見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2012黄金週@関西:滝山寺ご開帳

2012-05-06 02:00:08 | 行ったもの(美術館・見仏)
○滝山寺(愛知県岡崎市)本尊薬師如来ご開帳(2012年5月3日~9日)

 滝山寺には2回行ったことがあるはずだが、どちらもこのブログには出てこないので、2004年よりも前のことだと思う。名鉄線の東岡崎駅からバスに乗って行くと、川沿いに置き忘れられたような仁王門があって、そこからかなり離れたところに現在の境内がある。坂(石段)の途中、右側に宝物殿があり、ふだんはあまり開けていないらしい宝物殿を頼んで開けていただき、運慶様の聖観音・帝釈天・梵天像を見たことは、記憶している。しかし、長い石段をのぼった先の本堂については、何も記憶が残っていなかった。

 だから「滝山寺ご開帳」と聞いても、ピンとは来なかった。でも久しぶりに岡崎もいいかなと思い、今年のゴールデンウィーク、これだけは外さないつもりでいた。京都まで足をのばした帰途、15時頃に東岡崎駅に着いた。バスの乗り場がよく分からなかったので、「これから滝山寺下まで行きたいんですけど」と案内所で聞いてみた。困った顔で絶句するお姐さん。いやー私もまさかと思ったんだけど、休日は13時のあと15時50分まで無いのだ。むかしは、もう少し本数があったような気がするんだが…(※検索は名鉄バスサイトで)。

 仕方ないので、タクシーで行く。滝山寺の駐車場まで2,400円くらいだったと思う。さらに、まっすぐ伸びた石段をあがっていくと、急に眺望が開けて、本堂の前に出た。私のほかに、1、2組、拝観客の姿があった。



 ええと、内陣の特別拝観は500円だったかしら。忘れた。でも、内陣の拝観券で宝物殿も入場できて、さらに手造り木版画の葉書を2枚つけてくれたから、無料みたいなものだ。1枚は鬼まつりの面、1枚は「瀧山寺」という文字だったので「ご朱印ですか?」とお尋ねしたら「いえ、違います」と言われた。あとで、三門(山門)の額の文字だと気づいた。

 内陣に入ると、中央に本尊の薬師如来坐像。丈六といわれる大きさだろう。黒い。ひたすら黒くて、胸が厚く、堂々としている。少し垂れたような目。玉眼でないので、表情がよく分からないのが、かえって凄みに感じられる。頭頂の肉髷は、あまり高くない気がする。施無畏印の右手には水かきがあるように感じた。左手には薬壺を載せる。

 本尊の左右には、日光・月光菩薩と十二神将像。これは新しそうだった。左の壁際にも、さまざまな仏像が並べられている。多頭多臂で獅子に乗るという、不思議な尊像もあった。また、鬼祭りの鬼の面3点(祖父面・祖母面・孫面というのだそうだ)と猿の面2点も飾られていた。

 正面に戻って、お寺の方(ご住職?)と少し話す。靴を脱いで、お厨子に近づいてもいいというので、そうさせていただく。今回のご開帳は平成元年以来、23年ぶり。三門落慶法要にあわせたものだが、本当は50年に1回なので、私の代は飛ばされるかと思っていた、とのこと。「お厨子を開いたときは震えました」という言葉に実感がこもっていた。ご本尊の写真はどこにもなく、今回も写真は撮らせず、調査も外側からしかしない、という。ちなみに、あとでチェックした滝山寺ホームページの「写真回廊」および「寺宝」には「本尊 薬師如来」の写真があって、びっくりしたが、これは御前立ちだと思う。

 よく似せてあるが、秘仏ご本尊のほうが、もっと威圧感がある。薬壺も真っ黒だった。黒くなった理由は「煤でしょう。この本堂の中で、何百回となく火祭りもしているし」という。また、秘仏ご本尊には、こんな大きな光背はついていない。頭部の小さな頭光だけである。しかし、とても美しいもので、ご住職に「きれいですね」と申し上げたら、「いま、それは話題なんですよ。後から作ったものじゃないかと…。月曜に調査が入るんだけど」とおっしゃっていた。

