11月下旬になると、母親が元気だった頃には、三軒長屋の真ん中でも冬支度が始まりました。
差し掛けの、風呂場には、屋根と軒の間の隙間風を防ぐ為に、新聞紙を丸めて詰めたり、干しておいた大根を、樽に詰め込んでタクワンの準備をしたりとそれなりに忙しかったような気がします。
今の様に、高断熱、高気密な家になり、スイッチ一つで暖かくなる便利時代が来るとは思いませんでした。
木枯らしが吹くようになると、足にシモヤケができたり、ひび割れができたりして、洗面器に唐辛子をいれた足湯を作り、足を漬けていると、2,3日で良くなりました。
こんな時代に、そんな話しをしても誰も見向きもしないでしょうか、たかだか40~50年前には、普通の出来事でした。
そういえば、市内では家の軒に柿をつるす家も無くなりました。
いまでも、秩父地方の山間部に行くと、昔の養蚕農家でしょうか、突き出た軒にオレンジ色の柿が簾の様になっていて、美しいなと感じたことがあります。
いつまでも残しておきたい日本の風景ですね。