〇ぴあMooK『東京の喫茶めし』 ぴあ 2024.8
東京の喫茶の名店と名物メニュー、スパゲッティ、サンドイッチ、カレー、オムライス&オムソバ、モーニング、さらにスイーツは、パフェ、ホットケーキ、プリンアラモード、あんこ、コーヒーゼリー、クリームソーダなどを紹介する。全体にマホガニー色(深みのある赤)を基調とした写真ページが多いのは、取り上げられているお店の内装トーンがそうなのだろう。
若い頃から喫茶店に行く習慣はほとんどなかった。大人になると、チェ-ン店のカフェが急速に普及してきたので、安いし入りやすいし、時間のかからないチェーン店ばかり利用していた。それが最近になって、その店にしかないメニューと雰囲気を求めて、レトロな喫茶店を訪ね歩く楽しさがだんだん分かってきた。
と言っても、本書掲載のお店で、私が実際に訪ねたことがあるのは、本郷三丁目のルオー、上野の王城、神保町のトロワバグくらいかな。銀座ウェストと資生堂パーラーは大昔に行ったことがある。ここもあそこも行ってみたいお店がたくさん見つかって嬉しかった。
本書は基本的に人の姿は写さない方針のようだが、例外的に店主の近影を掲載されているお店がいくつかある。流行り廃りに関係なく、お店を守ってきたおじさん、おじいさんという風情で、この方たちがお元気のうちにお店に行きたいなあと思った。ぼんやりしているうちになくなってしまうものが、東京にはとても多いのだ。
巻末のインデックスで数えると、70軒弱が掲載されている。毎月1軒訪ね歩いたとしても5年はかかる、いや5年は楽しめると考えるとしよう。