見もの・読みもの日記

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お伊勢参り2024:本居宣長記念館、石水博物館

2024-09-18 23:12:38 | 行ったもの(美術館・見仏)

 三連休はお伊勢参り旅行へ。初日は夕方、友人たちと落ち合う間ではひとりで観光。名古屋から近鉄週末フリーパスを使って松阪へ向かった。駅に下りると「ベルタウン」という不思議なかたちの商業施設が目についたが、人影は少なかった。観光ルートをたどって、松阪城跡にある本居宣長記念館へ。

本居宣長記念館 令和6年 秋の企画展『もののあはれを知る~宣長とひもとく「源氏物語」~』(2024年9月10日~12月8日)

 今年の大河ドラマにちなんだ『源氏物語』がテーマとは言いながら、展示品はほぼ文献資料で、華やかな絵画や服飾資料はないので、辛気臭いだろうなあと思ったが、意外と面白かった。『源氏』を読むには一語一語の意味を正しく理解すべき、というような提言があって、古典研究の基本的な方法論は、この頃から変わっていない気がした。読みたい本を求めてはるばる旅をしたり、用例を集めて言葉の来歴を探ったり、先生に学び、仲間と議論し、自分の論考をまとめるなど、現代の研究者の行動様式とあまり変わらない。

 私は30年くらい前にもこの施設に来たことがあるのだが、こんなに明るく、誰にでも分かりやすい展示だった記憶がない。調べたら、2017年にリニューアルされているので、展示の方針もいい意味で見直されたのではないかと思う。

 なお、記念館の隣りには、本居宣長旧宅が移築されている。2階の書斎が「鈴屋」だが、2階には上がれない。写真は、玄関の正月飾り(笑門飾り)。伊勢地方では一年中見ることができる。

■三井家発祥地(松阪市本町)

 三井家については、最近、おもしろい著作や展覧会のおかげで関心が増しているので、「遠祖」三井高安が住みつき、孫の高利が生まれ育った、ゆかりの地を訪ねてみた。松阪観光協会三井広報委員会のホームページを見ると、屋敷門や井戸が残っているようだが、無粋な板囲いをされていて、何も見えず。ガッカリ。

 これで松阪観光を切り上げ、久居へ移動。駅前からバスで石水博物館へ向かう。

石水博物館 洛東遺芳館所蔵名品展『京商人の美意識』(2024年9月14日~11月17日)

 同館は、江戸時代に伊勢商人の豪商であった川喜田家の旧蔵資料を中心とする博物館。久居駅から津駅方面行のバスに乗り「青谷口」で下車して、用水池をまわりこむように歩いていくと、全面ガラス張りのモダンな博物館に行きあたる。

 この日から始まった展覧会では、京都五条にある洛東遺芳館のコレクションを紹介する。洛東遺芳館は、京の豪商であった柏屋(柏原家)伝来の婚礼調度・絵画・浮世絵・工芸品・古書古文書等を所蔵する博物館だという。同じ商人どうし、しかも川喜多家と柏原家は親戚どうしということで貴重な作品をたくさん出陳してくれたのだそうだ。ちょうど学芸員の方のギャラリートークが行われており、楽しく拝聴した。応挙、呉春など、円山四条派の作品が多く、こうした写実的な絵画は伊勢商人に好まれた、という解説に納得した。また宋紫石の『猛虎図』6曲1双屏風が30余年前に板橋区立美術館に出陳して以来とのこと。2階展示室の川喜多半泥子の作品も面白かった。

 収蔵庫として使われている千歳文庫(非公開)は、もう少し近づけるのかと思ったら、本館の回廊から木立越しに眺めることしかできなかった。女性の職員の方が「冬は木の葉が落ちて、もう少し見やすいんですが…」と申し訳ながっていた。

■忠犬ハチ公像(久居駅前)

 最後は久居駅に戻って、忠犬ハチ公と飼い主の上野英三郎先生(久居市出身)の像を眺める。ハチ、先生と一緒で嬉しそうだね。


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