見もの・読みもの日記

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2024年10月関西旅行:白鶴美術館、中之島香雪美術館

2024-10-20 23:03:31 | 行ったもの(美術館・見仏)

 これは先週日曜日の記録。土曜日に、どうしても見たかった展覧会をクリアできたので、次の候補を訪ねることにした。

白鶴美術館 秋季展・開館90周年記念展 秋季の部『観古-いにしえをみる』(2024年9月25日~12月8日)

 1934(昭和9)年5月、白鶴酒造七代嘉納治兵衛(雅号鶴堂・鶴翁、1862‐1951)の寄贈品500点をもとに開館した同館が開催する、開館90周年記念展。白鶴美術館、私の最後の訪問は、いま調べたら、2016年の秋季展『大唐王朝展』のようだ。ネットで調べるとJR神戸線の住吉駅からバスがあるという。実際に住吉駅に下りたら、そうだ、駅前じゃなくて、少し離れた大通りからバスが出るんだった、という記憶がよみがえった。

 1階展示室は日本の美術品多めで、古墳時代の銅製の鈴(三環鈴、四環鈴)、大きな勾玉、法隆寺伝来の金銅小幡、そして賢愚経(いわゆる大聖武)など。『高野大師行状図画』(鎌倉時代)は淡彩の絵巻で、ちまちました人物が愛らしかった。展示は巻2、3のみだったけど全10巻のあるのか。他の巻も見たい。

 2階は中国もの多めで、『千手千眼観音菩薩画像』(伝・敦煌出土)は初めて見たように思う。いろいろ持物を持った千手観音の立像の下に供養人なのか、俗人の男性と僧侶が描かれている。俗人は黒の官服(?)に赤いベルト。この画幅自体は五代年間の作と推定されているが、画中の四角い囲みには「唐朝大中五年隠蔵於大清光緒弐捨陸年四月吉日閃出」(書きなぐりのメモなのであまり自信がない)つまり、唐代に蔵経洞に封じ込められたものが清の光緒年間に発見された、という墨書があって興味深かった。2階展示室の奥の一室には高麗時代の『阿弥陀三尊画像』が掛けてあって、これもよかった。

 こういう、大実業家の邸宅に招かれたような美術館は独特の趣きがあって好き。最近は、どこも建て替えが進んでいるけれど、末永く残ってほしい。新館の『中東絨毯の美-アナトリア編』も参観して、坂道を下り、阪急御影駅まで歩いた。

中之島香雪美術館 特別展『法華経絵巻と千年の祈り』(2024年10月5日~11月24日)

 『法華経絵巻』(鎌倉時代)の修理が2023年3月に終了したことを記念して、法華経の内容を絵画化した作品と、法華一品経の歴史にスポットを当て紹介する。同館所蔵の『法華経絵巻』は初見だろうか。山野にまるっこい赤と白の宝塔が散らばっている図が、絵本を見るようにかわいい。小さく書き添えられた人々と動物たちもかわいい。ただし絵巻と言っても短めの断簡なので、特にストーリーの展開はない。京博と畠山美術館にも同類の断簡があるそうだ。

 このほかにも日本・中国・朝鮮で制作された法華経絵画(経典の挿絵など)が展示されていて面白かった。日本では金銀泥あるいは金泥で書写したものが多数つくられていて、どれも美しい。そして中之島香雪美術館の展示室のは、金泥の輝きを愛でるのにとても適していると思う。海住山寺の『法華経曼荼羅』を見ることができたのも嬉しかった。これ、大きな画面に人物も仏菩薩も小さく描かれていて、なんだか寂しい風景だと思っていたけれど、よく見ると賑やかで楽しそうに思えてきた。

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