見もの・読みもの日記

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休館カウントダウン/復刻開館記念展(出光美術館)

2024-05-15 21:51:40 | 行ったもの(美術館・見仏)

出光美術館 出光美術館の軌跡 ここから、さきへI『復刻開館記念展 仙厓・古唐津・オリエント』(2024年4月23日~5月19日)

 冒頭の掲示を読んで、え!と衝撃を受けてしまった。特設サイト「出光美術館の軌跡 ここから、さきへ」にも掲載されているとおり、「1966年秋、東京・丸の内の帝劇ビル9階に開館して以来、皆さまに親しまれてきた出光美術館は、ビルの建替計画に伴い、2024年12月をもって、しばらくのあいだ休館する運びとなりました」というのである。この特設サイトの公開は3月26日だが、全く気づいていなかった。同館は、今年4月から10月まで、美術館のこれまでの歩みを4つの展覧会に分けて振り返りながら、コレクションを代表する作品の数々を展示予定だという。

 本展は、1966年の開館記念展の出品作品と展示構成を意識しながら企画されている。同館は、第1室に中国の美術、第2室に仙厓の遺墨、第3室に古唐津(唐津焼)、ロビーに中近東の美術を展示する構想のもとに始まった。今回は、第1室にずらり30件ほどの古唐津が並ぶ。私はさすがに58年前の開館記念展は見ていないが、2017年の『古唐津』展は見ている。出光佐三が古唐津を集め始めるきっかけとなった『絵唐津丸十文茶碗』や、大好きな『絵唐津柿文三耳壺(水指)』に久しぶりに対面した。『絵唐津ぐりぐり文茶碗』は、今回初めて意識したもの。朝鮮王朝時代の粉青鉄絵の唐草文に源がある、という解説が添えられていたが、私は装飾古墳を思い出した。

 朝鮮唐津と呼ばれる一群も好きだ。『朝鮮唐津耳付壺(水指)』は、鉄錆のような茶色い地肌に黒飴釉と、白濁した藁灰釉がざっくり掛かっていて、その飾り気のなさがとてもよい。手元に置いて愛玩したい。

 第2室は仙厓で、おなじみの書画の名品が並ぶ中、私は、草書の二字書『無事』が気に入った。お守りにほしいなあ。グッズ化してくれないだろうか。現在の出光美術館は、ロビーに隣接した「朝夕庵」という茶室を備えているが、開館当時は展示室内に「茶神亭」という茶室があったそうで、どちらも仙厓揮毫の扁額に由来する。なお、同館が谷口吉郎氏の設計であることを初めて知った。

 第3室は、まず中国磁器で、唐時代の三彩騎馬人物が4件。人物の服装やポーズがいろいろで面白かった。男性2、女性2と解説にあったが、1件は男装の女性ではないかと首をひねった。あとは青磁、磁州窯、青花など一般的なコレクションだが、『紫紅釉稜花盆』(鈞窯、明時代初期)が目についた。出光佐三が中国磁器を蒐集するきっかけとなった品で「どういうものか鈞窯が好きで」と語っていたそうだ。このひとの「好き」へのこだわりは、おもしろくて好き。

 さらに開館記念展を飾ったというのが、古代中国の青銅器とオリエント(西アジア)の文物。青銅器コレクションは全く記憶になかったし、オリエントの土偶・陶磁・金属・ガラス器も楽しかった。オリエントらしい、首の細い水注の多様なバリエーションが印象に残った。

 それにしても、ビルの建て替え後の美術館の再開計画が明らかになっていないのがとても気になる。いまの雰囲気が好きなので、あまり変わってほしくないのだが、時代の流れには逆らえないんだろうなあ…。


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