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「男はつらいよ お帰り 寅さん」 山田洋次監督 ☓☓ ☆☆
1969年に第1作が劇場公開された「男はつらいよ フーテンの寅」が50年の時を過ぎ、新作として50作目が完成しました。お正月といえば、「寅さん」よく観たものです。地方に出ているときも地元の映画館で観ることもありました。この映画ほど暮らしとともにあった映画も珍しいのではないでしょうか。
カフェとなった「くるまや」に久しぶりにさくら(倍賞千恵子)博(前田吟)満男(吉岡秀隆)満男の娘ユリ(桜田ひより)が集まりました。今日は満男の亡くなった妻の7回忌の法事なのです。懐かしい話で盛り上がります。
小説家の満男は新作のサイン会でなんと高校時代の恋の相手イズミ(後藤久美子)と再会し、昔のようにとらやに連れてくるのでした。イズミはオランダに住み国連の仕事をしていて、その関係で日本に来ていたのです。心がときめく満男でが・・・。
随所に過去の作品を見事な編集で取り込み旧作の名場面、寅さんの名セリフが織り込まれています。さくら夫妻と同年齢の観客にはまるで自分史を観ているかのような、満男の世代の観客にとっても50歳を迎え人生の岐路をどう乗り越えるのか他人事とは思えない思いで、それぞれが楽しめるのではないかと思います。
旧作からベストの寅さんを選び出した執念に拍手です。(☆)
また、ラストでマドンナたちを次々紹介した演出も総集編という感じで良かったです。(☆)
タバコは、相変わらずリリー(浅丘ルリ子)とイズミの母(夏木マリ)が喫煙しました。喫煙習慣がありながらまだ映画に出演できたのは良かったけれど、でも、本当に喫煙場面は必要だったのか疑問です。タバコ臭いジャズ喫茶って昭和でしょう。