見もの・読みもの日記

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緑風五月秘仏の旅(2):滋賀・竹生島、向源寺、彦根

2009-05-06 23:53:44 | 行ったもの(美術館・見仏)
■西国第三十番 厳金山宝厳寺(滋賀県東浅井郡)

 秘仏の旅2日目(5/3)は、琵琶湖に浮かぶ竹生島を目指す。彦根からも観光船が出ているのだが、ちょっと早起きして、JR湖西線で長浜に移動、長浜港9:00発のチケットを買う。チケット売り場でうろうろしていたら、8:30になる前に「満席になりました~。次は9:30の臨時便になります」のコール。早めに着いてよかった(電話、メールで予約すると安心)。

 竹生島クルーズは、基本的には往復がセットになっており、私の場合は、長浜発9:00→9:30竹生島着、同発10:50→11:20長浜着。島での滞在時間は80分。普通の観光客ならこれで十分なのだろうが、効率よくまわらなければ、と思って、乗船前に計画を練る。秘仏のご開帳は国宝「唐門」の奥で行われているらしい。うーん、でも納経所は165段の石段を登った先の弁天堂にあるらしいし…どっちを選ぶかで悩んだ末、混雑すると面倒な納経所を先にすることにした。幸い、数人待ち程度でご朱印(観音様と弁財天と)をいただき、近江限定の「浄土の鳥」土鈴も忘れずGETした。宝厳寺の鳥は「舎利」。これは百舌(もず)とも九官鳥とも言われているようだ(→参考)。

↓左:孔雀(石山寺)、右:舎利(竹生島)。


 早くご開帳場所に移動しなくちゃ、と思いながら、弁天堂も面白くて、なかなか動けない。格子戸の奥のお厨子はぴたりと閉じられている。その前に見える黒いシルエットは御前立ちなのだろう。外陣の左右には、彩色の剥落が進んだ大きな木造弁財天坐像が無造作に据えられているが、左は永禄8年(1565)、左は慶長10年(1605)だからそこそこ古い。宝物館にも同形の坐像・永禄9年(1566)製があり「蓮華会奉納像のうちの一体」とあった。ええ~全部で何体あるんだろう?

 石段を下って「国宝」唐門へ。これは「家光が伏見城を破却した際に、秀吉の遺徳を慕う者たちによって移築されたもの」と、現地ガイドのおじさんが喋っていたが、調べてみると諸説あるようだ。いずれにしても見応えのある古建築である。後ろに続く「船廊下」は、秀吉の御座舟「日本丸」の船櫓を利用したものだという。ベトナムの日本人町ホイアンにかかる日本橋に似てるなあ、と思った。

 ようやく本題の秘仏ご本尊・千手千眼観世音であるが、唐門の中の観音堂でご開帳中である。内陣に立ち入り、かなり近くに寄って拝観できる。お厨子の据付位置が低いため、足元が見えないのは致し方ないが、お顔から腰のあたりまでは、はっきり拝見できる。厚みのある肉付き、均整の取れたプロポーションは、六波羅蜜寺のご本尊と同系統の感じがする。私は、初対面で一目惚れ。脇に立つ説明役の方に、思わず「大きいですねえ」と声をかけたら、「青岸渡寺さんも大きかったですよ」とおっしゃる。「青岸渡寺のご本尊さんは、全体がよく見えなくて」とお話したら、すまなそうに「そうですか。私ら、近くに入れてもらって拝観したので」とのこと。あ、やっぱり関係者間には、そういうの、あるのですね。こちらのご本尊は、何度か抱きかかえて運び出されたことがあるらしく、腰の周囲の金箔が剥げているとのこと。次の定例ご開帳は28年後で、そのときは弁財天も同時にご開帳するそうだ。見たいなあ…。

■長浜:長浜鉄道スクエア海洋堂フィギュアミュージアム

 長浜に戻り、小1時間ほどの散策タイム。通りがかりの「長浜鉄道スクエア」で思わず足が止まってしまう。中に入る時間はなかったが、庭に黒田清隆(鉄道院総裁)揮毫の石碑「徳垂後裔」等々があって、本人の行跡とあまりに懸け離れているのが可笑しくてならなかった。長浜城歴史博物館と、やや迷った末に向かったのは海洋堂フィギュアミュージアム龍遊館。映画「ジュラシック・パーク」で使われた等身大(?)トリケラトプスが床に寝そべっていたりして、楽しい。

渡岸寺観音堂[向源寺](滋賀県高月町)

 久しぶりに長浜まで来たので、1時間に1、2本の列車をつかまえ、高月の向源寺に寄る。仏像ファンには何も説明の必要がないと思うが、2006年、東博の『仏像』展でも、完全に主役(プリマドンナ)級の扱いだった十一面観音菩薩立像に会いに来たのである。やっぱりいい! 『仏像』展の記事を読み返したら、私は「斜め前(向かって左)から眺めるのがベストショット」と書いているが、今回は、むしろ右側面がいいと思った。お顔立ちは左側面のほうが好きだが、右側面は、頭部から垂れたリボン(?)が、腕に懸けた長い天衣と一緒になって床まで届くラインがとびきり美しい。下半身にまとった裳がロングドレスのように長くて、おみ足の先をチラリとしか見せないところも、ちょっとフェティッシュな感じがする。平成18年(2006)に完成したという、新しい収蔵庫は、広々と見通しが利いて、拝観にはありがたい施設である。

彦根城博物館:ひこにゃん登場~国宝『彦根屏風』特別公開

 彦根に戻り、彦根城博物館へ。ものすごい行列ができていたので、ギョッとしたが、これはひこにゃんの登場を待つ人たちの列だった。私もファンなので、ちょっとだけ様子を見ていく。本来のお目当ては、初めて見る『彦根屏風』。意外と小さいことに驚く。反対側に立ったら、胸くらいまでしか隠れないだろうなあ。同じ風俗画屏風でも、大和文華館の『松浦屏風』は、もっと大きかったはずなのに。

 実物を見て、最初に目に飛び込んできたのは、左端に描かれた、堂々とした中国風の山水画屏風である(→画像)。これまで、右端の特徴的な人物にばかり目が行って、左端には注意を向けていなかったのだ。あと、右端の刀にもたれた若衆といい、行儀のよい姿勢で碁を打つ若衆といい、黒色がすごく美しい。それにしても、ぞんざいに見ていく客が多くて残念だった。東京に持ってきたら、特別展で行列ができるだろうにうなあ。彦根城天守閣は入場待ちで断念。この日も彦根泊。

↓彦根城博物館に現れたひこにゃん。芸をするつもりか、小道具を取り出す。


↓お土産はキャンディーとチョコレート。ひこにゃんワンポイントポロシャツも購入。


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