〇ぴあMook『2020年見るべき中国時代劇ドラマ』 ぴあ 2020.4
こんな雑誌が出たことにびっくりした。私がCS放送のアンテナを立てて細々と中国ドラマの視聴を始めたのは2003~2004年頃で、当時は韓流ドラマならともかく、中国ドラマの話題を共有できる友人はほとんどいなかった。それが、この4~5年の間、SNSなどで中国ドラマの感想に接することが徐々に増えてきた。それも中国好きとか中国語学習者ではなくて、普通のエンタメファンが楽しんで見ているらしい。
本誌によれば、2011年の『三国志』、2012年の『宮廷女官 若曦(ジャクギ)』、2013年の『宮廷の諍い女』の連続ヒットによって「中国時代劇」が人気を集め始めた(私はBS環境がなかったので、これらを全く見ていない)。2015年以降になると、中国ドラマの日本リリースタイトルが右肩上がりに増加というのは実感と合う。私はもっぱらネットで中国原版の無料配信を拾って見続けているのだが、日本国内に中国ドラマファンが増えるのは純粋に嬉しい。キネマ旬報ムック『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』が出たときも驚いたが、ついにぴあまで!!と嬉しさに震えてしまった。しかも、このムック、分厚い。
「名作から最新作まで話題のドラマを105本厳選紹介」「深掘り厳選25本」「速報:新作19本」という構成である。新作は『陳情令』と『長安二十四時(長安十二時辰)』をトップ2推し。それぞれ主役二人の見開きビジュアルにも力が入っている。中国時代劇は登場人物が多くて関係が複雑なので、人物相関図がついているのはありがたいと思う。『陳情令』は日本でもどんどん人気に火がついている感じなので、これから見る。ラブ史劇にはあまり食指が動かないのだが『鬼谷子(謀聖鬼谷子)』は面白そうだ。調べたら2013-14年の制作なのに昨年ようやくYouTubeで配信されたらしい。覚えておこう。
「厳選25本」は宮廷ものが目立つ。『瓔珞』は見たけど『如懿伝』は未見なので時間があったら。いちおう『軍師聯盟』や『三国機密』『九州・海上牧雲記』も取り上げられていてよかった。『将夜』もそのうち見たいと思っている。私の好きな作品で、全く取り上げられていなくて残念に思ったのは『九州縹渺録』と『慶余年』かな。まだ日本での放映が決まっていないから紹介しにくいんだろうな。
巻末の「中国美男美女図鑑55人」も楽しく拝見した。でも世代が若いなー。私が好きな俳優さんは、もう少し世代が上なのだ。呉秀波とか趙立新とか倪大紅とか(笑)。まあ中国の俳優さんに人気が出て、時代劇やファンタジーだけでなく、現代劇も日本で放映されるようになるといいなと思う。『人民的名義』『大江大河』『都挺好』など、近現代を舞台にしたドラマにも面白い作品はたくさんあるので。