北海道の復路は、苫小牧港からのフェリーとなるため、少し早めに小樽を出て千歳川(写真上)を遡ることにする。ここには近代化産業遺産で、土木学会選奨土木遺産でもある「王子製紙水力発電施設群」がある。ここまで来て、これを見ないわけにはいかない!
製紙業には広大な工場用地は必要であり、それが現・王子製紙苫小牧工場。用地のほかにもきれいで大量の水、そして電力、パルプの原料となる木材、そして輸送のための良港が必要。それが北海道のこの地であったのだ。
電力に絞った話になるが、古いものでは1910年(明治43年)の」発電送電開始(千歳川第一発電所)。堰堤、水路、放水路、発電所と、日本の近代化に欠かせない電気供給を支笏湖から千歳川に流れ込む豊富で落差のある水流を生かしてもとめたのである。
発電施設を建設するために敷設された「王子軽便鉄道(通称「山線」)の廃線跡(現・遊歩道、サイクリングロード)とぴったりと沿って千歳川を上流の支笏湖方面に標高を上げていく。道央自動車道千歳インターから30分程、千歳川第一発電所入口へ到着。
なんと!事前調査で見学できるという話しだったのに、開放時間が15:00まで。僅かに5分、本当にタッチの差で間に合わなかった。悔しくて周辺をウロウロするが、北海道土産によく登場する「熊出没注意」の看板が目に留まる。商売柄、クマ鈴は持ち歩いているのだが、ヒグマはちょっと引いてしまう(写真上)。
仕方ない。これが、よく言う「忘れ物」ということになるのだが、北海道にきての忘れ物は痛い!簡単に取りに行けませんからねー。気を取り直して、更に支笏湖を目指すことにする。
千歳川は、この支笏湖から流れ出る唯一の川。正確には湖対岸の谷間から流れ込む川も千歳川だから、川の途中に湖があるということになる。
容易に想像できるが支笏湖は4万年前の大噴火により形成されたカルデラ湖。後から恵庭岳や風不死岳(ふっぷしだけ)が噴出したことにより、円形ではなく少しいびつな形になっている。水深363メートルは田沢湖に次いで国内第二位の推進を誇る。
とにかく透明度が高く、環境省の湖沼水質調査で日本一ともされている(調査年により順位は変動)。とにかく透き通った青さは「支笏湖ブルー」とも呼ばれ、湖畔や千歳川ではボート、カヌー、サップなどの多くの人がアクティビティを楽しむ光景が見られた。なんとも贅沢なロケーションだ(写真上)。