日本百名山では薬師岳 (標高 2780m)、観音岳(2840m)、地蔵ヶ岳(2764m)の『鳳凰三山』を鳳凰山と言っているようです。
ここでは夜叉神峠登山口から鳳凰三山を縦走し、白鳳峠から広河原へ戻るコースを御案内いたします。
※ここでの写真は2010(H22)年7月30~31日に撮影したものです。※
夜叉神峠登山口からは良く踏まれた登山道を1時間ほど登ると、白根三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)の展望台である夜叉神峠に到着する。
夜叉神峠には小屋があり、小屋前は広場になっており、小休止しながら白根三山が眺められる。でも、この時は曇りで、野呂川の深い谷を隔てて対峙する白根三山を望むことは出来なかった。 峠を過ぎると眺望のない深い樹林帯に入り、緩やかな長い登りが杖立峠まで続く。
杖立峠は大崖頭山から西に延びる小尾根を乗越す地点にあたる。
杖立峠からはダケカンバなどの原生林の中を下り、登り返す感じで進むと樹林がまばらとなり明るく開けた山火事跡に出る。 好天であれば北岳(標高 3192m)が望めるはずが、残念だった。
山火事跡から緩い登りが始まり、シラビソの樹林帯に入り、
右手より千頭星山からの登山道と合流し苺平に着く。
苺平は原生林の中で展望は無い。体が熱くなっているので樹林帯の中のひんやりとした空気は気持ち良かった。 苺平からは辻山(標高 2585m)を通らず、北東側の薄暗い原生林の中を巻いて行く。
登山道が下りになって来ると、南御室小屋近しである。下って行くと小屋の正面に出る。
小屋の右奥には冬でも枯れない清水が流れ、乾いたのどを潤してくれる。
水場の有ることから、小屋周辺は樹海の中のオアシスといった感じで、西側の平坦地はキャンプ指定地になっており賑やかな所である。
ここから薬師岳方面へは小屋の左側より急登に取り付く。傾斜が緩み、ダケカンバが混生するようになれば森林限界を抜け、砂払岳や遠く観音岳まで見えた。
花崗岩の大きな岩塊と白い砂礫の砂払岳に到着する。 ここから先は風化された花崗岩が周辺に点在し、自然が織りなす日本庭園の中の稜線歩きである。
鳳凰三山の素晴らしさは、ここから地蔵ヶ岳までの白い砂礫の稜線に薄いピンクのタカネビランジが咲き乱れ、花崗岩の岩の割れ目には青紫の釣鐘状のホウオウシャジンが楚々と咲き、最高の稜線漫歩が楽しめる。
前方にはダケカンバに囲まれた薬師岳の見事な岩峰が目に飛び込んでくる。
砂払岳を下った鞍部にはダケカンバに囲まれた中に薬師岳小屋が迎えてくれる。
薬師岳小屋から薬師岳山頂へはダケカンバとハイマツの道をひと登りすれば到着である。
この日の山頂はガスっていましたが、晴れていれば白い砂礫が眩しくサングラスが欲しいくらいです。この様な稜線歩きが、ずっと続くのです。 薬師岳から約50分ほどで、鳳凰三山の最高峰『観音岳』に到着です。
観音岳は花崗岩が折り重なった岩の山頂です。 観音岳から先はやせた岩稜が続き、赤抜沢ノ頭へ向かう。
カラマツやダケカンバが厳しい自然に耐え成長している光景がいたるところで見ることができる。
徐々に地蔵ヶ岳のオベリスクが大きく見えてくると心がワクワク、足にも自然に力が入って来る。
稜線上からは右に甲府市街、正面には八ヶ岳、左手には大樺沢と北岳が見え、気持ちの良い稜線歩きが楽しめる。
赤抜沢ノ頭に立つと、
目の前に鳳凰三山のシンボルである地蔵ヶ岳のオベリスクが望める。
石のお地蔵様が並ぶ賽ノ河原に下り、見上げる地蔵ヶ岳は迫力満点である。
赤抜沢ノ頭まで引き返し、早川尾根南端の高嶺(たかね)に向かう。
白ザレの鞍部まで下り、急斜面を登り二つ目のピークが高嶺山頂である。中央の雪渓は大樺沢で雲に隠れた中央のピークは北岳。
高嶺から先はダケカンバが点在する急斜面の露岩帯が続き、慎重に下れば、やがて傾斜も緩くなりハイマツ帯をジグザグに下れば白鳳峠である。