再び富山にやってきた。今回は山ではなく、海沿い。まず目指したのは富山新港、富山県射水市。「新湊」といったほうがピンとくるのだが、ここに架かる日本海側最大の道路橋「新湊大橋」を見に来たのだ。
橋のある富山新港は、かつては放生津(ほうじょうづ)潟という潟湖であったが、富山・高岡を工業都市として発展させるため、いわゆる「伏木富山港」の中核として開削・掘り込み港湾として整備された。1968年開港。伏木富山港として国際拠点港湾に指定されている。(九州を除く日本海側では、新潟港(西港・東港)と伏木富山港だけ。写真下:富山新港入口と新港大橋から富山新港を望む。)
この掘り込み式の港湾の整備よって、かつては道路・鉄道でつながれていた周辺地域は分断されたが、港周辺に企業が進出し、コンテナを扱うターミナルの設置、公園等の観光施設の整備が図られることによって、物流や交流を促進させるために新湊大橋が建設されることになり、10年をかけて2012年に供用開始となった。
臨港道路富山新港東西線は国道415号のバイパス線でもあり、国と県が事業費494億円を負担し建設。東西のアプローチ部分を含むと3600メートル、5径間連続複合斜張橋で主橋梁部600メートル、高さ127メートルの東西主塔から72本のケーブルが張られ、長さ360メートルの主桁(5径間の真ん中)を支える(引っ張る)構造になっている。
大型クルーズ船の航行も可能なように、橋桁から海面までは47メートル。とにかく存在感抜群!日本海側最大の斜張橋ということであるが、高い、大きいだけでなく、美しい!白色を基調としていたり、主塔を「A」型にして、繊細ともいえる美しさを見せてくれる(写真下:斜張ケーブルが伸びる主桁部の道路、西側アプローチはループ式になっている。)
西側の海王丸パークからだと立山連峰をバックに見ることができるし、みなとオアシスやスポーツフィールド(東橋詰の堀岡側)、「新湊きっときと市場」などの周辺施設も整備されていることから、観光客のビューポイントになっている。なお、帆船「海王丸」は商船学校の実習船であったが、伏木富山港振興財団が新港に恒久係留して一般公開している。
新湊大橋は、自動車専用道路(二輪車、原付自転車OK)であるが、実は主桁部は二層構造になっていて、桁下には自転車歩行者用の通路が吊り下げられるような形で設置されている。全面覆われている全天候型の通路は「あいの風プロムナード」の愛称が付けられている(写真下)。
東西の両主塔部の下には駐車場があって気軽にアプローチが可能。主塔近くの橋脚に設置されたエレベーターで桁部まで一気に上がることができるが、主塔・主桁を下から見上げる壮大な景色、上へ行って主桁通路部の窓からは港の全景や海王丸パーク(写真下)、遠くは立山連峰や富山湾から能登半島などを望むパノラマなど、両方堪能できるスポットでもある。ぜひ足を運んでほしい。
橋は最新技術による耐震・耐風構造になっているというが、揺れるんじゃないですかねー?なお、風速25メートル以上、波浪警報などが発令されている時は通行止めにあるというので、事前に情報を確認すること!
(新湊大橋は、2012年度「土木学会田中賞(作品部門)」を受賞。田中賞は、永代橋・清洲橋などの名橋の生みの親、かの田中豊に因んだ橋梁・鋼構造工学界の功績を称える賞。今回の記事も土木の日(11月18日)に因んだ話題でした!)
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