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見どころ満載の常西合口用水、横江頭首工編(常願寺川物語⑤)

2022年10月14日 | 土木構造物・土木遺産


常願寺川を訪れて、中・下流域の話にとどまっている感があるが、それだけこの川には魅力が満載。もう一点だけ(2回に分けてになるが)下流域のかんがい用水について触れておきたい。
ピンときた方もいるかもしれないが「常西合口用水(じょうさいごうぐちようすい)」は、かの明治政府のお雇い外国人技師・ヨハネス・デ・レーケの指導により1893年(明治26年)に完成、農業用水の合口化(取水口の一本化)の走りと言われている。
これを取り上げる前に、近現代において整備され、現在、富山平野の常西・常東の7,900haを潤している「横江頭首工」をはじめとしたかんがい設備について紹介をしておきたい。これは1956年(昭和31年)に常西・常東の取水口として完成、平成20年に改修され現在の形になった。(写真上)



とにかく立派な取水堰、大量の水を送る用水路、そして常西・常東への分水施設・システム、常西へのダブルデッキの水路橋。どれを取り上げても見応えのあるものだ。
頭首工の堰は、堤高14.1メートル、堤頂長144.3メートル、最大取水量18.89立方メートル、土砂吐水門1門、洪水吐水門1門(資料:土木ウォッチング)と、そこらのダムに比べても立派なもの。
堰の脇の弧を描く美しい沈砂池を経て、開渠水路で数キロ下流の両岸分水工に至る。昭和31年に完成した先代の設備同様、常西・常東に同量の用水が供給されるシステムになっている。(写真上:頭首工左岸側からと沈砂池、写真下:頭首工の下流に設置されている分水工)



右岸側で取水・分水された常西用水は、分水工のすぐ下流で常願寺川を渡り左岸に引き込まれる。ここで存在感抜群のダブルデッキの「左岸連絡水路橋」が登場する。間近に見ることができるのがうれしい。
上が管理用道路で、下が常西用水路。橋の上から両側に下方に、満々と水をたたえて流れる用水路を見ることができる。中央に土砂吐水門もあるとのことだが、滅多に放水されることはないようだ。(写真下:連絡橋の全景とダブルデッキの上段は道路、下段には水路を見ることができる。)
個々には日本初とか日本一とかは付されていないが、この先の常西用水は上滝発電所で発電用に利用されてから、いよいよ見所満載の常西合口用水へと続くことになる。デ・レーケが早く来い!と言っているが、下流はについては次回の紹介となる。


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