〇2019NHK杯国際フィギュアスケート大会(11月22-24日、真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)
・第3日(11/24)
最終日はエキシビション公演。朝、ネットをチェックすると出演選手と滑走順の情報が上がっていた。各種目の1-3位のほか、日本人選手や人気選手が入っている。さらに日本のノービスやジュニア選手の出演もあって、全部で25組。12:00-15:00の3時間(3部構成)で第1-2日の競技会に比べると短いが、おちゃめで楽しいプログラム、芸術性の高いプログラムなど、個性豊かな表演が続き、濃縮された贅沢な時間を過ごすことができた。
素晴らしかったのは、ゲストで登場した日本の若手選手たち。ノービスAランクの森本涼雅くん(12歳)、畑崎李果ちゃん(13歳)は、きれいなジャンプをぴょんぴょん飛んでいた。ジュニア・アイスダンスの吉田唄菜(15歳)と西山真瑚(しんご、17歳)組は、初々しいけどかなり大人の雰囲気。みんな頑張れ~。
第1部は韓国のウンス・イムがFSの不調から立ち直った演技でよかった。第2部はやっぱりケビン・エイモズ。曲はUKのロックバンドAmber Runの「I found」で、彼の滑らかで情感たっぷりのスケートにぴったりだった。腕の動きが美しい。ザギトワの「Hurry Up, We're Dreaming」は、この世に生を受けてから亡くなるまでを表現するプログラムなのだそうだ。氷の上に寝そべって、胎児のように丸くなったポーズから始まり、起き上がって、ゆっくり歩み始め、怒り苦しみ、堂々と舞い、やがて再び横たわって静かに目を閉じる。伸ばした片手の先には、白い花のつぼみ(造花)が握られている。会場の大型スクリーンに花のつぼみがUPで映ったときは(知っていたはずなのに)胸を打たれた。ザギちゃん、体形も大人っぽくなったが、表現力も大人になったなあ。
第3部は、ヴォロノフ、紀平梨花ちゃんなどの後、各種目の1位が相次いで登場。そして1位に限っては、1プログラムのあとに拍手で再登場を促し、SPやFSのクライマックスなど短いアンコールを滑ってもらった。スイハンもコストルナヤも素敵。パパシゼの「Power over me」はアイスショーでも滑っていなかったかな。衣装に見覚えがあった。私は女性がクールに滑る演目が好きなので、NHK杯のペアとアイスダンスはほんとに気持ちよかった。
大トリは羽生結弦くん。スケートカナダのエキシは「パリの散歩道」だったと聞いていたが、日本だし北海道だし「春よ、来い」だといいなと思っていたので、淡いピンクの天女のコスチュームで登場したときは嬉しかった。このプログラムは、悲壮でも哀れでもないのに、何度見ても泣ける。羽生くんは前日のインタビューで「(無事に優勝できたのは)みなさんがいろんなところで祈ってくれたおかげです」みたいなことを言っていたが、このプログラムこそ彼の「祈り」の表現のような気がする。氷にくちづけするような低い姿勢で回るハイドロブレーディングは、荒ぶる大地を鎮めて、いのちを育む存在に変えようとしているように見える。宗教的な儀礼や芸能に惹かれるのと同じような気持ちで、彼のスケートを見ていた。なお、アンコールは「Origin」のクライマックスを滑って会場を沸かせた。
第1部と第2部、第2部と第3部の間には、キスクラで荒川静香さんが選手たちに質問する「静香の部屋」のコーナーもあって飽きなかった。キスクラが見えない席だったけど、大型スクリーンがあったのでOK。羽生くん、このインタビューの受け答えも、これまで以上に大人の感じがした。まあ「某ポケットに入るモンスターが飼いたい」なんてかわいいことも言っていたけど。「羽生結弦はどこに向かうのか」を聞かれて「みんなの期待の結晶」と答えていた。これも一種の「祈り」のありかたと思う。
フィナーレも羽生くんはちょっと目立つポジションにいて、彼のショーみたいだった。着ぐるみのどーもくんチームと氷の上で打合せながら、息のあった演技を見せてくれた。全員での写真撮影、優勝者だけの写真撮影などがあり、最後の最後、退場前に羽生くんが何か叫んだ?と思ったら「来年は大阪」を発表したらしい。大阪かー。もちろん行ければ行きたいが。
こうして人生初のフィギュアスケート競技会観戦3日間が終わった。会場の雰囲気は意外と淡々としていて、かえってテレビ観戦より緊張しないかもしれない。あと、競技会であっても、どの選手に対しても観客が暖かいので、フィギュアスケートはいいなと思う。
余談。初日、オープニングセレモニーでNHK札幌放送局長の若泉久朗氏が挨拶に立った。実はこの方、2007年の大河ドラマ『風林火山』のチーフプロデューサーで、私は川中島古戦場のイベントでお見かけしている。不思議なご縁で懐かしかった。