいと思います。どうにも許せないのです。

選挙民の皆さん、どうか「菅降ろし政局」を忘れないで下さい。これ程国民を無視した大義名分のない政局は私には記憶がない。殆どの国民が批判した不信任案を巡る政争にうつつを抜かした政治家を、キチンと次の選挙で落選させて下さい。親分も子分も。

今回、世界中に日本の恥を撒き散らした彼らに議員を続けさせてはいけない。私自身恥ずかしくて海外の友人とこの件で会話したくありません。何を恥ずかしいかというと、何故こんな連中を選んだのか、選挙民は黙っているのか、と聞かれるのが嫌だからです。

マスコミは議員一人一人の行動を追跡調査して公表して欲しい。そんなことしたら政治家は誰もいなくなる?いやいや、そんなことはない、良識をもって発言した数少ない議員もいたはずです。100点満点ではなくとも。だが彼らの良識の声は埋没しました。

何故埋没したのか。それは彼らの声は殆ど伝えられず、国民から強い支持の声も起こらなかったからです。新聞が戦争を後押しした歴史を思い出します。今回の政局はジャーナリストにとって極めて重要なテストだと思います。そうしない限り、何時までたっても政治は進歩しないと思います。

もし彼らを再選させたら、今回の政局は政治家だけの責任ではない、マスコミと国民も共演した三文芝居だったと思います。マスコミはその責任を果たしたか自省すべきだが、今までの彼らの体質を考えると、元々彼らに自浄能力があるかどうか疑問です。改革するとしても直ぐにとは行かないでしょう。

その代りに、今は夫々の選挙区で選挙民が情報をやり取りできる強力な道具があります。中東で出来て日本で出来ないはずはない。道具を手にした若者は老人を説得すべきです。議員の行動の99%は投票で決まります。

自分の選挙区の議員が今回何をしたか調べて次の投票を決めるのはあなた方の責任です。今から牙(道具)を磨いておきましょう。そうしない限り、何を言おうと政治は変わらないのは確かです。これを2回続ければ政治は確実に変わるでしょう。■

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喜劇、転じて悲劇になる

2011-06-04 23:34:16 | 国際・政治

菅内閣に対する不信任決議案を巡るドタバタ騒ぎに多くの国民はあきれた。土壇場でのどんでん返しは三流芝居も良いところだった。これが喜劇だとすれば役者は三流の大根役者だが、最後に鳩山前首相の出番がよく出来た喜劇に変えた。しかも、見掛けはハッピーエンディングとなった。

解散総選挙による2ヶ月以上の政治空白という最悪事態を何とか避けられたのは、菅鳩山会談の最大の成果だ。今回の顛末でピエロと揶揄された鳩山氏だが、結果的には国民のために大きな貢献をした。しかし、申し訳無いが彼はどうにも馬鹿っぽく見える。

だが、この間に震災復興の為の第2次補正予算を議論する為の貴重な時間を浪費した。自民・公明党の不信任案には政府と対立する政策がなく、誰が次のリーダーとして首相になるのかアイデアすらない。小沢氏が不信任案を利用して政局に持ち込もうとする姿勢も酷かった。全く異なる政策なのに「菅降ろし」だけで一致しただけの動きだった。彼には普通のことかも知れないが。

この間、国民はほったらかしになった。「震災復興の為に国会は全力を尽くして欲しい、政局をやっているどころではない」という声が全国に満ちていたのに、「国民」という言葉が中々聞けなかった。これに関しては何度か指摘したように、国民の声を永田町にキチンと伝えなかったマスコミの責任が大きい。むしろ、党利党略的な発言の代弁をするジャーナリストが少なからずいた。

いずれにしろ震災復興の為の連立政権の筋道が見えてきた。自民党が連立内閣の重要な役割を果たすことになる可能性が高い。だが、今回の自公両党の内閣批判を見ると私は不安を感じる。

最大の不安の理由は、長年の原発行政が今回の原発事故を招いたという反省が自公両党から全く聞かれないことだ。民主党政権が東電の隠蔽体質を作ったわけではないし、原子力保安・安全委員会の体制や人選をしたわけではない。それを菅内閣の攻撃材料にする党利党略的な姿勢は昔の自民党と全く変わっていない。

第2の不安理由は、菅首相は傑出したリーダーとは見てないが、自民党の短命首相と比べたら代わりの誰が出てきても大した違いはない。何しろ全く反省してないんだから。という風に海外の主要メディアも見ている(例えば「日本をダメにする政治サーカス」WSJ日本版6/3)。海外の日本批判を都合よくつまみ食いする例が多いが、この記事は最も典型的な日本評で傾聴に値する。

だが、遅くとも夏頃には首相は変わり、年金制度見直し・財政再建・TPP加盟や沖縄米軍基地問題など又ゼロからやり直しになりそうだ。堂々巡りの道だ。解散総選挙がなくなったのは良かったが、日本丸は依然滝つぼに向かっていることに変わりない。喜劇は束の間、実は悲劇だった。悲劇を避けるには今回誰が国民に向いていたかよく見て、次の選挙で反映するしかない。■

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