 写真はないとおっしゃっていたが、いま御開扉の入場券を拝見すると、この素朴なスケッチは、秘仏ご本尊を写されたものではないかと思う。大事にしようっと。

 せっかくなので、久しぶりの宝物殿も拝観してゆく。ご朱印をいただけることが分かり、「薬師如来」の印をいただく。前回も「薬師如来」だったのかなあ、探してみよう。

 川沿いの道を、滝山寺下→滝→滝仁王門前とバス停2つ分歩いて、仁王門(三門)を見に行く。文永4年(1267)建立で、岡崎市内最古の建造物(国・重文)なのだ。門の脇に「篤志者御芳名」の札が立てられていたが、檀家の皆さんの厚意で、貴重な文化財が守られてよかった。



 屋根の下には4匹の隅鬼がひそんでいる。正面から見て左サイドの前後は青色、



 右サイドの前後は緑色の鬼だった。



 どうやら隅鬼は新造らしいが、仁王像は、以前のものをそのまま引き継ぎ、あえて塗り直しもしなかったようだ。新しい三門の住み心地はいかがであろう。

 あとは帰るだけなので、三門の横でのんびり次のバスを待って、帰途についた。

滝山寺・公式ホームページ
本堂で、ご住職とそのお友だち(?)が、さかんにホームページの話をしていた。「写真増やしたのよー。いいでしょ?」「いいね」など、楽しそうだった。

※YOMIURI ONLINE:滝山寺三門改修終わる 落慶法要で1000人行列(2012/5/4)
美々しいお稚児さんだけでなくて、”みんな一緒”にお祝い…という行列風景に、ご住職の人柄が感じられる。

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2 コメント

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滝山寺に行きました。 (h.inagaki)
2013-02-17 00:05:03
所用で岡崎に4日間通い、4日目(土曜日)滝山寺に行きました。
レポートされてた記憶があり再度読ませてもらいました。

宝物殿では金沢文庫の展覧会(2011年)の帝釈天が忘れられず遠路こられた
ご夫婦と一緒に、ボランティア説明員の方の話を聞きました。相当に詳しい。
話が長引いて、途中からご住職もこられて弾んだお話。

(1)運慶三像の彩色は、江戸時代、東照宮造営をした職人さんの手ではないか。
   (確かに東照宮風の色彩)
   それがなければ、国宝だったかもしれない。(寺宝への思いが、ニヤリでした)

(2)東京国博からは、当初三像一緒にという、たっての要請だったけれど(2006年)
   聖観音様は劣化が激しくて無理だとやりとりして、調査にこられて、
   「動かすと壊れる」と納得された。
   だから、「天台宗からのお話でも出しません。」
   (確かに胸、背中側の腰など相当な傷み。修復の費用が、とても算段できないのでしょうか。)


土曜でしたので滝山東照宮には人がおられて、
拝殿にあげてくれました。
権現造りの社殿は、祭神も含めて、好みがあるのでしょうが、
一人で拝殿に座っていると、なかなかな空気。

霊感を感じるまで座っていたかったけど、昨日、2月16日の冷え込みに
負けました。

お昼は八丁味噌の煮込みうどん。おいしかった。
返信する
h.inagaki様 (jchz)
2013-02-20 13:18:43
詳しいレポートをありがとうございました。
私も滝山寺に初めて行ったときは、雑誌で写真を見た運慶三像が目当てだったと記憶しています。

>それがなければ、国宝だったかもしれない。
この是非はおいといて、私はいまの彩色された状態も嫌いじゃないです。

>動かすと壊れる」と納得された。
これは傷みがひどくばる前に何とか対処してほしいですね。そういう文化財は全国にたくさんあるのでしょうけど。
返信する

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