深田 久弥が選んだ日本百名山のひとつ、奥飛騨にそびえる名峰『笠ヶ岳』に向かう。 どこから見ても笠のような飛騨の名峰、笠ヶ岳(2897m)。 穂高連峰の西に位置し、間に蒲田川を挟み、北に抜戸岳(2812m)、南に錫杖岳(しゃくじょうだけ:2168m)へ連なる、2897mの山である。 下の絵は去年、三俣蓮華岳から見た右手「笠ヶ岳」です。
クリヤ谷、笠新道、抜戸岳から弓折岳を通る稜線の 3本のルートがあるが、クリヤ谷と笠新道は登りがきついため、抜戸岳経由で向かった。 何回泊まっても、山小屋で「今日は、とてもよく眠れた。」と思う日はない。 消灯が早いだけに、横になっていても部屋の中に響く鼾の音に、羨ましさを感じている。 朝、早い人は 4時頃からガタガタと動き出す。 景色の見えない早朝に、ヘッドランプ頼りに山を歩く方々の楽しみとは何なのか 今一理解に苦しむ。 私達は高山植物や山岳風景を堪能することであり、昼間でなくては行動しない。
朝食 5時、全員揃って食堂に入る。 昨夜は天の川が見え、沢山の星空に驚いた。 早朝より、多少雲はあれども晴れが予感できた。5時半、槍穂高の稜線がクッキリと綺麗なシルエットで見えた。
今日の宿である笠ヶ岳山荘までの所要時間は 6時間。 我がパーティーは余裕を見て 7時間とし、朝天気が良いので、いつでも見られる訳ではない鏡池の逆さ槍穂高や
鏡平山荘近辺を散策しながら山岳風景を楽しんだ。
鏡平山荘出発、6時 47分。 池の点在する鏡平の景色を、皆さんに十分堪能して頂き次に向かう。 山荘前の池に造られた橋を渡り、ダケカンバ林の中を登り森林限界を抜けると弓折中段となり、その平地で小休止。 ここからはこれから登る弓折岳山腹の斜面に斜めに伸びる登山道が確認できた。
歩き始めであり、パーティーが一丸となって進めるよう体調を考慮し、隊列を編成して前進。 稜線上の弓折乗越に 8時 到着。10分 休憩。
稜線上からは今出発して来た鏡平の池と山荘が俯瞰できた。
ここから北が双六小屋方面で、私達は南西方向に進路を取り笠ヶ岳を目指す。 この稜線は自分も始めて歩く道で、好天も後押ししてくれ気分が高揚するのを感じた。 緩やかに登って行くと木製の標示柱が立つ弓折岳(2588m)に出た。 8時半。
どちらを向いても素晴らしい景色である。 弓折岳の次は大ノマ岳との鞍部の大ノマ乗越を目指す。急な斜面をジグザグに下って行くと大ノマ乗越に着いた。 景色の良い稜線歩きは最高の気分である。槍穂高の展望 が手に取れるようであった。
大ノマ岳への急坂を登り返すと、大ノマ岳山頂は通らず、山頂直下を巻いて行く。 11時 20分。
弓折乗越手前頃から筋肉疲労 により遅れ出す女性が出て、先頭を引っ張りながらも後ろを気にはしていたが、登山道が込み合っており皆さんに迷惑をかけてしまうので、パーティー内の強力男性に女性のザックを持って頂いた。 女性には歩きに専念して頂き、歩くリズムを作って頂くようにした。 その成果があってか、以後は先頭から見えなくなるほど遅れることは無く推移した。
大ノマ岳の巻き道を過ぎ、下り傾向の細かいアップダウンを繰り返しながら稜線を進む。 ここからは強力男性と交替して、女性のザックを自分のザック上部にくくりつけた。 滑り易い岩場や左側足下がすっぱり切れ落ちた高度感あふれる稜線歩きが続くので、カメラも危険でありザックに納め、歩きに専念した。 パーティー仲間の 1人でも故障者を出さないために自分も真剣に歩いた。 なのであまり景色を見る余裕がなく、笠ヶ岳山荘までの記憶がない。 笠新道分岐通過、12時半。 この分岐の上には抜戸岳山頂があるのだが、体力的余裕がなく立ち休憩のみで笠ヶ岳山荘を目指した。 割れたような巨岩の抜戸岩の間を通って更に稜線を進む。 笠ヶ岳が一段と大きく見えてきた。でもその手前には、小ピークがいくつか見え、その登りに取り付く。 鏡平山荘を出てから行動食しか口にしていないので、空腹感が強く力が出ない。 必死に急登をジグザグに登り、やっとテント場に出た。
笠ヶ岳山荘も目の前に見えていたが、山荘までの間に大きな岩がゴロゴロし、そこに造られた階段状の登山道を無心に登った。 笠ヶ岳山荘 到着、14時。 女性の荷と自分の荷を降ろし、山荘前の石畳に座り込んだ。 受付を済ませ部屋に荷を置き14時 45分、最小の荷物だけ持ち目的の笠ヶ岳山頂へ。 岩と言うか 、石と言うか 散乱したような上をジグザグに登る。
笠ヶ岳登頂、15時 05分。 全員同時に山頂を踏むことができました。 お疲れ様 山頂の一角には 石仏が安置された祠が祀られていた。 ただ、山頂を踏んだ時はガスの中で、360度の景色を堪能できなかったことが残念でした。
山頂からの下りから見た笠ヶ岳山荘です。
夕食 5時。 夕食後に山荘の前から見た滝雲です。
笠ヶ岳山荘は消灯 21時で、畳敷きの食堂で全員の食事が終了すると談話室に変更となり、明日の下りに使う笠新道コース確認のため利用する。 隅で従業員の方々が食事 をされ、私が居たら薪ストーブを点けてくれた。 その方に笠新道について尋ねたら、とても丁寧に地図を確認しながら教えて下さいました。 急勾配でマップタイムが下り 4時間、標高差 1600mを上下する有数のハードコースであり、ここを皆さんの膝が持ちこたえてくれるか が不安であったが説明を聞き安心しました。 何せ自分自身が未踏のコースであり、とても不安があった。 高橋様、ありがとうございました。 その時に、毎年 8月 12日、笠ヶ岳山荘前庭からダイヤモンド槍が見られますと高橋様、撮影者:高橋律雄様が教えて下さり、その写真が山岳雑誌に出ているのを見せて下さいました。 素晴らしい写真です。 都合がつけば是非行ってみたい。
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