■大阪市立東洋陶磁美術館 リニューアルオープン記念特別展『シン・東洋陶磁-MOCOコレクション』(2024年4月12日~9月29日)
4月のリニューアルオープンからずっと気になっていた記念特別展をやっと見に来ることができた。基本的には以前の構造を残しながら、現代的なエントランスホールが増築され、展示ケースや照明も整備された。ウェブページに「自然光に近く陶磁器本来の魅力が最もよく引き出せるとされる『紫』励起LED照明を導入」という説明があるが、確かに青磁は青磁らしい、粉青は粉青らしい色味の美しさを感じることができて感激した。美術館の「リニューアル」って必ずしも成功しない例を見てきたので、これは本当にうれしい。大阪市、ありがとう。施工業者はどこなんだろう?
なお、この朝鮮陶磁のネコちゃんがキャラクターに採用されたらしく、館内のあちこちにさまざまなポーズで登場していた。
MOCO(モコ)ちゃんという愛称も付いているらしい。ぜひグッズ化してほしいな。
今回の展示、各室のテーマが漢字四文字で統一されており「天下無敵」「翡色幽玄」「清廉美白」「陶花爛漫」などは、ふんふんと納得していたのだけど、最後の中国磁器が「皇帝万歳」なのに笑ってしまった。いいのか、それで。
■大阪歴史博物館 特別展・難波宮発掘開始70周年記念『大化改新の地、難波宮-古代日本のターニングポイントー』(2024年7月5日~8月26日)
山根徳太郎博士の主導によって難波宮跡の第1次発掘調査が始まった昭和29年(1954)から70年の節目の年にあたることを記念し、難波宮と、そのゆかりの「大化改新」にスポットを当てる特別展。私が小中学生時代に習った「大化改新」は、皇極天皇4年(645)飛鳥板蓋宮において蘇我入鹿が誅殺された事件(乙巳の変)を言ったが、現在は、後に続く一連の政治改革全体を指す。変の直後に即位した孝徳天皇が遷都を決めたことにより、難波長柄豊碕宮(なにわのながらのとよさきのみや)(前期難波宮)が主な舞台となった。
難波宮の所在地は第二次世界大戦後まで不明だった。戦前に法円坂で重圏文・蓮華文軒丸が発見されていたが、軍用地だったため、戦後にようやく学術調査の機会が訪れたのだという。はじめに前期難波宮の遺構が見つかり、続いて後期難波宮(神亀3/726年、聖武天皇が藤原宇合を知造難波宮事に任命して難波京の造営に着手させ、平城京の副都とした)の遺構も発見された。聖武天皇、恭仁京や信楽だけでなく、難波にも手を伸ばしていたんだっけ。ちなみに重圏文軒丸瓦は後期難波宮で使われたもの。蓮華文や唐草文に比べると、斬新でモダンなデザインだったのかもしれない。
大阪歴史博物館は、まさに難波長柄豊碕宮の上に建てられているので、多くの出土資料を所蔵しているのは当然なのだが、瓦・土馬・木簡など多数の原品を見ると、想像が広がって興味深かった。最古の絵馬(?)だという木片には馬の脚らしきものが描かれていた。常設展示でも地図や模型で復習し、古代の難波について理解を深めた。